「細く見せたいのに、ゆるい服で逆に大きく見える」「かっちりは得意なはずなのに、威圧感が出てしまう」「鏡では良かったのに、写真で肩まわりがずんぐり」——骨格ストレートの“惜しい”は、体の厚み×直線という強みを活かす前に、丈・肩線・面（おもて）の整いがずれているのが原因です。
結論は明快。自肩に合う肩線／ミドル丈の直線／面が均一な中肉素材の三条件をまず固定し、そこへセンタープレスや比翼前立てで“最短の縦”を引き、金具は点で少量に抑える。これだけでTheoryの名品は端正・細見え・今っぽさを同時に叶えます。
本稿は、理論→トップス→ボトム→シーン別テンプレ→買い方＆Q&A／用語辞典の順で実務テンプレとして、今日から再現できる「神シルエット」を徹底解説します。
1. 骨格ストレート×Theoryが“細く見える”理論（直線×面×数値）
直線で整える——肩線・前立て・センター
骨格ストレートは上半身に厚みがあり、胸・背中に立体が出やすい体型。ここへ肩線が自肩にぴたり（±1cm）、前立ては比翼や細前立て、センターに縦線（プレス／前立て／ステッチ）を通すと、立体が面に整い薄く長く見えます。
ボタン間隔はやや短めが安全で、第一ボタンがみぞおち〜アンダーバストに来る設計だと、前を留めても縦が死にません。ベントはセンターベントが直線を途切れさせず端正。ダブルベンツは動きやすい反面、広がると横に見えるので生地の落ち感で判断します。
面（おもて）で高見え——中肉・微光沢・均一
同じ黒でも、面が均一で微光沢の中肉素材は横に広がらず、写真でも上品。逆に厚手で硬い・強いテカり・深い凹凸は体の厚みを強調します。Theoryのトロみすぎないツイル／梳毛調ニットが“神”なのは、この面の安定に由来します。裏地は背抜き〜総裏の薄手が扱いやすく、肩は薄肩パッドで肩頂をシャープに。“盛りすぎ”は禁物です。
数字で外さない——丈・肩幅・身幅・ラペル
- 着丈：トップスは身長×0.40〜0.45（160cm→64〜72cm）。腰骨ジャスト〜ミドルが安全帯。
- 肩幅：自肩**±1cm**。落とし過ぎは野暮、詰め過ぎは窮屈。
- 身幅：バスト実寸＋8〜12cm。過度なゆるみは厚みを強調。
- ラペル幅：7.0〜8.5cm。ゴージ位置は鎖骨よりやや上で顔から離す。
表：骨格ストレート×Theory 基本設定早見表
| 項目 | 安全帯（目安） | 避けたい要素 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 肩線 | 自肩±1cm | 強ドロップ・盛り肩 | 胸厚を面に整える |
| 着丈 | 身長×0.40〜0.45 | 短丈すぎ・ロングすぎ | 胴長回避・脚長見え |
| 素材の面 | 中肉・微光沢・均一 | 厚硬・強テカり・深凹凸 | 横広がりを防ぎ高見え |
| 前立て | 比翼・細前立て | 太前立て・大ボタン多 | 中心に縦線、端正 |
| ベント | センター | 広がる深ダブル | ヒップの横広がり抑制 |
追加表：ディテール別・見え方の違い
| ディテール | 細い/小さい | 太い/大きい | 骨格ストレートへの影響 |
|---|---|---|---|
| ラペル | 顔が締まる | 顔が大きく見える | 中幅（7–8.5cm）が最適 |
| ポケット | 玉縁・箱 | 大フラップ | 下重心→横広がりに注意 |
| 袖口 | 狭め・本切羽風 | 太め・折り返し多 | 手首の余白が細見え鍵 |
2. トップス編｜ジャケット・ニット・シャツの“神シルエット”
ジャケット：比翼風×ミドル丈×直線
設計の核：肩線ジャスト／ラペル7〜8.5cm／前は比翼風／着丈64〜72cm。生地は中肉ツイル／梳毛調で面が均一・微光沢が条件。第一ボタン位置は高めに取り、留めても前中心に縦が残るよう、ウエストは直線気味に。ポケットは玉縁／箱が軽く、大フラップは避けます。袖は手首の骨が0.5〜1cmのぞく長さが最適。
ニット：ハイゲージ×広めクルーor中深V
設計の核：ハイゲージ（12G以上）／広めクルー or V中深。丈は腰骨ジャスト〜ミドル。前だけごく浅くインして、ベルト線を見せると胴が締まります。避けたいのは厚畦・強起毛・詰まり首。厚みが上に乗ると胸〜みぞおちが膨らみ、寸胴見えの原因に。インナーは発色控えめのミルキー白が“光の窓”として万能です。
シャツ：面を平らに、襟はほどよく
設計の核：肩線ジャスト／台襟はやや高め／前は比翼or細前立て。丈はヒップ上が軽く隠れる程度。出して着ても面が割れない長さが便利。第一ボタンは外し、V字の余白を作ると首が長く見えます。カフスは細め・長すぎないものを。袖口から時計幅程度の隙間が見えると、手の甲がすっきり。
表：トップス型別・数値とコツ
| 型 | 着丈 | 襟・首元 | 素材の面 | ひと言メモ |
|---|---|---|---|---|
| ジャケット | 64–72cm | ラペル7–8.5cm／比翼風 | 中肉ツイル・微光沢 | 留めても縦線が残る設定 |
| ハイゲージニット | 腰骨〜ミドル | 広クルー or V中深 | 12G↑均一 | 厚畦は面積を小さく |
| シャツ | ヒップ上が隠れる | 台襟やや高・比翼 | マット〜微光沢で平ら | 第一ボタンは外して余白 |
NG→OK置き換え（トップス）
- NG：強テカり黒×大フラップ×短丈 → OK：ライトチャコール×玉縁×ミドル
- NG：厚畦クルー詰まり×長丈 → OK：12G広クルー×腰骨ジャスト
3. ボトム編｜センタープレス・デニム・スカートの黄金比
センタープレスパンツ：直線の最短距離
設計の核：前後センタープレス／中肉／フルレングス。股上はやや深めでお腹を面に整えるのがコツ。裾はひざ下ストレート〜ごく浅いフレアが最細見え。ハーフブレイク（甲に軽く触れる）で縦を最大化します。ベルトは幅2.5〜3.0cmが最適。
デニム：ミッドライズ×まっすぐ
設計の核：ミッドライズ／ストレート。色はワンウォッシュ〜中濃。ヒゲ・強い色落ちは厚みを強調するため避けめ。ステッチは同色系が端正。足元は甲浅のつま先やや尖りで直線をつなぎます。
スカート：Iラインかタイト
設計の核：Iライン／タイト。前後に縦切替が入ると、面が平らで細見え。丈は膝下〜ミモレ、スリットは後ろ中心15〜20cmが歩きやすく上品。素材は中肉で落ちるものを選び、フレアは面積を小さく。
表：ボトム型別・数値と相性
| 型 | 股上 | 裾幅（目安） | 丈 | 合うトップス |
|---|---|---|---|---|
| センタープレス | やや深め | 20–23cm | フルレングス | ミドル丈ジャケット／Vニット |
| ストレートデニム | ミッド | 18–21cm | くるぶし〜甲 | ハイゲージ・比翼シャツ |
| Iライン・タイト | 自然 | — | 膝下〜ミモレ | ミドル丈ジャケット・広クルー |
靴と裾の合わせ早見表
| 裾幅 | 推し靴 | 効果 |
|---|---|---|
| 18–20cm | 甲浅ポインテッド | 縦が最長、足首細見え |
| 21–23cm | ローファー細身 | 直線維持、通勤に強い |
| タイト裾 | 細筒ブーツ | 冬の面を平らに保つ |
4. シーン別テンプレ｜通勤・会議・出張・行事（上：中：小＝5：3：2）
通勤：端正×動きやすさ
上＝ミルキー白ハイゲージ、中＝ライトチャコールのセンタープレス、小＝銀色小粒。アウターは比翼風ミドル丈で面を平らに。バッグは縦長で直線を補強。
会議・プレゼン：信頼感×縦線
上＝比翼シャツ（第一ボタン外し）、中＝ネイビー明のテーパード、小＝黒細ベルト×甲浅靴。ラペルは7–8.5cmで端正、ポケットは玉縁で下重心回避。
出張：長時間移動と写真映えを両立
上＝広クルーのハイゲージ、中＝センタープレスのイージー素材、小＝軽量縦長バッグ。アウターは微ストレッチのステンカラー。しわ戻り良・ポケットは小型が快適。
行事・式典：華やぎは“面”で
上＝ミルキー白ニット×比翼ジャケット、中＝チャコールIライン、小＝パール一点。光は面で返す、金具は点で少量。写真では比翼・玉縁が効きます。
表：シーン別・即実践パレット
| シーン | 上 | 中 | 小 | アウター |
|---|---|---|---|---|
| 通勤 | ミルキー白ハイゲージ | ライトチャコール | 銀色小粒 | 比翼ミドル丈 |
| 会議 | 比翼シャツ | ネイビー明テーパード | 黒細ベルト・甲浅 | 直線ジャケット |
| 出張 | 広クルーニット | イージープレス | 軽量縦長 | ステンカラー微ストレッチ |
| 行事 | ミルキー白×比翼JK | チャコールIライン | パール一点 | 微光沢コート |
季節×気温帯×重ね方の目安
| 気温 | 上 | 中 | アウター | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 18–22℃ | ハイゲージ | テーパード薄 | ライトジャケット | 首元に余白を作る |
| 12–17℃ | ハイゲージ | センタープレス中肉 | ステンカラー | 比翼で面を平らに |
| 5–11℃ | 薄タートル | センタープレス | 中わた少量 | 膨らまない中肉重視 |
1週間コーデ計画（配色比5：3：2）
| 曜日 | 上 | 中 | 小 | ねらい |
|---|---|---|---|---|
| 月 | ミルキー白 | ライトチャコール | 銀色小粒 | 初日を清潔に |
| 火 | 比翼シャツ白 | ネイビー明 | 黒細ベルト | 端正×信頼 |
| 水 | 広クルー灰 | グレージュ | パール一点 | 中日に余白 |
| 木 | V中深紺 | チャコール | シルバー時計 | 縦を最短距離で |
| 金 | 黒に近いチャコール | ダークネイビー | メタル控えめ | 引き締めつつ軽さ |
5. 買い方・試着・お直し・メンテ（今日から迷わない）
試着チェック7点（鏡の前で30秒）
1）肩線：自肩±1cmに合うか。
2）着丈：64〜72cm（トップス）に入るか。
3）第一ボタン位置：みぞおち〜アンダーバストに来るか。
4）前を閉じても縦が残るか（腹部でつっぱらない）。
5）素材の面：強テカり・深い凹凸で横に広がらないか。
6）パンツ裾：甲に軽く触れて縦が出るか。
7）座りテスト：太もも・腰でシワが暴れないか。
オンライン採寸のコツ
- 手持ちで最細見えするジャケット／パンツを床置き採寸し、着丈・肩幅・身幅・ラペル幅・股下を基準化。
- 商品ページのモデル身長×着丈を自分比で換算（160cm基準で±）。
- 写真は白背景×真正面・真横で比較。肩線の位置とラペル幅に注目。
身長別・着丈安全帯（トップス）
| 身長 | 安全帯（目安） |
|---|---|
| 150cm | 60–66cm |
| 155cm | 62–68cm |
| 160cm | 64–72cm |
| 165cm | 66–74cm |
| 170cm | 68–76cm |
お直し費用の目安（覚えておくと強い）
| 直し内容 | 目安費用 | 備考 |
|---|---|---|
| 袖丈詰め | 2,500〜4,000円 | 本切羽風は加算 |
| 着丈詰め（JK） | 4,000〜8,000円 | ベンツ仕様で変動 |
| ウエスト詰め（PT） | 3,000〜5,000円 | 後ろ中心が基本 |
| 裾上げ（PT） | 1,000〜2,000円 | 折り返し幅指定可 |
メンテ基本
- ハンガーは厚めで肩を守る。
- スチームで面を平らに、強いテカりは当て布アイロン。
- 帰宅後はブラッシング→陰干しでにおいを抜く。
- シーズンオフは肩芯を潰さないよう、不織布カバーで通気確保。
Q＆A（よくある疑問）
Q1. 流行のオーバーサイズは完全NG？
A. 肩線±1cm・身幅＋12cm以内・着丈64〜72cmなら今っぽさと細見えが両立。肩が落ちすぎると胸厚が強調されます。
Q2. 黒が便利だけど重く見えます。
A. ライトチャコール／ネイビー明へ置換。首元はミルキー白で“光の窓”を確保。面は微光沢・均一が安全です。
Q3. スカートも履きたい。
A. Iライン／タイトを基本に。トップスはミドル丈ジャケットかVニットで縦をつなげば、骨格ストレートでもすっきり。
Q4. 胸が目立つのが悩み。
A. 比翼前立て／第一ボタン高め／Vの余白で抜けを作り、厚畦・詰まり首は避けます。生地は中肉の平らな面を。
Q5. 低身長でミドル丈が長く感じます。
A. 着丈64〜66cmを目安に。前だけ軽くイン、甲浅のつま先やや尖りで縦線を追加するとバランスが整います。
Q6. ダブル前は似合いますか？
A. 細ダブル×比翼調×ボタン間隔やや短めならOK。金ボタン多連は重く見えるため点で少量に。
Q7. ローファーは重く見えます。
A. 細身ラスト×甲浅を選び、パンツ裾はハーフブレイクに。コインの金具は小粒が安全。
用語辞典（やさしい言い換え）
面（おもて）：布の見え方。凹凸が少なく均一だと横に広がらず上品に見える。
比翼（ひよく）：前のボタンが隠れる作り。中心にまっすぐな縦線が出る。
センタープレス：前後の折り目。脚を最短距離で細く長く見せる。
ミドル丈：腰骨〜ヒップ上を軽く覆う長さ。胴長に見えにくい安全帯。
微光沢：強すぎない控えめな光。写真で高見えしやすい。
ゴージ位置：ラペルの折返しの折点。高めだと顔から離れてすっきり。
ベント：後ろ裾の切れ込み。広がりすぎると横に見える。
まとめ：自肩ジャスト×ミドル丈×均一な面——Theoryで骨格ストレートは最短で“端正”になる
肩線を合わせ、ミドル丈の直線で縦を描き、均一な面の中肉素材を選ぶ——この三拍子だけで、Theoryの名品は細見え・信頼感・今っぽさを同時にかなえます。
まずは比翼風ジャケット＋ライトチャコールのセンタープレス。次にミルキー白ハイゲージを足す。配色は5：3：2の比率を守れば、朝3分で「神シルエット」が完成します。