「正しい色を選んだはずなのに頬がむくんで見える」「塗るほど幼くなる」「夕方にはくすみが勝つ」——その違和感は、色相(肌との相性)・明るさ(明度)・面積(塗る広さ)・艶(光の量)・位置(高さ)のどれかが過剰だから起こります。
結論はシンプル。自分のタイプ(イエベ/ブルベ×春夏秋冬)に合う“中彩度”を選び、直径3〜3.5cmの横長小楕円を“黒目の外・鼻先の高さ”に置く。艶は黒目上に“一点”、口は同系で統一。この“5点セット”を守れば、誰でも透明感・血色・立体がそろい、腫れぼったさを回避できます。
本記事は原理→タイプ別の色→位置と形→質感と重ね順→シーン/季節/光源→直し/失敗→Q&A/用語の順に、表と数値で具体的に解説します。
なぜ“腫れぼったい”のか:面積・彩度・艶・位置の過不足(原理編)
1)面積が広いと前に張る
直径3〜3.5cmを超える広がりは面だけが前に出るため、むくみ見え。横長の小楕円に限定すると、立体は保ちつつ膨張を防げます。
2)彩度が強すぎるとのっぺりする
原色級の高彩度は大人顔では幼く・雑然に見えやすい。低〜中彩度が日常の最適解。濃さが不足する日は**面積は据え置きで“二度塗り”**が正解です。
3)艶の入れすぎはテカり・白飛びに直結
艶を広く入れるほど白飛び→膨張。黒目上の頬骨“一点”だけに米粒の半分で十分です。
4)位置が低いとたるみ見えになる
鼻先ライン未満に色が乗ると下垂に直結。黒目外×鼻先ラインを守るだけで若見えが安定します。
表:腫れぼったく見える要因と“逆算の直し”
| 要因 | 起きる見え方 | 直しの一手 |
|---|---|---|
| 面積が広い | 頬が前に張る | 3〜3.5cm小楕円に限定 |
| 彩度が高い | のっぺり・幼い | 低〜中彩度へ引き下げ |
| 艶が強い | テカり・白飛び | 黒目上一点に縮小 |
| 位置が低い | たるみ見え | 鼻先ラインに引き上げ |
| 服が黄寄り | 顔がくすむ | 頬=自タイプ安定色+口中央明 |
| 電球色照明 | 赤みが沈む | 頬を+0.5明度・艶は一点のまま |
タイプ別の正解色(イエベ/ブルベ×四季の基準)
イエベ(春/秋)の考え方
春は軽やか・明るい血色で若々しく、秋は深み・温かさで品よく。どちらも黄みを含む中彩度が軸。
イエベ春:あかるく軽やか
- 色相:コーラル/アプリコット/ピーチ。
- 明るさ:肌と同等〜+0.5。
- 口:同系で中央半トーン明にして清潔感を加える。
イエベ秋:深みと温かさ
- 色相:テラコッタ/カッパー/サーモン。
- 明るさ:肌−0.5〜同等で落ち着き。
- 口:サーモン/テラコッタで面を整える。
ブルベ(夏/冬)の考え方
夏はやわらか・澄んだ色で肌を明るく、冬はくっきり・清潔な冷色でコントラストを整えます。
ブルベ夏:やわらかく澄む
- 色相:青みピンク/ローズ/ライラック。
- 明るさ:肌と同等〜+0.5。
- 口:ローズで統一、中央明を一点。
ブルベ冬:くっきり清潔
- 色相:フューシャ/ベリー/プラム薄。
- 明るさ:同等、彩度は中で点使い。
- 口:ベリー/ワインを薄膜で上品に。
表:タイプ別・色マップ
| タイプ | 安定色 | 少し冒険 | 避けたい |
|---|---|---|---|
| イエベ春 | コーラル/ピーチ | ミルキーオレンジ | 青みローズ強 |
| イエベ秋 | テラコッタ/サーモン | ブラウンコーラル | 青紫/青ピンク強 |
| ブルベ夏 | 青みピンク/ローズ | ライラック薄 | ピーチ/オレンジ強 |
| ブルベ冬 | ベリー/プラム薄 | フューシャ点使い | 黄みベージュ |
表:肌の明るさ×おすすめ明度(頬と口のバランス)
| 肌の明るさ | 下地 | チーク | 口 |
|---|---|---|---|
| とても明るい | 同等 | 同等〜+0.5 | 同等〜+1(中央明) |
| 標準 | 同等 | 同等 | +0.5 |
| やや暗め | −0.5 | +0.5 | +0.5〜+1 |
位置と形:直径3〜3.5cmの“横長小楕円”だけ覚える(設計編)
位置の決め方:黒目外×鼻先ライン
鏡で正面を見て、黒目の外側の真下→外へ3〜3.5cm。高さは鼻先と同じ水平ライン。ここに横長小楕円で置くと、ほお骨の上だけがふわっと持ち上がります。
顔型・頬骨の高さによる微調整
- 丸顔:楕円の外側を長くして横幅を締める。
- 面長:幅広めにして縦長を中和(高さは厳守)。
- 逆三角:内へ寄せない。外小さく、下へ広げない。
- 頬骨高め:中心を1〜2mm外へ、濃度は控えめ。
- 頬骨低め:鼻先ラインぴったり、黒目上の艶をやや強め。
失敗しない広げ方と“境目ならし”
外へ0.5〜1cmだけぼかし、内側・下側には広げない。端は指腹でそっとなでて曖昧に(境目ならし)。
表:顔型×位置・形の微調整
| 顔型/骨格 | 位置 | 形 | 広げ方 |
|---|---|---|---|
| 丸顔 | 黒目外→外へ長め | 横長小楕円 | 外0.5〜1cmのみ |
| 面長 | 鼻先ライン厳守 | 幅広小楕円 | 外0.5cmのみ |
| 逆三角 | 外側に小さく | 細め小楕円 | 広げない |
| 頬骨高め | 1〜2mm外へ | 薄め小楕円 | 濃度控えめ |
| 頬骨低め | ラインぴったり | 標準小楕円 | 艶を黒目上に足す |
質感と重ね順:艶は“一点”、粉は“ひとはけ”(実践編)
ツヤと粉の配分(むくみ回避の公式)
- 艶:黒目上の頬骨“一点”に米粒の半分。
- 粉:小鼻・額のみをひとはけ。頬はノーパウダーで透明感を守る。
重ね順(練り→粉→仕上げ)
1)練りチーク(米粒)を小楕円で置く。
2)指腹で境目だけトントン(中心は触らない)。
3)粉は小鼻/額のみ。
4)必要なら粉チークを米粒弱、同位置に重ねる。
5)黒目上の艶を米粒の半分だけ一点。
剤形の選び方(練り/粉/液)と季節調整
- 練り:透け・密着。乾燥に強い。冬/空調強めの日に。
- 粉:持ちと調整。会食/写真で輪郭を出したい日に。
- 液:薄膜で一体化。面積オーバーに注意し、点置きで使う。
表:剤形別メリット/注意
| 剤形 | 良い点 | 注意点 | 相性の良い肌 |
|---|---|---|---|
| 練り | 透けて密着・乾きに強い | 量過多で艶が広がる | 普通〜乾燥 |
| 粉 | 調整しやすく持ちが良い | 粉っぽさが出やすい | 普通〜脂性 |
| 液 | 薄膜で一体化 | 広げすぎやすい | 普通 |
表:季節/環境×質感調整
| 季節/環境 | 下地 | チーク | 粉 | 艶 |
|---|---|---|---|---|
| 真夏・高湿度 | 皮脂抑えを小鼻だけ | 練り薄 | 小鼻/額のみ | 一点最小 |
| 春秋・穏やか | 保湿薄め | 練り→粉少量 | 小鼻中心 | 黒目上一点 |
| 真冬・乾燥 | 保湿を頬に追加 | 練りで透け | 粉最小 | 微艶を少し増 |
シーン/季節/光源の“入れ替え3点”テンプレ(応用編)
日常・通勤(近距離で清潔感)
- 色:タイプの安定色を薄く。
- 面積:3cm。
- 艶:黒目上一点。
会食・写真(強い照明/距離が空く場)
- 色:濃度+0.5、口は同系で中央明。
- 面積:3.5cmまで。
- 艶:一点をやや強め。
光源別の見え方と対策
- 昼光(窓際):赤みが素直。通常設定でOK。
- 電球色:黄寄りに見えやすい。頬+0.5明度、艶は一点。
- 蛍光灯:青白く平板。ローズ寄りを選び、黒目上の艶を1.2倍。
- 画面光:立体が消える。位置+1mm、口中央明、髪表面の艶ひと筆。
表:シーン×入れ替え3点
| シーン | 色 | 面積 | 艶 |
|---|---|---|---|
| 通勤 | 安定色薄 | 3cm | 一点 |
| 会食/写真 | 濃度+0.5 | 3.5cm | やや強め |
| 真夏 | 薄 | 3cm | 最小 |
| 真冬 | 薄 | 3cm | 微増 |
表:服色×チーク/口の合わせ早見
| 服色 | チーク | 口 | 小物 |
|---|---|---|---|
| 白 | 自タイプ安定色薄 | 同系・中央明 | 銀/白金の小粒 |
| ベージュ | 自タイプ安定色+口中央明 | 同系・中央明 | パール白 |
| 紺/ネイビー | やや冷たい側 | ベリー/ローズ薄 | 銀/白金 |
| 黒 | 自タイプを濃度+0.5 | ベリー/テラコッタ薄 | 鏡面小物 |
| ラベンダー | ライラック/ローズ薄 | ローズ薄 | 透明系 |
直し/失敗のリカバリー(現場力アップ)
30秒の直し順
1)ティッシュで押さえる(小鼻・頬の汗/皮脂)。
2)境目ならし(指腹で端だけ)。
3)口中央を同系で一押し(血色回復)。必要なら黒目上の艶を米粒の半分だけ追加。
ミニポーチ3点セット
- あぶらとり紙
- 口紅(頬と同系)
- 極小ハイライト(点用)
ありがちNG→即変換表
| NG | なぜ起きる | 即変換 |
|---|---|---|
| ほっぺ全体が赤い | 面積が広すぎ | 3〜3.5cm小楕円に戻す |
| のっぺり・幼い | 彩度が強すぎ | 低〜中彩度へ |
| むくんで見える | 艶を広範囲に入れた | 黒目上一点に限定 |
| 黄ぐすみ | 色相が不一致 | 自分のタイプ色へ差し替え |
| 下がって見える | 位置が低い | 鼻先ラインへ引き上げ |
| 粉っぽい | 頬に粉をのせた | 頬ノーパウダーに修正 |
| 夕方に消える | 薄く広げた | 面積は固定で二度塗り |
Q&A(よくある疑問)
Q1. くまが強い日はチークが濁る。
A. 補正→土台→頬の順。目頭下の三角に補正を“点”で入れてからチークを。
Q2. マスクで取れる。
A. 練り薄→指で密着。粉は頬にのせない。外したら境目ならし+口中央で回復。
Q3. ベージュ服でぼんやりする。
A. 頬=タイプ安定色薄、口=同系中央明、耳に小さな光(銀/白金)を足す。
Q4. 皮脂が多くヨレやすい。
A. 小鼻だけ皮脂下地、頬は練りで密着。直しは押さえる→艶一点。
Q5. 写真で白飛びする。
A. 艶は一点・粉は小鼻/額のみに。色は濃度+0.5で面積は据え置き。
Q6. 50代以降で毛穴が気になる。
A. 練り→境目だけ粉で面の艶を残す。頬全体の粉は凹凸を強調。
Q7. 口紅と頬が合わない。
A. 同系に寄せ、唇中央を半トーン明で橋渡し。
Q8. どのタイプか分からない。
A. 似合う“安定色”で試し、服色との相性と夕方のくすみ具合を見て調整。迷う日は中明度・中彩度が安全です。
用語辞典(やさしい言い換え)
安定色:迷ったらまず選ぶ“そのタイプで外しにくい色”。
小楕円:直径3〜3.5cmの横長の形。大人顔に向く。
境目ならし:色の端だけを指でなでて曖昧にする技。
中央明:口の中央を半段明るくして清潔に見せる方法。
鼻先ライン:正面で鼻先と同じ高さの水平線。
点使い:色・艶を小面積に限定して置くこと。
中彩度:鮮やかすぎず、くすみすぎない程よい鮮やかさ。
まとめ
タイプに合う中彩度×小楕円×一点艶×口と同系×鼻先ライン。この“5点セット”を守れば、腫れぼったさを回避しながら、毎日澄んだ血色が再現できます。今日の一手で、顔の印象を上品に更新しましょう。

