「黒や無彩色でまとめると顔色がやつれる」「黄みベージュでそろえたのに地味」「通勤と社内の寒暖差で重ね方が難しい」——。イエベ秋(オータム)は本来、あたたかい深み・落ち着き・上質感がそろうと、オフィスでも“頼れる知的さ”が自然ににじむタイプです。
つまずきの原因は、明度(明るさ)・彩度(鮮やかさ)・温度(黄み〜赤み)に対して、面積配分・生地の厚みと光り方・金具色・脚元の重さが噛み合っていないから。結論はシンプル。顔まわり=やわらかい生成り/バター色/淡キャメル、胴体=キャメル/カフェオレ/オリーブ/テラコッタ、小物=こっくり茶/つや消し金/真ちゅう色の6:3:1で面積を設計し、マット〜微つやの厚みある布に寄せれば、誰でも信頼×落ち着き×抜けが毎朝5分で安定再現できます。
本稿は、原理→配色テンプレ→品別の選び方→季節/職種/天候→体型/年代/動線→一週間計画→洗濯と保管→買い物チェック→失敗→即修正→Q&A/用語の順で徹底解説します。
イエベ秋の色設計と素材原則(“面”の深みで格を出す)
肌に合う明度・彩度・温度のルール
- 明度:最明色は生成り/淡キャメル/クリームベージュ。顔まわりはここから選ぶと肌につやが出る。
- 彩度:中〜やや低めの濁りを含む落ち着いた色が得意。明るすぎ・澄みすぎは浮きやすい。
- 温度:黄み〜赤みの温かい土色、深緑、焦げ茶が安定。青みの強い灰や真っ黒は顔が強張りやすい。
素材と表面(光を“面”で受け止める)
- 推し素材:サージ/ツイル/二重織/フラノ薄手/細畝コーデュロイ/強撚〜中肉ニット/スエード調。表面はマット〜微つやで“しっとり”。
- 避けたい:強光沢の黄み金ラメ、テロテロの薄すぎ素材、厚すぎる起毛。安っぽく見えたり重く見える。
金具と線の色(顔色を左右する“点”)
- 金具色:つや消し金/ブロンズ/真ちゅうが最適。銀はつや控えめなら可。
- 眼鏡/時計:こげ茶/べっ甲/古金色が肌になじむ。
柄・織り・質感の相性
- 相性が良い:細ヘリンボーン/うす千鳥/小さめドット/焦がし風の無地調。
- 避けたい:強コントラストの白黒格子、青み灰ベースの柄。顔色が冷えて見えやすい。
表:イエベ秋の基本パレット(オフィス版)
役割 | 推し色 | 近い色の例 | 使用比率 | 効果 |
---|---|---|---|---|
顔まわり | 生成り/淡キャメル/クリーム | エクリュ | 40〜60% | くまが薄く見える/つや感 |
胴体 | キャメル/カフェオレ/オリーブ/テラコッタ | 砂色/ココア | 20〜40% | 安心感と引き締め |
緩衝 | グレージュ/ミルクティー/淡カーキ | 亜麻色 | 10〜30% | 面のつなぎ |
小物 | こげ茶/つや消し金/真ちゅう | べっ甲薄め | 5〜10% | 仕上げと格 |
表:素材別・しわ/通気/厚み/光沢(体感)
素材 | しわ | 通気 | 厚み | 光沢 | 使いどころ |
---|---|---|---|---|---|
サージ | ○ | △ | ○ | △ | ジャケット/パンツ |
ツイル | ○ | ○ | ○ | △ | ブラウス/ワンピ |
二重織 | ○ | △ | ○ | △ | きれい見えセット |
フラノ薄手 | ○ | △ | ○ | △ | 秋冬の羽織 |
細畝コーデュロイ | △ | △ | ○ | △ | 冬のボトム |
強撚〜中肉ニット | ○ | ○ | ○ | △ | 通年の重ね |
3つの配色テンプレ(6:3:1で迷わない)
テンプレA:明るさ×信頼(初対面/来客対応)
- 上6=生成り、下3=キャメル、小物1=こげ茶+つや消し金。
- ねらい:顔が明るく、全体は落ち着く。書類の白とも溶け合う。
テンプレB:落ち着き×格(社外打合せ/資料説明)
- 上6=淡キャメル、下3=オリーブ、小物1=真ちゅう系。
- ねらい:濃淡の段差で締まり、威圧感なく頼もしさが出る。
テンプレC:集中日(内勤・作業多め)
- 上6=ミルクティー、下3=テラコッタ/ココア、小物1=べっ甲。
- ねらい:視界に温かさ、長時間でもくすみにくい。
表:置き換え早見表(迷ったらこの変換)
置き換えたい色 | 推奨の代替 | 理由 |
---|---|---|
真っ白 | 生成り/淡キャメル | 肌との温度が合い自然に明るい |
黒 | こげ茶/深オリーブ | 重さを避けつつ締まる |
青み灰 | グレージュ/砂色 | 黄ぐすみ回避、温度が合う |
6:3:1を目分量で作るコツ(鏡の前で10秒)
- 上=面積大:顔まわり〜胸元の最明色を広く。
- 下=面積中:中明度の土色/深緑で面を安定。
- 小物=面積小:靴・ベルト・時計をこげ茶〜真ちゅうでひとまとめ。
アイテム別:選び方と数値の目安(ミスを減らす採寸)
トップス(ブラウス/シャツ/ニット)
- 襟元:クルー浅め/ボート/浅V。詰めすぎ→首が短く、開けすぎ→くだけすぎ。
- 肩:肩幅=実寸±0〜1cm。落としすぎは二の腕が太く見える。
- 丈:身長×0.36〜0.40(160cm→57〜64cm)。
- 色:生成り/淡キャメル/ミルクティーが基軸。青みの強い灰は避ける。
ボトム(テーパード/セミフレア/タイト)
- ウエスト:指2本の余白で座り仕事が楽。
- 裾幅:肩幅×0.9〜1.0でまっすぐ見え。
- 色:キャメル/オリーブ/テラコッタ/こげ茶。黒は行事と礼儀の日に限定。
ワンピース(忙しい朝の最短解)
- 形:Iライン/控えめマーメイド。切替はみぞおち〜胸下で上重心。
- 色:カフェオレ/テラコッタ/砂色。
- 羽織:薄い二重織ジャケットか中肉ニット。
羽織(ジャケット/カーデ)
- ラペル:幅5.5〜7.0cmで細め、第一ボタンはやや高め。
- 肩:薄肩パッド〜無し、裏地はすべり良し。
- 色:淡キャメル/グレージュ/こげ茶。
小物(靴/バッグ/ベルト/アクセ)
- 靴:こげ茶/キャメル/モカ。3〜5cmで甲浅め。雨は撥水こげ茶。
- バッグ:中〜小で角に丸み。金具はつや消し金/真ちゅう。
- アクセ:小粒の淡金色/べっ甲/つや控えめの琥珀色。光は点、面は布で出す。
表:脚元の色×肌の見え方(相性表)
靴色 | 合う脚元 | 避けたい脚元 | 理由 |
---|---|---|---|
こげ茶 | 肌色/薄ベージュ | 黒タイツ(厚手) | 面の重さが増す |
キャメル | 肌色/薄ベージュ | 青み灰 | 温度がずれて顔が沈む |
モカ | 肌色/薄茶 | 真黒 | 輪郭が強すぎる |
表:生地の“耐久ケア”早見表
生地 | 毛玉 | 色あせ | 型崩れ | ケアの要点 |
---|---|---|---|---|
ニット | 出やすい | 出にくい | 出やすい | 休ませ洗い/平干し/当て布蒸気 |
ツイル | やや出る | 普通 | 普通 | 裏返し洗い/影干し |
二重織 | 少ない | 少ない | 少ない | 手洗い推奨/芯地の熱に注意 |
コーデュロイ | 目立つ | 普通 | 少ない | 返しブラシ/短時間脱水 |
季節・気温・職種・天候の調整(社内外で浮かない)
春夏:軽さと通気、でも“薄く見せない”
- 春(10〜18℃):ツイルのブラウス+薄い二重織の羽織。首元は生成りで明るく。
- 夏(19〜28℃):強撚ニット+高密度綿パンツ。一枚仕立て+冷房対策の薄羽織。汗取りで黄ばみ防止。
秋冬:温度を保ちつつ面をフラットに
- 秋(12〜20℃):二重織のジャケット+オリーブのボトム。面はマットで整える。
- 冬(5〜12℃):フラノ薄手や細畝コーデュロイ。裏地ストレッチで座りじわ軽減。巻きものはこげ茶/キャメルが万能。
職種別ドレスコードのさじ加減
- かため(金融・法務):生成り×キャメルで面を平らに、金具は小さく。
- ふつう(メーカー・総務):淡キャメル×オリーブ、べっ甲を小物一点。
- やわらかめ(情報/制作):テラコッタ/深緑を面で、靴はモカで清潔に。
天候別の一手(雨・猛暑・寒波・強風)
表:天候別・素材と持ち物
天候 | 上の布 | 下の布 | 持ち物 | ひと言メモ |
---|---|---|---|---|
雨 | 撥水の薄い羽織 | 高密度綿 | 小ぶり折り傘(こげ茶) | 濡れ跡が目立ちにくい色で |
猛暑 | 強撚ニット/薄シャツ | 綿混の軽パンツ | 汗取り/冷房ストール | 首元は生成りで明るさ確保 |
寒波 | フラノ薄/中肉ニット | サージ | ひざ掛け/保湿ミスト | 厚すぎ起毛は影が強く出る |
強風 | 二重織 | テーパード | まとめ髪/前留めピン | 面が乱れず清潔感維持 |
在宅・オンライン会議の映り方
- 背景:生成り/砂色の壁が最適。真っ白は飛び、灰は顔色が沈む。
- 上半身:生成り/淡キャメルの面+つや消し金の小さな点(耳or手元)。
- 照明:顔の正面よりやや高い位置からやわらかく。
体型・年代・動線別の微調整(“数値”で安心)
身長差と重心の整え方
- 低身長:着丈短め(50〜56cm)、小物は小ぶり、髪は耳かけで首横に余白。
- 高身長:58〜62cmでもOK、身幅は広げすぎない、靴の甲を浅くして軽さを出す。
気になる部位の対処
- 二の腕:袖幅やや細め、袖口の折り返しは1回まで。
- お腹:みぞおち位置に細ベルト、ポケットは玉縁で薄く。
- 腰/ヒップ:Iライン/セミフレア、裾幅は肩幅×0.9〜1.0。
年代別ニュアンス(20〜50代)
- 20代:明度はやや高め、金具はごく小さく。
- 30代:面は生成り、差しにオリーブ/テラコッタを一点。
- 40代:淡キャメル×こげ茶で質の良さ、細い襟で顔をすっきり。
- 50代:グレージュ×カフェオレで落ち着き、小物はつや消し金で品よく。
表:動線別・機能の足し算
動線 | 推し素材 | 追加の工夫 | 効果 |
---|---|---|---|
外回り多め | 高密度綿/二重織 | 撥水スプレー | 汚れと皺に強い |
着席多め | 中肉ニット/二重織 | 裏地ストレッチ | 座りじわ軽減 |
会議連続 | ツイル/サージ | 小粒の淡金 | 画面越しで血色UP |
一週間コーデ計画(テンプレの自動化)
曜日 | 上(6) | 下(3) | 小物(1) | 羽織 | ねらい |
---|---|---|---|---|---|
月 | 生成り | キャメル | こげ茶+淡金 | 生成り | 初対面/会議に清潔感 |
火 | 淡キャメル | オリーブ | 真ちゅう | グレージュ | 外回りで信頼 |
水 | ミルクティー | テラコッタ | べっ甲+淡金 | 淡キャメル | 内勤で集中 |
木 | 生成り | ココア | こげ茶 | こげ茶 | 会食でも安心 |
金 | 砂色 | こげ茶 | 淡金最小 | グレージュ薄羽織 | カジュアル許容日 |
悪天候週の代替:火→撥水こげ茶靴+濃オリーブ、金→撥水羽織+モカで快適と清潔感を両立。
洗濯・保管・お手入れ(長く“きれい”を保つ)
表:生地別・洗濯と干し方の要点
生地 | 洗い | 脱水 | 干し方 | 注意 |
---|---|---|---|---|
とろみツイル | 裏返し・弱 | 短め | 影干し/当て布で蒸気 | 強い摩擦で白化に注意 |
高密度綿 | ネット | 普通 | 形を整えて陰干し | 濃色は単独洗い |
強撚〜中肉ニット | ネット・弱 | 短め | 平干し | 引っかけに注意 |
ハイゲージ | 手洗い・弱 | 短め | タオルドライ→平干し | 毛玉取りは軽く |
二重織/フラノ薄 | 手洗い推奨 | 短め | 形を整えて影干し | 芯地・起毛の熱に注意 |
- 保管:明るい無色のカバーで日焼け防止。肩は厚みのあるハンガー。
- 皺:蒸気を浮かせて当てる。押し付けるとてかりやすい。
買い物チェックと予算プラン(迷わない段取り)
店頭・通販共通チェック
1)顔まわりの色が生成り/淡キャメルの範囲か。
2)肩幅=実寸±0〜1cm、第一ボタン位置はやや高めか。
3)袖丈は手首の骨が少し見えるか。
4)生地の表面はマット〜微つやで、裏地のすべりが良いか。
5)座りと腕上げテストで背中がつっぱらないか。
表:予算別・一式プラン(めやす)
予算 | 上(トップ/羽織) | 下 | 靴 | バッグ/小物 | ねらい |
---|---|---|---|---|---|
1万円台 | 生成りのブラウス | キャメルのIライン | モカ3cm | 小ぶりこげ茶+淡金 | 面の明度と清潔感 |
2〜3万円台 | 淡キャメルの羽織 | オリーブのパンツ | こげ茶4cm | べっ甲薄め+真ちゅう | 長時間快適と品 |
5万円〜 | 二重織のセット | 同系ボトム | こげ茶5cm | 上質革+淡金 | 写真映えと耐久性 |
失敗例→即修正(その場で整える)
失敗 | 原因 | その場の修正 | 次回の回避 |
---|---|---|---|
顔がくすむ | 上が灰寄り | 生成りのスカーフを足す | 顔まわりは生成りor淡キャメル固定 |
全体が重い | 黒とこげ茶の衝突 | 黒→こげ茶へ統一 | 黒は礼儀日だけに |
安っぽく見える | 強光沢金具 | つや消し金へ交換 | 金具は小さく点で |
ぼやける | 明度差不足 | ベルトこげ茶を一本 | 6:3:1の比率を意識 |
Q&A(よくある疑問)
Q1. 灰色が多い職場で浮かないコツは?
A. グレージュ/砂色を使い、顔まわりは生成りに。全体は職場に馴染み、顔はつやを保てます。
Q2. 黒パンツは完全にNG?
A. TPO次第。重く見える時はこげ茶/オリーブに置換し、靴とベルトを同色で締めるのが安全。
Q3. 金のアクセはどのくらい?
A. 点で2か所まで(耳と手元)。大ぶりは避け、つや消し金の細い線が上品です。
Q4. くすみ色ばかりで暗くなる
A. 顔まわりだけ生成りにし、差しはオリーブ/テラコッタを小面積で。面は落ち着き、顔は明るく。
Q5. 靴とバッグは同色にすべき?
A. 迷う日はこげ茶で統一が最短。慣れたら靴=こげ茶、バッグ=キャメルの明暗差も素敵。
Q6. 香りやネイルは?
A. 香りは食事の席を考え控えめ。ネイルはミルクティー/キャメルなど肌になじむ色が上品。
用語辞典(やさしい言い換え)
- 生成り:白に少し黄みを入れたやわらかな白。肌に自然なつや。
- サージ:斜めの細かな織り目の生地。面が整いしわが目立ちにくい。
- 二重織:表裏が絡む織り。面が平らで形が出やすい。
- フラノ:起毛を軽くかけたやわらかな毛織。厚すぎないものが職場向き。
- 面/点:布で“面”を作り、アクセは“点”で光を足す考え方。
- つや消し金:光り方がやわらかな金色。オフィスで悪目立ちしにくい。
まとめ:生成りで面を明るく、キャメルとオリーブで温度を整え、つや消し金の“点”で静かに締める
イエベ秋のオフィスカジュアルは、上6:下3:小物1の比率とマット〜微つやの厚みある素材が鉄則。
朝はテンプレに当てはめるだけで、信頼・落ち着き・抜けが同時に叶います。季節・職種・天候のさじ加減を少し足して、毎日を穏やかに、上品に。