MENU

パーソナルカラー別×彩度差で印象操作する方法【鮮やかさを一段変えるだけで“似合う”を自在にする】

強すぎる色を着ると顔だけが負けて見える日があるのに、まったく同じ色でもうまくいく日がある。逆に、やわらかい色を着た日は鏡ではきれいなのに、写真に写すとぼんやり広がって“何色を着ているのか分からない”と言われることがある。

さらに、オンライン会議のカメラで自分を見たときだけ急に顔が赤く見えたり、夕方に撮ったスマホ写真だけやけに服が強く写ったりして、「この色って似合っているの?」「診断結果とちょっと違う?」と感じることもあるはずです。こうした揺らぎは「この色が似合う」「この季節だ」といった大きな分類だけでは説明しきれず、実はその日の彩度の置き方が顔の情報量とずれていることで起きています。

彩度は色の鮮やかさの段階を示すもので、白や黒やグレーがほとんど混ざらない澄んだ色は高彩度、少しだけ白やグレーを含んでやわらいだ色は中彩度、さらにくすんで土っぽさを感じる色は低彩度になります。

人にはそれぞれ、肌の血色、目や髪のコントラスト、眉やまつ毛の量、顔だちの骨感から決まる「このくらいの鮮やかさで見ると一番調子がいい」という帯があります。ここから大きく外れて高すぎる彩度をまとえば服だけが強く前に出るし、逆に低すぎる彩度をまとえば服と顔が一緒にぼけて年齢が上に見えるのです。

結論はとても分かりやすくて、①自分の季節の中で基準にする彩度を決める→②顔に近いところは基準または基準の±1段だけにする→③顔から遠いところで初めて大きく上下させる、この順番で組み立てれば、同じクローゼットのままでも印象を柔らかくしたり、ハレの日だけ華やかにしたり、逆にきちんと落ち着かせたりが自在になります。

しかもこのやり方は、性別・年齢・骨格・体型・シーズン・髪色の変化にかかわらず使い回せるので、一度覚えてしまえば今後の買い物・撮影・SNS投稿・人前に出る場面ですべて応用ができます。

この記事では、最初に「彩度差とは何か」「なぜこんなに顔映りに効くのか」を明度や色相との違いをまじえて丁寧にそろえ、次に春夏秋冬それぞれで安全圏の彩度攻めるときの彩度を細かく書き分けます。

さらに、トップス・ボトム・アウター・小物・メイクといったアイテム別にどう上下させるか、ビジネス・休日・写真・オンライン・季節ごとの光でどう変わるかを細かく分岐させ、そこに年齢による見え方の変化髪色・パーマ・前髪の有無による補正まで足していきます。

最後に「彩度が高いと必ず若く見えるのか」「くすみ色をたくさん持っているときの生かし方は」「親子や家族で彩度が違うときのそろえ方は」「男性のビジネススーツで彩度をどう使うのか」といった現場で起きやすい疑問にまとめて答え、彩度に関する用語をやさしい言い換えで並べておきます。


目次

彩度差が印象を決める仕組みを最初にそろえる

彩度は「どれくらい濁りがあるか」「どれくらい純粋な色に近いか」を示す軸です。パーソナルカラーの説明では、先に色相(黄みか青みか)と明度(どのくらい明るいか)が語られがちですが、実際に服を着る場面でつまづきやすいのはこの彩度です。

なぜなら、同じピンクでも「はっきりしているピンクなのか」「粉をふいたようにやわらかくしたピンクなのか」の違いのほうが、肌のアラ・毛穴・影・赤み・黄ぐすみといった実物の質感に直接触れるからです。

高彩度は光を強く反射するので、顔がもともと淡い人には“服が画面に近づいてきた”ように見えますし、低彩度は光を吸ってしまうので、顔がもともと濃い人には“服だけが遠ざかった”ように感じられます。ここを理解すると、同じブルーでも「今日は強すぎるから一段落とそう」「今日はオンラインだから半段上げておこう」と1段階単位で色を動かす感覚がつかめます。

彩度はさらに、光源や背景でも見え方が変わるというやっかいさを持っています。白い会議室やオンライン会議の白背景では、低彩度の服は一緒に淡くなってしまうため、顔が小さくて繊細な人は少しだけ彩度を上げておいたほうが画面に負けません。

反対に、暗いレストランや夕方の屋外で高彩度を全面に出すと、光の量が足りずに服だけが“暗くて強いかたまり”になり、顔の表情が読みにくくなります。つまり彩度差は、自分の顔とのズレ+その場の光とのズレの二重で起きていると考えると分かりやすいです。

背景の色も重要です。たとえばオフィスの椅子・パーテーション・床材がグレー系の場合、低彩度の服はそのまま溶けてしまうので、せっかくの上品なスモーキーカラーもぼやけます。

背景がベージュ〜木目の暖色寄りの職場やカフェでは、青みの高彩度が強く見えやすく、反対にグリーンやテラコッタのような中〜低彩度のほうが落ち着いて見えます。写真撮影やSNS投稿で「後ろが白いから今日は一段上げる」「後ろが深い色だから今日は一段下げる」と決めておくと、同じ服でも仕上がりが一定になります。

彩度と明度・色相の違いをさらに丁寧に整理する

明度は白にどれだけ近いか/黒にどれだけ近いかで、縦に動くイメージです。色相は赤・黄・緑・青などのどのグループに属するかという横の位置です。彩度は、同じ位置・同じ明るさの中で「濁っているか澄んでいるか」という深さの調整です。

たとえばスプリングのコーラルでも、白を多く混ぜて肌なじみをよくしたコーラルは中彩度、何も混ぜずにぱきっとさせたコーラルは高彩度になります。サマーのラベンダーも、白に近いラベンダーなら低〜中彩度でおだやか、青みがしっかり出ているラベンダーなら中〜高彩度で画面に映える。

オータムのテラコッタも、赤茶が強く深いなら中〜高彩度、ベージュを足して土を感じるなら中〜低彩度。ウィンターのマゼンタやロイヤルブルーはほとんど濁りがないので典型的な高彩度です。ここまで分けてみると、「今日はサマーの色を着たのにサマーっぽく見えない」「春色なのに春の軽さが出ない」というときは、季節が外れているのではなく、季節の中の彩度の段を外していると分かります。

同じことは白・黒・グレーの無彩色にも言えます。白でも、ツヤのある白やパリッとした白シャツは実質的には高彩度寄りに見え、生成りやアイボリーは中〜低彩度に見えます。

黒も、毛羽だった黒は一段くすんで見え、ツヤ黒は一段鮮やかに見える。つまり「白だからOK」「黒だから全部同じ」ではなく、素材とツヤで実質的に彩度が1段動くと覚えておくと、コーディネートの失敗が少なくなります。

顔が受け止められる彩度は人によってこんなに違う

彩度をどこまで顔が受け止められるかは、肌色だけで決まりません。変わりにくいのは髪(色・量・太さ)と瞳の輪郭の強さです。髪が太くて量があり、黒〜こげ茶で光沢がある人は、多少高彩度を顔に近づけても押し返せます。

瞳の黒目と白目の差がはっきりしている人、虹彩に模様がある人、白目が真っ白な人も同様です。さらに眉の太さ・口元の色・頬骨の高さなど、顔の中に見るポイントがたくさんある人は、鮮やかな色が来ても“顔のニュース”が負けません。

反対に、髪が細くてやわらかく、瞳の色が薄い、眉も細い、唇の色もやさしいという人は、顔の中の小さな変化がそのまま出る人なので、高彩度を大きい面積で使うと服だけが前に出て、顔の陰影は消えてしまいます。こうした人は、首元の面積を小さくして彩度を上げるか、メイクやアクセサリーで顔の情報量を一時的に増やすことでバランスをとります。

年齢が上がると、同じ人でも受け止められる彩度が少しずつ狭くなります。これは顔の中のツヤ・水分・弾力が減って、光の返しが弱くなるからです。40代以上で「若いころはビビッドピンクが似合ったのに、今は顔がきつく見える」という人は、色相を変えるよりも、同じ色の彩度を半段か一段落とすだけで一気になじみます。

逆に、白髪が増えた人・ハイトーンに染めた人・ショートカットで耳まわりがすっきりした人は、顔まわりに白や肌色が増えて“情報量が薄くなった”ので、むしろ以前より彩度を上げたほうがちょうどいい場合もあります。これが「年を取ると明るい色が似合う」と言われる理由のひとつです。

彩度差が大きいと実際に何が起きるかをケースで見る

高彩度トップス×低彩度の顔のときは、まず肌の下にある青みや影が目立ちます。頬の横の影、口角の横の影、目の下のくま、ほうれい線など、本来は光で飛ばしておきたいところが、鮮やかな色の強さに引きずり出されるからです。写真では特に出やすく、スマホの自動補正がトップスに合わせて明るさを下げるため、顔だけが一段暗く見えてしまいます。

反対に、顔の彩度が高い日に服を落ち着かせすぎると、今度は「服が安っぽく見える」「服だけが引っ込んで顔ばかりが強い」というちぐはぐが起きます。

オンラインで「顔だけが画面に刺さっている」ように見えるのはこれです。つまり彩度差は、片方を基準にしてもう片方を寄せるのか、あえて差をつけてモードに寄せるのかを最初に決めておかないと、たまたまの組み合わせで良し悪しが大きく変わってしまうということです。

表:顔と服の彩度差による印象の変化

顔の状態服の彩度起きる印象調整のコツ
すっぴん〜ナチュラルで低彩度高彩度トップス服だけが前に出る・肌が薄く見える・頬の赤みが目立つ首元に中彩度を一枚挟む・チークとリップを同じ色相で+1段する・イヤリングで光を足す
メイク濃い・髪も濃い高彩度低彩度トップス顔だけが画面に刺さる・服が安っぽく見える・全体として疲れて見えるボトムやバッグを中〜高彩度にする・アイラインを細くする・リップを一段くすませる
中彩度メイク・中彩度顔同じ中彩度最も自然・上品・通勤向き・写真でも破綻しにくい彩度を上下させるなら小物から始める・髪をまとめた日はトップスを半段上げる
情報量が少ない・色白・小顔高彩度ワンピ服が主役の華やかさ・舞台や発表会には良いが日常ではやや強すぎる面積を小さくする・ボトムを落ち着かせる・首元をVやスクエアにして肌で中彩度を足す
情報量が多い・立体的・眉目がしっかり低彩度ワントーン大人っぽい・モード・写真ではやや沈む・素材やツヤ感しだいで地味にも上質にも見える顔の近くにだけ高彩度アクセを足す・リップだけ鮮やかにする・ネイルで彩度を足す
顔と首で彩度が違う(首がくすんでいる)彩度の高いトップス首だけくすみが強調される・年齢が上に見える首に中彩度スカーフ・タートルで首を覆う・ファンデで首色を上げる
男性でひげがある・目ヂカラ強め低彩度スーツ顔だけが重く見える・スーツが平らに見える・写真での顔の印象が強すぎるネクタイで中〜高彩度を一段足す・ポケットチーフを顔色に寄せる
メガネでフレームが濃い高彩度トップス顔まわりが情報過多・全体がうるさく見えるどちらか一方を半段落とす・メガネを細フレームにする

パーソナルカラー別に「安全な彩度」と「攻める彩度」を見える化する

春夏秋冬のパーソナルカラーには、それぞれもともと持っている彩度の幅があります。この幅の中の真ん中を日常の基準にし、上端を“盛る日”、下端を“なじませる日”とすれば、行事・オンライン・写真撮影・親族の集まりなど、どんな場面でも一貫して「その人らしい」印象が保てます。

また同じ季節でも、髪色を明るくした人・メイクを濃くした人・年齢が上がって透明感が出にくくなってきた人では、使いやすい彩度が少しずつズレますので、その補正のしかたもあわせて載せておきます。今回はさらに、男性のビジネスシーンでの彩度の考え方10〜20代の若い層があえて彩度を振るときの注意点も入れておきます。

スプリングタイプの彩度の考え方と補正

スプリングはもともと彩度が高くてもくすみにくいタイプで、クリア・明るい・あたたかい色を顔のそばに置いても肌のツヤと血色で受け止めやすいのが強みです。コーラル、アプリコット、ライトオレンジ、ピーチピンク、ミント、ライトターコイズ、バナナイエローなどをトップスにしても、顔の凹凸がそのまま残るので「元気」「若々しい」「フレッシュ」という印象を作りやすいです。

ただし、髪が暗めで瞳もしっかりしているスプリングは、子どもっぽくならないように彩度を中〜高の中でも少し落ち着いたところにとどめ、面積を大きくする、というやり方が合います。肌も髪も明るいスプリングは逆に、彩度を落としすぎると存在感が消えるので、淡い色を着る日はアクセサリーやリップで彩度を一段足すとバランスが取れます。

男性スプリングがビジネスで使うなら、ネクタイで彩度を上げ、シャツとジャケットは一段落とすとまとまります。白シャツ+ネイビージャケット+コーラル寄りのオレンジタイ、ライトブルーシャツ+ベージュジャケット+ミントグリーンの小物など、首元にだけ高彩度を置くやり方ならオフィスでも浮きません。逆に、スーツまで高彩度にすると軽く見えやすいので、面積はあくまで小さくします。

サマータイプの彩度の考え方と補正

サマーは基本的に中彩度で整えると最も透明感が出るタイプです。ライラック、ベビーピンク、ローズグレー、スモーキーブルー、ラベンダーグレーなど、白やグレーを少し含んだやわらかい色でそろえると、肌が明るく、頬の赤みもやさしく見えます。サマーがつまづきやすいのは、青そのものは似ているのに彩度が一段高いロイヤルブルーやマゼンタを顔に近づけたときです。

色自体は嫌いじゃないのに、急に目の下の影や鼻の赤みが気になり、「今日は化粧がのっていない」と感じます。これを避けるには、顔に近いところは必ず中彩度で1回受けてから高彩度を足すようにします。

たとえばスモーキーピンクのブラウスに高彩度の青みピンクのスカーフを小さく巻く、ラベンダーのニットにラズベリーのピアスだけを添える、といった二段構成です。逆に、写真で“ぼける”ときは、ラベンダーグレーやパールトーンばかりで組んでいることが多いので、そこにだけ一段高い彩度を足しておきます。

男性サマーの場合は、グレーやネイビーをベースにして、そこにだけラベンダー・ローズ・くすみブルーのネクタイを挟むと上品です。顔が淡い人は、シャツを白一択にせず、ほんの少し青みのあるサックスブルーにすると、ネクタイの中彩度とつながりやすくなります。

オンライン会議では、白背景×白シャツだと彩度がゼロに見えるので、襟元にだけラベンダーやベビーピンクのストールを一枚置くと、画面でも沈みません。

オータムタイプの彩度の考え方と補正

オータムは、キャメル・テラコッタ・マスタード・オリーブ・ブロンズ・こげ茶といった中〜低彩度で奥行きのある色が得意なタイプで、ここを大きく外すと急に“借りてきた色”になります。

なぜなら、オータムの肌は黄みや赤みを多く含んでいて、そこに白やグレーを足した高明度・高彩度を乗せると、肌と服のあいだに不自然な段差ができるからです。

とはいえ、オータムでも「今日は明るく見せたい」「オンラインでくっきり見せたい」「春夏に軽くしたい」という日はあります。

その場合は、彩度を一段だけ高くしたマスタードや、くすみをほんの少し抜いたオレンジブラウン、赤みをやや強くしたレンガ色などを顔の近くに置き、他のアイテムは従来のくすんだ彩度でまとめます。これならオータムの雰囲気を壊さずに“今日は印象が明るい”を作れます。

オータム男性のビジネスは、スーツそのものはネイビーやグレーでもよいですが、ネクタイやポケットチーフをテラコッタ・マスタード・オリーブにすると顔色がぐっと健康的に見えます。

シャツを真っ白にせず、生成りやライトベージュで一段くすませると、全体がまとまりやすくなります。くすみを多く使うと写真では暗くなりがちなので、SNSに載せる日だけはタブレットケースやベルトで彩度を一段上げるとバランスが取れます。

ウィンタータイプの彩度の考え方と補正

ウィンターは、彩度が高い色を最も美しく着られるタイプです。マゼンタ、ロイヤルブルー、エメラルド、ビビッドピンク、トゥルーレッド、アイシーブルーなど、ほぼ濁りがない色を顔に近づけても、目や髪や眉のコントラストが強いので飲み込みやすいのが特徴です。

ただし、全員が四六時中この最高彩度を着ていると“強い人”として固定されてしまい、仕事や立場によっては近寄りがたく見せることもあります。そこでウィンターは、日常では一段落としたネイビー・ディープベリー・ややくすんだブルーを基準にし、写真・舞台・プレゼン・推し活など“華やかさを全開にしたい日”だけ最高彩度を大きく使う、という二層運用が現実的です。

逆に、サマー寄りのスモーキーブルーやグレイッシュラベンダーだけでまとめると、ウィンターのはっきりした眼差しがぼやけ、血色も手放すことになるので、そこには必ず一点高彩度の小物を足します。

男性ウィンターの場合は、黒スーツやチャコールグレーに高彩度のネクタイを合わせるのがいちばん速いです。ロイヤルブルーや深いマゼンタのネクタイは、顔のコントラストに負けません。もし強すぎると感じたら、ポケットチーフを白にして彩度を逃がすか、シャツをややグレー寄りにして全体を落ち着かせます。

表:季節タイプ別・安全な彩度と攻める彩度

季節日常で安全な彩度帯華やかに見せるときに上げる彩度落ち着かせるときに下げる彩度髪色を変えたときの補正
中〜高彩度(クリアで明るい・黄みを含む色)ビビッド寄りのオレンジ・クリアな黄緑・鮮やかなコーラル白を混ぜたペールオレンジ・ミルキーベージュ・淡いアプリコット明るく染めたら彩度を+1、暗くしたら中彩度で面積を大きくする
中彩度(白とグレーを含むやわらかい青み色)口元か小物だけ高彩度の青みピンク・ラズベリー・やや鮮やかなラベンダーライトグレー・スモーキーピンク・パールトーン明るく染めたら顔まわりにだけ高彩度を小さく、暗くしたらトップスも一段落とす
中〜低彩度(くすみ・土っぽさ・黄みを感じる落ち着いた色)くすみを控えたマスタード・オレンジブラウン・赤みの強いテラコッタキャメル・カーキ・テラコッタをさらにくすませた色明るく染めたらトップスを一段明るく、暗くしたら彩度はそのままで面積を小さくする
中〜高〜最高彩度(濁りのない青み・赤み・緑・黒と白の強い世界)マゼンタ・ロイヤルブルー・エメラルド・トゥルーレッドネイビー・ディープベリー・チャコール・一段くすんだブルー明るく染めたら最高彩度を大きく、暗くしたら中彩度を基準に高彩度は小物に回す

アイテム別に彩度を上下させる実践手順で失敗を減らす

彩度を動かすときの鉄則は**「顔に近いほど基準に寄せ、遠ざかるほど遊ぶ」**です。トップス・ワンピース上身頃・スカーフ・ネックレスなど顔まわりに来るものは必ずその日の顔の彩度に合わせ、ボトム・アウター・靴・バッグ・柄にいくほど「彩度をずらす」「あえて強める」をしていきます。これを守るだけで、手持ちの服の彩度がばらばらでも毎日まとまって見えるようになります。ここでは、女性コーデ・男性コーデの両方から具体的に見ておきます。

顔に近いトップス・ストール・アクセサリーの彩度をそろえる

トップスやストールは、顔と一枚でつながる場所なので、ここで彩度を外すと一気に「今日は違う」と感じます。スプリングならクリアで明るい中〜高彩度、サマーなら白とグレーを混ぜた中彩度、オータムなら土を感じる中〜低彩度、ウィンターなら澄んだ高彩度か一段落としたネイビーを置くのが基本です。

ここで「今日は顔が薄い」「メイクが軽い」と感じたら、同じ色相で彩度だけを一段上げたストールやネックレスを足してあげます。逆に「今日はマスカラもチークも濃い」「髪を下ろして量がある」「イヤリングも大きい」という日は、トップスを一段くすませてあげれば、一気に上品に見えます。

男性の場合も同じで、顔に近づく順に彩度を整えるだけです。シャツ→ネクタイ→ジャケットの順に、シャツと顔の彩度を近づけ、ネクタイで一段上げ、ジャケットで一段落とすと、深みのあるスタイリングになります。これを逆にしてしまうと、ネクタイだけ浮いたり、逆に全部がくすんだりして「今日は手を抜いた?」と見えてしまいます。

ボトム・アウター・靴で彩度を足し引きする

ボトムやアウターは顔から遠いので、トップスよりも彩度を思い切って上下できます。サマーがスモーキーピンクのトップスにネイビーのボトムを合わせれば全体が引き締まり、逆にラベンダートップスに白ボトムを合わせればやさしく見えます。

オータムがキャメルのトップスにオリーブのボトムを合わせると落ち着いて見え、ここにオレンジブラウンのバッグを加えれば一段華やぎます。ウィンターならロイヤルブルーのトップスに黒パンツでモード、白パンツで夏らしく軽い、同じ青み系でも靴をベリーにすれば女らしく、エメラルドにすれば個性的です。

バッグや靴は、同じ色相で彩度違いのものをいくつか持っておくと、日によって上げ下げする調整弁になります。

男性なら、ボトム(スラックス・チノ)を中〜低彩度にしておき、ソックスや靴でほんの少し彩度を上げるとおしゃれに見えます。たとえばグレーのスラックスにこげ茶の靴なら、ソックスを深いワインにするだけで顔の彩度とつながります。ジャケットを脱いだときにもこの足元の彩度が効いてくるので、面積は小さくても無視はできません。

柄や素材で起きる“実は彩度が上がる”現象を理解する

柄は、無地よりも色どうしが比べられるため、同じ彩度でも一段高く見えます。とくに白地に高彩度の花柄・ストライプ・ドットをのせた場合、白が基準になって他の色が強く見えるので、顔が淡い人は注意が必要です。

こうしたときは、柄の中にある中彩度の色を一色だけ拾って首元に持ってくると、全体が落ち着きます。素材でも、光沢のあるサテンやポリエステルタフタ、ツヤの強いレザーは色を鮮やかに見せるので、実質的に一段彩度が上がったと考えます。

逆に、麻・ガーゼ・コーデュロイ・起毛素材のように表面がマットで凹凸がある素材は、色を一段くすませて見せるので、ウィンタータイプがこれを選ぶときは、色そのものを少しだけ高彩度にしておくと本来の良さが出ます。

メイクで彩度を補う・抑える

服の彩度がどうしてもコントロールしにくい日は、メイクで顔側を動かします。トップスが高彩度で顔が負けそうなら、チークとリップを同じ色相の中〜高彩度にそろえ、目元にだけツヤを足して“光るポイント”を増やせば、顔の情報量が増えて服に追いつきます。

反対に、トップスを低彩度にした日で顔が強く見えすぎるなら、リップを一段くすませ、チークもベージュ寄りにし、アイラインを短く細くするだけで、服と顔の彩度差が小さくなります。男性でも、リップクリームや色つき下地で血色だけを足すと、スーツの中彩度に追いつきやすくなります。

表:アイテム別・彩度操作の実例

アイテム彩度を上げる使い方彩度を下げる使い方
トップス・ワンピ顔が薄い日に鮮やかなコーラル・ロイヤルブルー・マゼンタを着る顔が強い日にスモーキーピンク・ブルーグレー・キャメルを着る
ボトム地味になったときに明るいテラコッタ・マスタード・オレンジブラウンを足す全体を大人っぽくしたい日にチャコール・ネイビー・こげ茶で落ち着かせる
アウター写真を撮る日に高彩度のコートやジャケットを羽織る通勤日にベージュ・グレージュ・オリーブのコートで抑える
バッグ・靴同色相の高彩度でアクセントをつくる低彩度で全体をなじませる
柄・スカーフ白地×高彩度柄で顔まわりを華やかにする柄の中の中彩度色だけを拾って首元に使い全体を穏やかにする
メイク・ネイルリップとチークで中〜高彩度を足し服に寄せるリップをベージュに・チークを淡くして服と差をなくす

シーン別・季節別に彩度差を使い分ける

彩度は、その場の光・背景・一緒にいる人の服装によっても見え方が変わります。春夏の強い光の下では低彩度が背景に溶けやすいので、少しだけ彩度を上げておくと写真でも残ります。秋冬の弱い光と重い素材の中では、高彩度を大きく使うと浮くことがあるので、顔だけ高彩度・体は中〜低彩度という二層構造にしておくと季節と調和します。

さらに、ビジネス・子どもの行事・親族の集まり・オンライン・推し活といった“空気を読みたい場面”では、彩度を一段落とすだけで安心感が出るので覚えておくと便利です。ここでは、女性の日常・男性の日常・家族で写るときの三つで考えます。

通勤・オフィスの日は中彩度を柱にする

通勤では、どの季節でも中彩度でそろえるのがいちばん無難です。春ならミルキーなコーラルやミント、夏ならラベンダーやブルーグレー、秋ならキャメルやオリーブ、冬ならネイビーやベリーのように、一段だけ鮮やかさを落とした色を主役にします。

ここにリップやスカーフで一段高い彩度を足すと、きちんと感を保ったまま華やぎます。役職が上がってきて「少し落ち着いて見せたい」ときは、トップスもボトムも中〜低彩度でまとめ、アクセサリーだけを小さく高彩度にしておくと、品のある強さになります。

男性の通勤なら、スーツやジャケットは中〜低彩度でまとめ、ネクタイで一段上げる、が基本です。会議が多くてきちんと見せたい日はネクタイも中彩度に落とし、ポケットチーフで小さく高彩度を足すと、周囲と調和しながらも顔色が死にません。

休日・写真・人と会う日は顔の周りだけ高彩度

休日や写真を撮る日は、人との距離が近くなり、屋外で光も強くなります。こうしたときは、顔の周りにだけ高彩度を足すと、写ったときに表情がくっきり残ります。スプリングならコーラルやオレンジ、サマーなら青みピンク、オータムなら少し鮮やかなテラコッタ、ウィンターならマゼンタやロイヤルブルー。

ボトムやアウターはいつもの彩度でよいので、“今日は会う日”をトップスと小物だけでつくれます。男性も、休日だけネクタイを外して代わりに高彩度のTシャツやニットを首元にのぞかせると、SNSの写真で顔がはっきり写ります。

子どもの行事・親族の集まり・学校関連の日

保護者会・参観・親族の集まりなどで浮きたくない日は、中彩度〜やや低彩度でまとめておくと安心です。サマーならパールグレーやローズグレー、オータムならキャメルやオリーブ、スプリングならミルクティーや明るいベージュ、ウィンターならチャコールやおさえたネイビー。

ここにだけ、一点だけ自分の季節の高彩度を持ってくると「その人らしさ」も残ります。家族写真では、全員がバラバラの彩度だとちぐはぐになるので、いちばん彩度が高い人に他の人が1段合わせるか、背景に合わせて全員を半段上げると見栄えがよくなります。

季節の光による見え方の違いを前提にしておく

春夏は光が強く、低彩度の服は写真で飛びやすいので、いつもの中彩度を半段だけ上げるとちょうどよく写ります。秋冬は光が弱く、ニットやウールなどのマットな素材が増えるので、高彩度を大きく使うと浮きます。

こうしたときは、顔にだけ高彩度を残し、コートやニットは中〜低彩度にしておきます。夜の外食や舞台を見に行く日は、会場が暗いので、顔まわりを一段明るい高彩度に、体を一段暗い中〜低彩度にしておくと、照明が当たったときに顔だけがきれいに浮かびます。

表:シーン別・季節別の彩度差コントロール

シーン/季節顔まわりの彩度体(ボトム・アウター)の彩度小物での調整
通勤・オフィス中彩度で抑える中〜低彩度で引き締めるリップ色やバッグで一段だけ上げる
休日・写真・会食一段高彩度にする普段通りの彩度にするスカーフ・ピアス・ネイルで顔と同じ彩度を足す
子どもの行事・親族中彩度〜やや低彩度にするやや低彩度で落ち着かせるきれい色は小物だけにして主張を小さくする
秋冬・コート中心の日顔を明るく見せるため中彩度にするコートは低彩度で季節感を出す暖色小物で彩度を戻す・ブローチで一点だけ高彩度を足す
夜の外食・舞台鑑賞照明に負けないよう高彩度にする背景より一段暗くして体を細く見せるバッグと靴を顔と同じか一段暗い彩度にして高級感を出す
家族写真・集合写真いちばん目立たせたい人に合わせる他の人はその人より半段落とす子どもだけ一段上げるとバランスが取りやすい

クローゼットを彩度階段で整理する方法

彩度差で服を回すには、クローゼットの中身を色相で並べるだけでなく彩度で段にしておくと一気に早くなります。やり方は簡単で、トップス・ワンピース・首に巻く物だけを一度すべて出し、同じ色相ごとに「高彩度グループ」「中彩度グループ」「低彩度グループ」に置きます。

ここで自分が一番多く持っている段が、その人の“無意識の基準彩度”です。たとえばスモーキーピンク・ラベンダーグレー・ブルーグレーなど中彩度が多いなら、その人はサマー寄りの中彩度を自然に選んでいるということです。次に、ボトム・アウター・バッグ・靴も同じようにざっくり三段に分けておくと、朝「今日は顔が薄いから一段上げよう」と思ったときに、高彩度の棚から一つ取るだけで済みます。

買い足しをするときも、「この色が足りない」ではなく「この彩度の段が足りない」で考えると失敗が減ります。たとえばオータムで中〜低彩度ばかり持っているなら、春夏に向けて一段だけ高いマスタードや明るめのテラコッタを足す。ウィンターで最高彩度ばかり持っているなら、秋冬に向けて一段落としたネイビーやディープベリーを足す。こうして段ごとにそろえておけば、家族と共有するときも説明しやすくなります。


Q&Aと用語辞典(現場でつまづくところをまとめて)

Q1. 彩度が高いと必ず若く見えますか。
A. 顔の情報量が多い人は若くハツラツに見えますが、情報量が少ない人は色に負けてかえって疲れて見えることがあります。自分の顔より一段上の彩度までを限度にして、どうしても高彩度を着たい日は面積を小さくするか、メイクで情報を足してからにします。

Q2. 低彩度ばかりだと地味になりませんか。
A. 顔の近くにだけ中彩度〜高彩度を足せば、服全体は低彩度でも地味にはなりません。淡いトップス+鮮やかなイヤリング、キャメルのワンピース+赤みのあるネイル、スモーキーブルーのニット+青みピンクのリップなど、小面積で十分です。

Q3. パーソナルカラーと彩度が合わない色が好きです。どうすればいいですか。
A. 好きな色を顔から遠ざけ、顔の近くは自分の季節の彩度でそろえるだけで着られるようになります。ボトム・バッグ・靴・柄の一部・アウターの裏地などに回すと、好きな色を我慢せずに済みます。

Q4. メイクを変えたら服の彩度も変えたほうがいいですか。
A. はい。リップやチークを鮮やかにした日はトップスも一段鮮やかに、くすみ系にした日はトップスも一段くすませると全体が整います。目元だけを強くした日は、口元とトップスで彩度を落としてバランスを取ります。男性でも、リップの色つきや頬にわずかな血色を足すアイテムを使うと、スーツの中彩度に負けにくくなります。

Q5. オンライン会議で顔だけが強く映ります。
A. 画面の白が高彩度の服をさらに目立たせているので、トップスを一段だけ彩度の低いものに変えるか、首元に中彩度のストールを挟んでください。あるいは、オンライン用に「中彩度のトップス」を一枚決めておくと早いです。

Q6. 家族や同僚と彩度が違うときに浮かない方法はありますか。
A. 全員の中間の彩度を自分が着るか、いちばん彩度が高い人に寄せて全員どこか一カ所を一段だけ上げる、のどちらかにするとまとまります。背景が白なら全員を半歩上げ、背景が暗いなら全員を半歩下げると写真でちぐはぐになりません。

Q7. 黒や白など無彩色はどう扱えばいいですか。
A. 無彩色でも、生地のツヤや素材によって実質的に彩度があるように見えることがあります。ツヤの強い黒は高彩度のように、マットな白は低彩度のように働きます。顔が淡い人はツヤ黒を顔に近づけすぎず、顔が濃い人はマット白を首元に挟んでから明るい色を着ると整います。

Q8. 染めたら急に似合う色が変わりました。彩度はどう調整しますか。
A. 髪は面積が大きく、色もはっきりしているので、変えると顔の彩度も一緒に変わって見えます。明るく染めたらトップスも一段明るく・一段高彩度にし、バッグや靴で元の深さを残します。暗く染めたらトップスを一段暗く・一段低彩度にし、インナーやアクセで光を足します。

Q9. 和装やセレモニーでもこの考え方は使えますか。
A. 使えます。着物やフォーマルは柄と地色のコントラストが強くなるので、顔の近くに来る半襟・帯揚げ・帯締めを自分の季節の中彩度に寄せ、帯や着物の地色で季節感を出せば、家族写真でも浮きません。

Q10. 彩度とトーン、どちらを優先すればいいですか。
A. 迷ったら彩度を優先します。トーン(澄んだ・やわらかい・深いなど)は見分けにくいですが、彩度は一段でもずれると顔にすぐ出ます。あとからトーンは素材やアクセサリーで寄せていけるので、まずは彩度でそろえる習慣をつけると早いです。

Q11. 年齢が上がってくすみが出てきました。この考え方でカバーできますか。
A. カバーできます。顔のくすみが気になるときは、トップスを中彩度に固定し、メイクだけを一段上げるか、逆にメイクを中彩度にしてトップスを一段上げるかのどちらかにします。両方を高彩度にすると無理しているように見えるので、どちらか一方を基準にします。

Q12. メンズでノータイの日はどうすればいいですか。
A. 襟元が開いて彩度がゼロになりやすいので、シャツそのものを中彩度にするか、ポロシャツ・バンドカラーなどで少し色を足します。ジャケットを一段落とすと全体が引き締まります。

用語辞典(やさしい言い換え)

彩度:色の濁りの少なさ・鮮やかさの度合い。濁りが少ないほど高彩度、グレーやベージュを含むほど低彩度。

高彩度:はっきり・ぱきっと見える色。舞台・写真・イベントに向くが、顔が薄いと服が勝ちやすい。

中彩度:日常で一番使いやすい鮮やかさ。通勤・学校・オンラインなどどこにでもなじみやすく、他の彩度ともつなぎやすい。

低彩度:くすみ・土っぽさ・グレイッシュな色。大人っぽいが、使いすぎると地味になるので、顔の近くにだけ中彩度を足すと上品になる。

清色:濁りのないすっきりした色。高彩度とほぼ同じ意味で使われることが多い。

濁色:少しグレーやベージュが混ざってやわらいだ色。中〜低彩度を指すことが多い。

情報量:顔にどれくらい「見るポイント」があるか。目鼻立ちの濃さ・髪の量・色のコントラストなどの総量。情報量が多いほど高彩度を受け止めやすい。

ドレープ:診断のときに顔の下に当てる布。これで顔色の変化を見る。これも明度だけでなく彩度の変化も見ている。

基準彩度:その人が一番きれいに見える鮮やかさ。季節や年齢が変わってもおおむね変わらないので、ここを先に決めると服選びが速くなる。

±1段:基準彩度より一段鮮やか・一段くすんだという意味。顔から遠い場所で動かすと失敗しにくい。

彩度階段:クローゼットの中を「高・中・低」の三段で分けておく考え方。今日の顔に合わせて段を選ぶだけでコーデが決まる。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次