導入(共感→結論→再現性)
「モノトーン服は似合うのに、顔だけのっぺり」「黒のアイラインで強くなり過ぎるか、白で浮くかの二択…」「グレーの影が土っぽい」——多くの失敗は、センスではなくブルベの肌温度に対する“光(白)・影(黒)・間(グレー)”の配分がずれていることが原因です。
結論は簡潔。白は“点”で乗せ、黒は“線”で締め、グレーは“面”で整える。さらに顔の上=白寄り/中央=グレー/下=黒寄りの三層配分を守れば、透明感・小顔・立体が一度に整います。
この記事では、色(白黒灰の温度)・位置(mm単位)・面積(点/線/面)・質感(艶/マット)・距離/照明の補正まで数値化。今日から再現できます。
1. 原理:ブルベ×モノトーンで“血色以上の立体”を作る(白=光/黒=影/灰=面)
1-1. 三層配分(上軽・中整・下締)
- 上(額・眉下・目頭)=白の“点”:点の光で白目が澄み、額が持ち上がる。額中央は米粒大を指でなじませるだけで十分。
- 中(まぶた・頬骨・小鼻まわり)=グレーの“面”:面の整えで質の良い影。半マットが安全。
- 下(まつ毛・目尻・唇輪郭内側・顎先)=黒の“線”:線の締めで小顔と遠近感。線は細く短くが基本。
表:役割別のテクスチャと分量(拡張)
| 要素 | 形 | 質感 | 面積 | 置き場所の例 | 失敗サイン |
|---|---|---|---|---|---|
| 白 | 点 | やや艶 | ごく小 | 目頭1mm/眉下5mm/額中央米粒/上唇山内側 | 白飛び/粉感 |
| 灰 | 面 | 半マット | 小〜中 | 上まぶた中央/頬骨外1/3/こめかみ下 | くすみ/面が広い |
| 黒 | 線 | マット | 細 | まつ毛の生え際/目尻1〜2mm延長/顎下1cm | 強すぎ/線が浮く |
1-2. 温度管理(冷灰に統一)
ブルベは青〜紫に寄る冷灰が安全。黄寄りの灰(グレージュ)で黄ぐすみが出やすいので、スレート/チャコール/ブルーグレーを基調に。冬タイプは明度差を大きく、夏タイプは粒を細かくして質感を軽くします。
1-3. 距離と照明の補正(自撮り・対面・舞台)
- 近距離(自撮り):白−10%、黒−20%、灰+10%。光が近いため白は点を小さく。
- 対面(1〜2m):既定値。質感は半マット中心が清潔。
- 舞台/強照明:白+20%、黒+10%、灰は半マット固定。汗対策で粉→ミスト→粉の順に固定。
2. ベース:透明感を底上げする“白の点”と“灰の面”
2-1. 下地とファンデ(薄膜・半マット)
- 下地:薄く光るタイプをTゾーン・目下三角・顎先に“点置き”。頬中央は置かない。
- ファンデ:薄膜の半マットを中心から外へ。**小鼻外と口角外は量−30%**で厚みを避ける。赤みが強い日は灰の面を+1足し、白は据え置き。
2-2. ハイライト(白は点のみ)
- 位置:目頭1mm/眉下5mm/額中央米粒/上唇山内側/顎先中央。頬の広面積ハイライトはNG(白飛び)。
- 質感:細かい艶。大粒は“面の暴走”で立体が壊れる。
- 量の目安:指先で1回だけタップ。鏡で光の点が見える程度で止める。
2-3. シェーディング(黒は線、灰は面)
- 灰(面):頬骨外1/3に直径2cm以内。こめかみ下に小面を足すと額が締まる。
- 黒(線):顎先の下に1cm短線、小鼻の外は触らない。鼻は鼻根1.2cmのみ。線は一筆書きで止めると濁りにくい。
表:ベース設計の安全域(微調整つき)
| 項目 | 白 | 灰 | 黒 | 注意 | 当日補正 |
|---|---|---|---|---|---|
| 量 | ごく少 | 少〜中 | 最少 | 広面積/強線は老け見え | 口紅濃→白−1点/黒−1mm |
| 質感 | 微艶 | 半マット | マット | 毛穴/線が強調されない | 乾燥→灰を練りに変更 |
| 置場 | 点 | 面 | 線 | 小鼻/法令線は避ける | マスク日→顎線を短く |
3. 目元:線で締め、面で整え、点で澄ます
3-1. アイブロウ(冷灰の面+黒の線)
- 色:グレー/アッシュ。明度は髪−0.5で重すぎを回避。
- 形:直線寄り、眉山は外寄り。最後に眉尻だけ黒の線を1〜2mm延長。下辺をまっすぐに引くと清潔。
- 密度調整:前1/3は灰、後2/3は灰+黒で奥行き。
3-2. アイシャドウ(灰は面で中央に)
- 配置:上まぶた中央=冷灰(面)/目尻=やや濃灰(小面)。目頭は白1mmで澄ませる。
- グラデ:横グラデ(中央明→外濃)で幅が出る。縦グラデ(下薄→上濃)は舞台向き。
- 粉質:半マット>細かい艶。大粒は避ける。
3-3. アイライン&まつ毛(黒は極細の線)
- ライン:まつ毛の隙間埋め+目尻1〜2mm。跳ね上げは水平寄りで大人見え。
- 下まぶた:黒は使わず灰のみで影を示す。粘膜は未処理が清潔。
- まつ毛:根元だけ持ち上げる。全体のボリュームは**+1段まで**。毛先は扇状に広げない。
表:距離・照明×目元の比率(拡張)
| シーン | 白(点) | 灰(面) | 黒(線) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 自撮り | −10% | +10% | −20% | にじみ防止重視/ラインはジェル薄 |
| 日中対面 | 既定 | 既定 | 既定 | 半マット中心 |
| 会食の夜 | +10% | 既定 | +10% | 粉で固定→ミスト |
| 舞台/強照明 | +20% | 既定 | +10% | 下まぶたは灰のみ |
4. 頬・唇:色は薄く、形で魅せる(線と面の配分)
4-1. チーク(灰バラ/モーブの超小面積)
- 位置:黒目の外側下→頬骨外1/3に半月状の超小面。直径1.5〜2.0cm。
- 量:“息で鳴らない量”。ブラシは小扇で境界1cmだけを払う。
- 濃淡連動:口紅濃→直径1.2cm/口紅薄→直径2.0cm。
4-2. リップ(輪郭は細、内側を濃く)
- 形:内側を濃く、外周は細く。上唇山は白の点で持ち上げ、輪郭は綿棒で1周ぼかす。
- 色味:青みピンク/ベリー薄/プラム薄。艶は少量で清潔に。
- バランス式:
- 黒ライン強めの日→口紅は薄膜。
- 口紅主役の日→黒ラインは短く、灰の面+1で均衡。
4-3. 仕上げ(粉とミストの順序)
- 粉:透明粉をごく少量、線は触らず境界のみ。目の下は筆先で置く。
- ミスト:冷ミスト1プッシュで粒子を寝かせ、線をにじませない。マスク日はミスト→粉でラストに粉を追加。
表:頬・唇の連動早見(拡張)
| 口紅の濃さ | チーク | ハイライト | 眉/目の調整 | 粉/ミスト |
|---|---|---|---|---|
| 薄 | 直径2.0cm | 白+1点 | ライン+1mm | 粉少/ミスト小 |
| 中 | 直径1.5cm | 既定 | 既定 | 既定 |
| 濃 | 直径1.2cm | 白−1点 | ライン−1mm・灰+1面 | 粉多/ミスト中 |
5. プリセット:季節/TPO/顔型で最短正解(数値つき)
5-1. 季節別(春夏秋冬)
- 春:白**+10%、灰既定**、黒**−10%。艶は+0.5。花粉時は粉少/ミスト多**で密着。
- 夏:白既定、灰**+10%(半マット)、黒−10%。汗対策に皮脂吸着下地は鼻のみ**。
- 秋:白既定、灰既定、黒**+10%。艶は−0.5で上質。くすみ日は白を+1点**。
- 冬:白**+10%(点)、灰既定**、黒**+10%。粉はしっかり固定**、乾燥日はミスト先行。
5-2. TPO別(仕事/盛り場/写真/在宅)
- 仕事:白点×2(目頭/眉下)、灰面×2、黒線短。声より目の説得力が上がる。
- 盛り場:白点×3(+上唇山)、灰面×2、黒線中。目尻は水平〜ごく浅角。
- 写真:白点×2、灰面+1、黒線+1mm。にじみ防止で下まぶたは灰のみ。
- 在宅/画面:白点を目頭のみ、灰面を+10%。眉は直線強めで映える。
5-3. 顔型別(丸/面長/逆三角/四角)
- 丸:黒の線=短く細く、灰の面=外1/3で縦比率UP。白は額中央を重視。
- 面長:白の点=眉下より額中央へ、黒の線=目尻は水平、唇は輪郭を細く。
- 逆三角:灰の面=目尻下を厚め、顎先の黒線は短く。眉尻は外下げで安定。
- 四角:頬骨外1/3の灰面で角を和らげ、顎の黒線は中央のみ。白は眉下より目頭優先。
表:プリセット数値まとめ(季節×TPO)
| 軸 | 白(点) | 灰(面) | 黒(線) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 春 | +10% | 既定 | −10% | 艶+0.5 |
| 夏 | 既定 | +10% | −10% | 皮脂部位限定下地 |
| 秋 | 既定 | 既定 | +10% | 艶−0.5 |
| 冬 | +10% | 既定 | +10% | 乾燥はミスト先行 |
| 仕事 | 点×2 | 面×2 | 線短 | 直線眉 |
| 盛り場 | 点×3 | 面×2 | 線中 | 目尻浅角 |
| 写真 | 点×2 | 面+1 | 線+1mm | 下まぶた灰のみ |
| 在宅 | 目頭のみ | 面+10% | 線短 | 画面映え |
Q&A(よくある疑問)
Q1. 白パールが浮く。 粒が大きすぎます。粒小の微艶に替え、目頭1mmのみに。頬には置かない。
Q2. 黒ラインが強すぎる。 線を0.1〜0.2mm細く、目尻延長−1mm。灰の面を+1で均衡。
Q3. グレーが土色に。 冷灰(スレート/ブルーグレー)へ。黄灰(グレージュ)は避ける。
Q4. にじむ。 粉→ミスト→粉のサンドで固定。下まぶたは灰のみで黒は使わない。
Q5. 血色が足りない。 モーブ薄のチークを直径1.5〜2.0cmで。口紅は青みピンクを薄膜に。
Q6. 眉が濃い。 前1/3の密度を−20%、眉尻だけ黒線1mmで締める。
Q7. 口紅がにじむ。 輪郭を綿棒で一周ぼかし→粉少量→内側のみ重ね。
Q8. マスクで崩れる。 ミスト→粉の順で終え、顎の黒線は0.5cm短縮。
用語辞典(やさしい言い換え)
点の光:ごく小さな明るさ。目頭1mmや額中央の米粒など。
線の締め:極細の黒で輪郭をまとめること。目尻1〜2mmの延長など。
面の整え:半マットの灰で広げ過ぎずに均すこと。頬骨外1/3など。
冷灰:青〜紫に寄る灰色。ブルベと相性が良い。
半マット:ほとんど光らないが粉っぽくない質感。
薄膜:重ねを最低限にして肌の凹凸を消し過ぎない塗り方。
一筆書き:線を途中で足さず、一度で引いて止めること。
水平寄り:目尻の角度をほぼ水平に近づける描き方。
まとめ モノトーンの立体感は、白=点/灰=面/黒=線の役割分担と、上軽・中整・下締の三層配分、さらに距離・照明に応じた比率補正を守るだけで安定します。
粒は小さく、線は細く、面は狭く。冷灰で温度を統一し、点→線→面の順でレイヤーすれば、白黒グレーだけで透明感・小顔・立体が同時に手に入ります。

