毎朝クローゼットの前で「何を着るか」ではなく「何が似合うか」で迷ってしまう人の違和感を先に拾います。診断で自分のパーソナルカラーが分かっても、実際のワードローブは黒・ネイビー・グレー・ベージュなど無難な色が多く、せっかくの似合う色が日常に落ちていないことがよくあります。
しかも忙しい平日には、色だけでなく洗濯の回数・気温・職場の雰囲気・家事との両立という複数の条件を一度に満たさなくてはならず、結果として「同じような服を着るのに、なぜか顔色だけ毎日違う」という状態に陥ります。結論から言えば、パーソナルカラーの中から顔映えするトップスを3色にしぼり、どのシーズンでも使いやすい中立色のボトムスを3本に決めるだけで、最低9通りのコーディネートが自動的に組めるようになります。
9通りあれば、1週間+週末の外出をすべてまかなえますし、そこにアウターや小物を足せば季節もまたげます。この記事では、春夏秋冬の4タイプ別に「どの3色を選ぶと最も顔映えするか」「どの3本なら職場と休日を両方こなせるか」をくわしく示し、さらに実際の組み合わせ例を9パターン書き起こします。
どれも手持ちのベーシックアイテムにのせるだけで成立するようにしてあるので、今日から組み替えができます。
なぜトップス3×ボトム3でいいのか
顔に近い色を固定すると着回しの質が一気に上がる
着回しを難しくしている一番の原因は、顔に近いトップスが毎日違う色・違う明度になっていることです。たとえばブルベ夏の人が、月曜に黒、火曜に黄みの強いベージュ、水曜にラベンダー、木曜に白とバラバラに着ると、そのたびにメイクの色・イヤリング・ストールを変えなければならず、手間がかかります。
ここをパーソナルカラーの範囲で似合う3色に固定してしまえば、首から上の印象は常にきれいに整います。あとはボトムスと小物でTPOを変えるだけで済むので、時短になり、写真写りも安定します。
ボトムスは中立色に寄せたほうが季節も職場もまたぎやすい
ボトムスを色で遊ぶこと自体は楽しいのですが、洗濯や職場の制約を考えると、黒・ネイビー・グレー・ベージュといった中立色を3本持っておいたほうが現実的です。
中立色はどのパーソナルカラーにもなじみやすく、季節も選びません。トップスをシーズンの色で変え、ボトムを中立色で受け止める構図を作っておくと、上は自分向け、下は社会向けというわかりやすい役割分担ができます。とくに通勤が多い人・制服やエプロンのある人・子育てで汚れやすい人にはこの方法が向いています。
9通りあれば1週間+予備がまわせる
トップス3枚とボトム3本なら、単純なかけ合わせで9通りができます。雨の日に向かないボトムを1本休ませたとしても6通りは残り、そこにアウター・靴・バッグの変化を足せば十分に別服に見えます。9通りを“自分のパーソナルカラーに沿った色の組み合わせ”で作っておくと、誰に会う日でも顔色が落ちません。これが「毎朝迷わない」ための最初の布陣です。
表:9コーデ計画の考え方
| 観点 | 内容 | ねらい |
|---|---|---|
| トップス3 | パーソナルカラーで顔映えする色だけを3色にしぼる | 首から上を常に整える |
| ボトム3 | 黒・ネイビー・グレー・ベージュなど中立色を中心に3本 | 職場・季節に左右されにくくする |
| 9通り | 3×3で9パターン作成、うち2〜3はお出かけ用に寄せる | 1週間+週末を1セットでまわす |
シーズン別・トップス3色の決め方とボトム3本の基本
イエベ春:あかるさ優先で血色を底上げする
イエベ春は、明るく黄みを含んだ色が得意です。トップスの3色は、コーラルピンク・ライトベージュ(黄み寄り)・アプリコットまたはミルキーな水色を選んでおくと、顔色がふわっと上がります。
ここに白を入れてもいいのですが、真っ白よりは少しクリームがかっているほうが肌に自然になじみます。ボトムスは、黒を1本、ライトベージュを1本、ネイビーかキャメルを1本にしておくと、仕事と休日のどちらにも対応しやすくなります。黒×コーラルなら華やか、ベージュ×ライトベージュなら柔らかく女性らしい、ネイビー×水色なら爽やかと、配色が読みやすいのも春の強みです。
ブルベ夏:青みとやわらかさでそろえる
ブルベ夏は、くすまずにやさしく見える青みのある色が鍵です。トップスは、ラベンダー・ダスティローズ(ほのかに青み)・アイシーブルーまたはスモーキーな白を基本の3色にします。
どれも顔の赤みや黄ぐすみをほどよく中和し、柔らかく見せてくれます。ボトムは、やや明るめのネイビー、ライトグレー、黒の3本があると便利です。黒だけだと重く見える日も、ラベンダーやアイシーブルーにライトグレーを合わせれば夏らしい透明感が出ます。
イエベ秋:深さを生かしつつ重さを抜く
イエベ秋は、黄みがあって深みのある色が得意ですが、すべてを濃くしてしまうと夏に着づらくなります。そこでトップスは、ライトテラコッタ・エクリュ寄りの生成り・オリーブを淡くしたような若草色といった“明るめの秋色”で3色を作ります。これらは秋の落ち着きはあるのに、顔が暗く沈むほどではありません。
ボトムは、ブラウンまたはキャメル、黒、カーキまたは深めのオリーブを1本ずつ。黒×ライトテラコッタならきちんと、キャメル×生成りなら優しく、オリーブ×若草色なら秋らしくまとまります。
ブルベ冬:コントラストを見せる3色にする
ブルベ冬は、はっきりとした色で顔が一気に冴えます。トップスは、純白・フューシャピンク(またはマゼンタ寄り)・ロイヤルブルーの3色にしておくと、どれを選んでも画面映えします。純白はシャツ、フューシャはニット、ロイヤルブルーはジャージー素材やとろみブラウスにしておけば、オンにもオフにも使えます。
ボトムは、黒・チャコールグレー・ミッドナイトネイビーの3本があると、どのトップスとも高コントラストで組めますし、冬以外の季節に少し軽くしたいときはチャコールを優先すれば重さが抑えられます。
全シーズン共通:ボトム3本はこう選ぶ
ボトムを3本にしぼるときは、**1本は黒か濃紺の“締める色”、1本はベージュ・ライトグレーなどの“軽くする色”、1本は季節や好みに合わせた“遊べる色”**にしておくと年間が回ります。
たとえば春タイプなら黒・ライトベージュ・デニム、夏タイプならネイビー・ライトグレー・細めの黒、秋タイプなら黒・キャメル・カーキ、冬タイプなら黒・チャコール・ネイビーという具合です。
表:シーズン別トップス3×ボトム3の例
| シーズン | トップス3色 | ボトム3本 | コメント |
|---|---|---|---|
| イエベ春 | コーラル、ライトベージュ、ミルキー水色 | 黒、ライトベージュ、ネイビー | 明るさを最優先して重くしない |
| ブルベ夏 | ラベンダー、ダスティローズ、アイシーブルー | ネイビー、ライトグレー、黒 | 青みとやわらかさで統一する |
| イエベ秋 | ライトテラコッタ、生成り、淡オリーブ | 黒、キャメル、カーキ | 深さと軽さを1:1で混ぜる |
| ブルベ冬 | 純白、フューシャ、ロイヤルブルー | 黒、チャコール、ミッドナイト | コントラストで魅せる |
9コーデを実際に組み立てる手順
手順1:トップスを1→2→3の順に固定していく
まずはトップス1枚目を「一番顔映えする色」に指定します。春ならコーラル、夏ならラベンダー、秋ならライトテラコッタ、冬なら純白です。この1色を月曜の基本にして、ボトムを黒・ベージュ(またはグレー)・ネイビー(またはキャメル)という順で合わせていきます。
次にトップス2枚目を火曜・水曜用、トップス3枚目を木曜・金曜+週末用と割り当てると、自然に9通りが埋まります。曜日で分けておくと「今日は何を着るか」を考えなくてよくなります。
手順2:季節に合わせて素材だけを差し替える
9コーデの芯になるのは色の組み合わせなので、温度差には素材で対応します。春夏はトップスをコットン・リネン混・とろみ、ボトムを薄手のウールライクやコットンツイルにし、秋冬は同じ色でニット・ウール・起毛素材に替えます。
たとえばブルベ夏で「ラベンダー×ライトグレー」の組み合わせなら、夏はラベンダーのコットンブラウス+ライトグレーの薄手テーパード、冬はラベンダーのハイゲージニット+ライトグレーのウールパンツというふうに、色は変えずに素材だけを変えます。これで季節ごとに新しく9コーデを考え直す手間がなくなります。
手順3:小物で“今の季節”を足す
9コーデはあくまでベースなので、季節の行事や天候は小物で調整します。春は白やベージュの靴と小ぶりバッグ、夏はかご素材や白スニーカー、秋はブラウンやボルドーの革小物、冬は黒のショートブーツやタイツを足すと、同じ9コーデでも別の季節に見えます。パーソナルカラーに合ったストールやイヤリングを1〜2色そろえておくと、より顔まわりが安定します。
手順4:9コーデの中に“お出かけ寄り”を2つ仕込む
9通りすべてを仕事用にしてしまうと週末に着るものがなくなるので、2つだけきれいめ寄りの組み合わせを最初から作っておきます。
たとえば春タイプなら「ミルキー水色トップス×ネイビーワイドパンツ」にパールを足す、夏タイプなら「ラベンダートップス×黒テーパード」にシルバーのイヤリングを足す、秋タイプなら「生成りトップス×キャメルフレア」にベルトを足す、冬タイプなら「フューシャトップス×チャコールパンツ」にヒールを足す、という具合です。これで、突然の会食や写真を撮る日にも対応できます。
表:ブルベ夏の9コーデ例
| 番号 | トップス | ボトム | 想定シーン |
|---|---|---|---|
| 1 | ラベンダーブラウス | ネイビーテーパード | 月曜のオフィス |
| 2 | ラベンダーブラウス | ライトグレーワイド | 来客・打ち合わせ |
| 3 | ラベンダーブラウス | 黒スカート | きちんとした日 |
| 4 | ダスティローズニット | ネイビーテーパード | 通常勤務 |
| 5 | ダスティローズニット | ライトグレー | 在宅・画面映え |
| 6 | ダスティローズニット | 黒テーパード | 会食・同行 |
| 7 | アイシーブルーシャツ | ネイビー | すっきり見せたい日 |
| 8 | アイシーブルーシャツ | ライトグレー | 週末の外出 |
| 9 | アイシーブルーシャツ | 黒スカート | 写真に残る日 |
よくあるつまずきとその直し方
黒ボトムが多すぎて9コーデが全部同じに見える
黒ボトムを3本持っている人は、どれを合わせても同じ印象になりがちです。この場合は、黒を1本だけ残して、残りをライトグレーまたはベージュに差し替えます。パーソナルカラーが夏・春ならライトグレー、秋・冬ならベージュやキャメルのほうがなじみます。どうしても黒しか職場で使えないときは、トップスの明度と素材をしっかり変え、アクセサリーで季節感を出して変化をつけます。
トップスがパーソナルカラー外の色ばかり
「手持ちが黒・ベージュ・カーキしかない」という場合は、似合う色を急に3色も買い足そうとせず、まず1色だけ顔映えする色を買います。1色を3回使い回すだけでも、コーデのうち3つはしっかり似合います。次のシーズンにもう1色、さらに次のシーズンにもう1色と増やせば、無理なくトップス3色に到達します。
体型カバーを優先したら色がバラバラになった
骨格や体型をきれいに見せることを優先すると、どうしても黒や濃色が増えやすいです。その場合は、体型カバーを担う黒やネイビーのボトムはそのままにして、顔に近いトップスだけをパーソナルカラーに寄せます。これで“着やすさ”と“似合う色”のバランスが取れます。
Q&Aと用語辞典
Q&A
Q1. 9コーデだと季節が変わったときに足りなくなりませんか。
A. 9コーデはあくまで“色の核”なので、季節が変わったら素材だけを変えてください。ラベンダーのブラウスをラベンダーのニットに、生成りのカットソーを生成りのタートルにといった具合に、同じ色で季節の素材にするだけで、色の組み合わせはそのまま使えます。
Q2. パーソナルカラーが2シーズンにまたがると言われました。どちらを優先すればいいですか。
A. よく着る場面に合わせます。オフィスで涼しげに見せたいならサマー側を、明るく元気に見せたいならスプリング側を主にします。主シーズンのトップスを2色、副シーズンを1色にするとまとまります。
Q3. ボトムを柄物にしたいときはどうすればいいですか。
A. 3本のうち1本だけ、小さなチェックや細ストライプなどの柄物にしておくと、9コーデのうち3つに変化がつきます。柄の色はボトムのベースを中立色に寄せておくと、パーソナルカラーのトップスともぶつかりにくいです。
Q4. 洗濯の回数が多くて同じトップスを続けて着られません。
A. 同じ色みで素材違い・デザイン違いを用意しておくと、周囲からは同じ色を着ているように見えます。たとえばラベンダーのブラウスとラベンダーのカットソー、コーラルのニットとコーラルのTシャツというように、色をそろえておくと着回しが楽です。
Q5. 小物は何色を選べばいいですか。
A. まずは中立色のバッグと靴を1セットずつ(黒またはベージュ)揃え、そこに自分のパーソナルカラーの中で一番顔映えする色のスカーフやイヤリングを足します。これだけで9コーデの表情が変わります。
用語辞典
中立色:どのパーソナルカラーでも大きく外さずに使える色。黒・白・グレー・ネイビー・ベージュなど。
差し色:コーディネート全体を明るくしたり、写真で映えさせたりするために部分的に使う色。パーソナルカラーの中から選ぶと顔映えする。
ベース配色:トップスもボトムも中立色でまとめた落ち着いた配色。ここに差し色のトップスを1枚足すと印象が変わる。
パーソナルカラー:肌・目・髪の色との調和によって似合うとされる色のグループ。春・夏・秋・冬の4つに分けられ、さらに明度や彩度で細分化される。
まとめ
パーソナルカラーを日常に活かすには、大量の服を買い替える必要はなく、まずは顔映えするトップス3色と、どんな場面でもはけるボトム3本を決めることが近道です。3×3の9コーデができれば、平日も休日も「とりあえずこれを着れば似合う」と言える軸ができ、そこに季節の素材や小物を足すだけで長く運用できます。
今日このあとクローゼットを開いたら、パーソナルカラーに沿ったトップスがいくつあるかを数え、3色に足りないぶんをメモしてください。それが次の買い物リストになり、迷わずに“似合うほう”を選べるようになります。

