「診断ではスプリングと言われたのに白を着ると顔が浮く」「夏カラーをそろえたのにオンライン会議だと急にくすむ」「秋っぽいキャメルが本当は好きなのに、顔に近づけると一気に老ける」「冬タイプだけど真っ黒はきつくて、でも白すぎると体だけ膨張する」——こうした“なぜか今日はうまくいかない日”の正体は、多くの場合、色相や季節の選び方ではなく、顔と服に生まれている明度差です。
人の顔にはそれぞれ、肌・髪・瞳・眉・首まわりが合わさってできるもともとの明るさの帯があり、そこから外れた明るさの服を大きな面積で合わせると、目の下の影が強くなったり、ほうれい線が深く見えたり、逆に顔だけが光って中身がなく見えたりします。
つまり「似合う季節の色を着ているのに似合って見えない」という日は、実は季節が外れているのではなく、明るさだけが外れているのです。結論はとても単純で、自分の季節の中で、顔と同じ明るさか一段だけ上下の明るさにそろえる、これを守るだけで、急に「今日は肌がきれい」「痩せて見える」「写真がいつもよりいい」と感じる回数が増えます。
この記事では、最初に「明度差とは何か」「なぜ顔の見え方をそこまで左右するのか」という根本を分かりやすく説明し、続いて春夏秋冬それぞれのパーソナルカラーでどの明度帯にいると一番ラクなのかを細かく分けます。
そのうえで、トップス・ボトム・アウター・小物といったアイテムごとの明度操作、屋外と室内・日中と夜・写真とリアルでの見え方の違い、年齢やメイクの濃さでどう一段シフトするか、そして最後に「黒を捨てたくない」「白をどうしても着たい」「家族と明度がバラバラ」「染めたら急に似合わなくなった」というよくある質問に答え、用語もやさしく言い換えておきます。
ここまでをひとつの流れとして読めば、今持っている服の色を変えずに、明るさの位置だけを並べ替えて似合わせることができるようになります。
明度差が顔映りを変える仕組みを最初にそろえる
明度は「どれくらい白に近いか/黒に近いか」という高さのことです。色相(赤・青・黄などの“色み”)や彩度(鮮やか・くすんだ)と違い、明度は光の当たり方や写真の露出、背景との対比で大きく印象が変わります。
だからこそ、実際に着る場面で失敗しやすいのは明度です。診断で渡されるカラースウォッチはすべて同じ光の下で見ていますが、現実には蛍光灯・太陽光・曇り・夕方・室内スポットライト・PCの白い画面など、照らされる光の色と強さが違います。
明度が高すぎる服を着て白いPC画面の前に座ると、服と背景の白がつながってしまい、顔の輪郭があいまいになります。逆に、暗い会場で低明度のワンピースを着ると、服と背景が一体化して下半身の形が見えにくくなります。これは「似合う/似合わない」の前に、明度の差が背景や光とぶつかっているからです。
明度と色相・彩度の違いをもう一歩だけ詳しく
色相は「暖色か寒色か」「黄みか青みか」といった横の違い、彩度は「鮮やかか穏やかか」という強さの違いです。パーソナルカラーではまずここを見ます。
けれども、同じスプリングの黄みピンクでも、白をたっぷり混ぜたペールピンクと、やや濃いサーモンピンクでは見える明るさがまるで違いますし、同じウィンターの青でも、白に近いアイシーブルーと夜空のようなネイビーでは明度が真逆です。
人の顔はこの明度のズレにはとても敏感で、**季節が合っていても明度が合っていないと「今日はくすむ」**が起きます。反対に、彩度がほんの少しズレていても明度が合っていれば「なんとなくきれい」に見えることが多いのです。
顔の明度はどのパーツで決まるのかを細かく見る
顔の明度を判断するとき、肌だけを見ると季節や日焼けで簡単に変わってしまうので、変化しにくいところから順に見ます。まずは髪の明るさです。地毛がライトブラウンや明るい茶で、染めていなくても光を含む人は、顔の明度を高めに取ったほうが自然に見えます。
次に瞳の輪郭の濃さです。黒目と白目の境がふんわりしている人、虹彩に淡い模様がある人は、強すぎる暗さを顔に近づけると目だけ負けます。反対に、黒目がはっきりしていて白黒写真でもまぶたのラインが残る人は、低明度の服を顔に近づけても負けません。
三つ目は眉の太さと色で、眉が細く淡い人は明るめでまとめると全体がつながり、眉が太く濃い人はどこか1カ所に濃い色を置かないと眉だけが浮きます。最後に首との色差を見ます。顔と首の明るさが違う場合は、首のほうに合わせておくと服との境目が目立たず、顔色も整います。
明度差が大きいと実際にどう見えるかをケースで説明する
明るい人が暗い服を大きい面積で着ると、顔に影が増え「疲れている」「夕方っぽい」「撮影の露出が足りない」ように見えます。目の下のくま、口元の影、ほうれい線、眉間のしわなど、通常は光で飛んで見えないところが出てくるからです。
暗めの人が明るい服を大きい面積で着ると、今度は服だけが手前に出てきて、顔が奥に押し込まれたように見えます。「服はきれいだけど顔の情報量が足りない」「髪や眉がやたら強い」という状態がこれです。
中間明度の人が極端に明るい色を着ると、全身が膨張して見え、逆に極端に暗い色を着ると急に年齢が上がって見えます。つまり、**明度差を2段以上つけると“今の顔と服が別々に見える”**と思っておくと分かりやすいです。
表:顔と服の明度差による見え方の違い
| 顔の明度 | 服の明度 | 起きやすい見え方 | その場での応急処置 |
|---|---|---|---|
| 高い | 低い | 顔色が沈む・くまが目立つ・肌が黄ぐすむように見える | えり元に白/アイボリーを足す・髪を耳にかけて光を顔に回す |
| 低い | 高い | 顔だけ奥に引っ込む・眉と髪だけが浮く・服が手前に出すぎて見える | バッグや靴を暗くする・ジャケットを挟んで服の白を分割する |
| 中間 | 極端に高い | 全身が甘く膨張して見える・顔の陰影が消える | 顔の下に中明度のストールを一巻き・首元をあけて肌で中間の明度を作る |
| 中間 | 極端に低い | きつく見える・影が深く見える・ほうれい線が目立つ | インナーを明るく重ねる・ネックレスで光を足す・チークを上めに置く |
| どの明度でも | 背景が極端 | 背景と服がつながって顔だけ分離して見える・もしくは顔だけが沈む | 背景に近い明度を服に足す/外す・オンラインはバーチャル背景で中明度にする |
春夏秋冬で変わる「似合う明度の帯」をさらに細かく分ける
四季のパーソナルカラーはあくまで骨組みです。同じ春でも白シャツが最高の人とキャメルが落ち着く人がいますし、同じ冬でも黒がとにかく映える人と白を多めにしたほうが今っぽく見える人がいます。
違いを生むのは、その季節の中でどの明度の段を基準にするかです。ここでは季節ごとに、ライト寄り・ミディアム寄り・ディープ寄りに分けて、顔まわりに置いていい明るさと、顔から離すべき明るさを整理します。
スプリングタイプの明度帯を3層で考える
スプリングは基本的に高明度が得意で、白を混ぜた黄みのある色が一番肌をなめらかに見せます。けれども、ライト寄りのスプリングと、やや深さが欲しいスプリングとでは、使う明るさの段が違います。ライトスプリングは、アイボリー、ミルクティー、バター、白を混ぜたコーラル、明るいアプリコットなど、光を通すような明るさが最適です。
ここにキャメルや濃いベージュを顔まわりに入れると、顔が急にのっぺりして“春らしさ”が消えますので、濃い色はボトムや靴へ移します。ミディアムスプリングは、日本人で一番多い層で、ライトキャメル、カスタード、サーモン、ライトテラコッタといった、明るいけれど厚みのある色が似合います。白に寄せすぎると若すぎ、濃くしすぎると秋寄りに見えるので、この中明度を基準におくと季節をまたいでも使えます。
ディープ寄りのスプリングは、黒髪〜濃いこげ茶で瞳も強く、黄みがしっかりある人です。こうした人は、まずベージュやキャメルで中間の明度を作り、そこに小面積で明るい春色を乗せると、季節感と大人っぽさの両方を持てます。春の柄ブラウスだけだと「甘すぎる」「年齢と合わない」と感じる人はここです。
サマータイプの明度帯を繊細に分ける
サマーは全体として高明度〜中明度ですが、実はサマーの中の明度差は広く、ここを間違えると「サマーなのにくすむ」が起きます。ライトサマーは、肌も髪も瞳もやわらかく、ライラック、ペールピンク、アイシーラベンダー、パールグレーなど白が混ざった色で顔を囲むと一番透明感が出ます。
ここにネイビーを突然持ってくると“冬寄り”に寄りすぎてしまうので、ネイビーを使いたい日はマットなシルバーやパールで顔を明るくしてからにします。ミディアムサマーは、ラベンダー、ローズ、ブルーグレー、モーブ、スモーキーピンクなど、やさしいけれど少し色が乗っているところが得意です。
この層が一番実用的で、通勤でも行事でも使えます。ディープ寄りのサマーは、髪が暗めで眉もしっかり、顔立ちも骨感が少し出る人です。ネイビー、スモーキーパープル、チャコールローズ、やや灰色を含んだボルドーなど、サマーの中では暗めの色を顔まわりに置いたほうが、むしろ若く見えることがあります。パステルだけだと頼りなさが出る人はここを意識します。
オータムタイプの明度帯を「秋の中の明るい人」まで書き分ける
オータムは「暗い・深い・黄み」のイメージが強いですが、全員がこげ茶を顔に近づけてよいわけではありません。ライトオータムは、エクリュ、サンドベージュ、ライトキャメル、ライトオリーブなど、黄みはあるが明るさも残る色で顔まわりを作ると一番上品です。
こでディープオリーブや濃いテラコッタを首元に持ってくると、一気に肌が沈むので、そうした色はスカート・パンツ・靴に回します。ミディアムオータムは、キャメル、オリーブ、マスタード、ブロンズ、ウォルナットなど、やや深さのある中明度が一番安定します。
仕事でも休日でも使え、秋冬の素材(コーデュロイ・スエード・レザー)にも合います。ディープオータムは、こげ茶、ディープグリーン、ダークオリーブ、焼いたテラコッタ、チョコレートなどの低明度を大きな面積で着ても顔が負けません。髪・瞳・眉が濃くてメイクをしなくても顔が整って見える人はここです。
明るいベージュを大きく使うと安っぽく見えることがあるので、明るさは小物で足すくらいに留めます。
ウィンタータイプの明度帯を「極端な両極」と「日常寄り」に分ける
ウィンターは、白と黒という両極端の明度を最も美しく着られるタイプです。ただし、毎日その極端な二色だけで暮らすのは難しいので、ここでも明度帯を三つに分けます。ライトウィンターは、冬の冷たさは持ちつつも、顔がやや柔らかく、真っ黒を顔に近づけると硬く見えてしまう人です。
この場合はアイシーグレー、アイシーブルー、アイシーピンク、クールホワイトなど、白に近い冷たい色を顔まわりに置き、黒・濃紺はボトムに回します。ミディアムウィンターは、チャコール、ネイビー、ベリー、ロイヤルブルー、ディープターコイズなど、冬らしい冷たさを保ちながらも日常で着られる深さが中心です。
オフィスにもオンラインにも対応でき、一番実用的です。ディープウィンターは、黒、ディープパープル、ボルドー、マゼンタ、真っ白など、強いコントラストを顔まわりに持ってきても負けません。金属の光も受け止められるので、アクセサリーを怖がらなくて大丈夫です。ここで中途半端なベージュを首元に持ってくると、一気に顔が黄ばんで見えるので注意します。
表:季節タイプ別・得意な明度の帯
| 季節 | ライト寄りで安定する明度例 | ミディアム寄りで安定する明度例 | ディープ寄りで安定する明度例 |
|---|---|---|---|
| 春 | アイボリー・クリーム・ミルクティー・白を混ぜたコーラル | カスタード・ライトキャメル・サーモン・ライトテラコッタ | キャメル・ライトブラウン・ベージュ+春色小物 |
| 夏 | ペールピンク・ライラック・パールグレー・アイシーラベンダー | ラベンダー・ローズ・ブルーグレー・モーブ・スモーキーピンク | ネイビー・スモーキーパープル・チャコールローズ・青みボルドー |
| 秋 | エクリュ・サンドベージュ・ライトキャメル・ライトオリーブ | キャメル・オリーブ・マスタード・ブロンズ・ウォルナット | こげ茶・ディープグリーン・ダークオリーブ・焼テラコッタ・こげオレンジ |
| 冬 | アイシーグレー・アイシーブルー・アイシーピンク・クールホワイト | チャコール・ネイビー・ベリー・ロイヤルブルー・ディープターコイズ | 黒・ディープパープル・ボルドー・マゼンタ・真っ白 |
アイテム別に明度差をコントロールする実践手順を細かく書く
明度差を整えるときの鉄則は「顔に近いものほど基準に近く、遠いものほど遊びやすい」です。トップス・ワンピース上身頃・スカーフ・ネックレスなどは必ず顔の明度に寄せ、ボトム・アウター・靴・バッグに向かうにつれて1〜2段ずつ動かしていきます。こうすると、クローゼットの中で明るい服と暗い服が混在していても、顔に近づける順番を決めるだけで毎回まとまるようになります。
顔に近いトップス・ワンピは基準明度から動かさない
トップスを選ぶときは、まず顔そのものを鏡で見て「今日の明るさ」を決めます。日焼けをした日・夜で肌がくすんでいる日・髪をまとめた日などは、いつもより一段明るくしておくと顔が持ち上がります。逆に、濃いメイクをしている日・髪を下ろして量が多く見える日・暗い会場に行く日は、トップスも一段暗くしておくと、顔と服のコントラストが違和感なくなります。
春・夏のような高明度タイプなら、白・アイボリー・淡いピンク・淡い水色・ラベンダーの中からその日の肌に一番なじむものを選びます。秋・冬のように中明度〜低明度が得意なタイプなら、キャメル・オリーブ・チャコール・ネイビー・黒の中でその日の光量に合うものを選びます。これだけで、ボトムにどんな色をはいても、顔だけは整います。
ボトムとアウターは季節感と重さを優先して1〜2段動かす
ボトムは顔から遠いので、基準明度から1〜2段動かしても崩れません。ライトスプリングが黒パンツをはいても、トップスが白〜アイボリーなら顔は沈みません。ディープウィンターが白スカートをはいても、トップスが黒〜チャコールなら顔は締まったままです。
アウターは屋外と室内で見える時間が違うので、外でだけ濃くして季節感を出し、室内に入ったら脱いで基準の明度に戻す、という二層構造にします。こうすれば、秋冬の濃いコートを買っても「顔が沈むからほとんど着ない」ということがなくなります。
小物・靴・ベルト・アクセサリーで明度差をならす
小物は最後の調整役です。明るい顔に暗いボトムを合わせた日は白・アイボリー・ベージュのバッグ、逆に暗い顔に明るいトップスの日は黒・こげ茶・濃紺・ボルドーのバッグにします。靴も同じで、トップスと靴を同じ明度にすると縦のラインができ、中間のバッグで顔とボトムをつなげられます。
アクセサリーは光を足す役割があるので、明度差が大きすぎるときは、イヤリング・ネックレス・ブローチで顔の近くに光を入れて明るさを中和させます。逆に、明るすぎて顔がぼやけるときは、つやを抑えたマットなアクセサリーにすると、服と顔が一体化します。
表:アイテム別・明度の動かし方(詳細)
| アイテム | 基準に合わせるときの考え方 | 明度を上げるときの実例 | 明度を下げるときの実例 |
|---|---|---|---|
| トップス・ワンピ | 顔に一番近いので顔と同じか±1にする | ライト〜ミディアムの人が春夏により軽く見せたい日は白/アイボリー/淡色を選ぶ | ディープの人が秋冬に重厚感を出したい日はチャコール/ネイビー/こげ茶を選ぶ |
| ボトム | 顔との落差を小さくするが季節感はここで出す | 春夏にライトグレー・ライトデニム・ペールベージュで涼しくする | 秋冬に黒・こげ茶・ダークオリーブで締めて足元を細く見せる |
| アウター | 屋外で見せるため多少差があってもOK | 白トレンチ・淡色ブルゾン・ライトグレーコートで明るさを足す | キャメル・ネイビー・黒のコートで全体を一段沈め季節を出す |
| バッグ・靴 | 顔とボトムの差を埋める、またはあえて強める | 白・生成り・明るいキャメルのバッグ、ベージュの靴で明度をなめらかにする | 黒・こげ茶・濃紺・ボルドーのバッグや靴で全体を締めてコントラストを作る |
| アクセサリー | 顔のすぐそばで光を足し、明度差をぼかす | パール・シルバー・白っぽいストーンで顔を明るくする | マットゴールド・ブロンズ・黒のイヤリングで明るさを抑え、顔と服を近づける |
シーン別・季節別の明度差アレンジで「今日はこれ」と決める
明度は光と背景の影響を強く受けるので、場所と時間によっても最適値が変わります。日中の屋外、夕方の屋外、白い会議室、暗めのレストラン、オンライン会議、写真館のストロボなど、それぞれで一段ずつずらしておくと、同じ服でもきれいに写ります。ここでは代表的な場面ごとに、どちらへどれくらい動かすかを書きます。
通勤・オフィスの日は中明度で統一
通勤では、どの季節でも中明度〜やや明るめに寄せておくと、相手の服やオフィスの壁・机の色とぶつからず、顔色も安定します。春ならクリーム〜ライトキャメル、夏ならブルーグレー〜ラベンダー、秋ならキャメル〜オリーブ、冬ならチャコール〜ネイビーが使いやすいです。
ここに真っ白を着たい場合は、ジャケットやカーディガンを中明度にして白の明るさを分割します。黒を着たい場合は、インナーを明るくして首元だけを中明度に戻します。
休日・屋外・写真の日は半歩だけ暗くしておく
屋外で光が強いと、白や淡色はすぐに飛んでしまいます。そこで、普段ライト〜ミディアムを基準にしている人も、休日や写真の日だけは半歩だけ暗くしておきます。
春ならアイボリー→サーモンや蜜色ベージュへ、夏ならペールピンク→ラベンダーやブルーグレーへ、秋ならベージュ→マスタードへ、冬ならアイシーグレー→ネイビーへ。暗めの人は反対に、トップスだけ一段明るくして、ボトム・靴・バッグを濃くしておくと、顔だけが沈むのを防げます。
行事・オンライン・写真が残る日は二層構造にする
行事やオンラインは、画面や写真で一瞬にして判断されるので、顔=一番得意な明度、体=それより一段暗い明度という二層構造にします。サマーならペールピンクのブラウスにブルーグレーのスカート、オータムならエクリュのトップスにキャメルのジャケットとこげ茶のボトム、ウィンターなら白のトップスにチャコールのジャケットと黒のボトムという具合です。これで写真の中で体が平たくならず、顔だけが明るく残ります。
表:シーン別・明度差の整え方
| シーン | 顔まわりでとる明度 | 体(ボトム・ジャケット)でとる明度 | 小物で最終的にやること |
|---|---|---|---|
| 通勤・オフィス | 中明度〜やや明るめで誰と並んでも浮かない | 中明度〜やや暗めで引き締める | バッグと靴を中間に寄せ、顔とボトムの差をなくす |
| 休日・屋外 | 基準より半歩だけ暗くする | 季節に合わせて少し濃い色を入れる | 明るいバッグや帽子で顔の明度を拾ってあげる |
| 行事・オンライン | 一番得意な明度を首元において光を集める | 一段暗くして輪郭と体幅を細く見せる | どちらか一カ所を顔と同じ明度にして一体感を作る、アクセで光を足す |
| 夜の外食・舞台 | 周囲が暗いので一段明るくして顔を浮かせる | 椅子・背景より一段暗くして高級感を出す | バッグと靴を暗くして全体を引き締める |
Q&Aと用語辞典(実践でつまづきやすいポイント付き)
Q&A
Q1. 明度とトーンはどう違いますか。
明度は「白にどれだけ近いか/黒にどれだけ近いか」だけを見るものです。トーンはそこに「澄んでいるか・くすんでいるか」という質感が足されます。明度がそろっていれば、トーンが多少くすんでいても大きくは外れません。逆に、トーンは合っているのに明度が外れていると「今日は顔色が悪い」のほうが勝ってしまいます。
Q2. 顔が明るくないのに白い服を着たいときはどうすればいいですか。
白と肌を直接隣り合わせにしないことです。首元に中明度のスカーフやネックレスを挟む、白シャツの上に中明度のカーディガンを羽織る、ジャケットを着て白の面積を分割する。これだけで白の明度をやわらげられます。イヤリングやピアスをパールにするのも効果的です。
Q3. 黒が似合わないと診断されたのですが、黒を着てもいいですか。
着ても大丈夫です。顔から離せばいいだけです。ボトム・バッグ・靴・ベルト・アウターの外側など、顔より遠い場所に黒を置き、首元には明るいインナーやストールで自分の基準明度を戻します。どうしても黒をトップスにしたい日は、メイクを一段濃くして顔の明度を下げるとバランスが取れます。
Q4. 季節が分からないままでも明度だけで合わせていいですか。
はい。白・黒・中間色(グレージュやベージュ)を顔の下に一枚ずつ当てて、一番影が消えて健康的に見えるものを基準にすれば、実用上は十分です。そこに「よく褒められる色」を一色足し、その色を同じ明るさのもの同士で集めておけば、クローゼットはまとまります。
Q5. 髪色を変えたら急に似合う明度が変わりました。どう調整すればいいですか。
髪は面積が大きく、明度もはっきりしているので、変えると顔の明るさも変わって見えます。明るく染めたらトップスも一段明るくし、バッグや靴で元の深さを残します。暗く染めたらトップスを一段暗くし、インナーやアクセで光を足します。髪色を変えるときは「今後もこの色でしばらくいく」と決めると、クローゼットの明度もそろえやすくなります。
Q6. 家族写真で自分だけ浮きます。どうすればいいですか。
一番明るい人と一番暗い人の中間の明度を自分が着るか、あるいは一番暗い人に寄せて全員どこか一カ所を一段だけ暗くする、のどちらかにすると揃いやすいです。背景が白壁なら全員を半歩暗く、背景が暗いなら全員を半歩明るくして、服と背景の明度差を小さくしておきます。
Q7. メイクでどこまで補えますか。
明度差が1段までならメイクで補えます。ハイライトで額・頬骨・鼻筋を明るくし、チークとリップで血色を足すと、多少暗い服でも顔が負けません。2段以上外れている場合は、服そのものを中間に近づけるか、えり元に何かを挟むほうが簡単です。
用語辞典(やさしい言い換え)
明度(めいど):色の明るさ・暗さ。白に近いほど明度が高く、黒に近いほど明度が低い。
明度差:顔と服、服と小物、背景と服などを並べたときにできる明るさの差。差が大きいとくっきり、差が小さいとまとまって見える。
高明度:白に近い明るさ。顔を明るく若々しく見せるが、暗い顔に合わせると浮いて見えることがある。
中明度:白でも黒でもない中くらいの明るさ。通勤・行事・オンラインなど一番使いやすい高さ。
低明度:黒やこげ茶に近い暗さ。体を細く見せたり、高級感を出したりするときに使うが、明るい顔に合わせると沈んで見える。
顔映り:服を着たときに、顔色・目の表情・輪郭の出方がどう見えるかのこと。明度差に大きく左右される。
基準明度:その人が一番きれいに見える明るさ。季節が変わってもおおむね変わらないので、ここを先に決めると服選びが速くなる。
±1段:基準明度より一段明るい・一段暗いという意味。顔から遠い場所で動かすと失敗しにくい。

