クローゼットを片づけようと洋服を全部出したのに、気づけばまた同じ服を戻してしまう。色はきれいなのに自分の顔には合わない。買ったときはトレンドだったけれど、今着ると顔色が沈む。
こうした“なんとなく残ってしまう服”の多くは、サイズや状態ではなく色が自分のパーソナルカラーから外れていることが原因です。つまり、断捨離は量の問題ではなく、自分の色に合わないものを排除していく作業と捉えると、判断が一気に早くなります。
結論からいうと、開いた瞬間に「これは私の季節の色か?」「顔まわりに来ても明るく見えるか?」の2点を問うだけで、7〜8割は手放す・残すが決まります。
この記事では、パーソナルカラー4タイプ別に、どんな色を即残し・どんな色を補正に回し・どんな色を手放すかを、できるだけ細かく言語化しました。最後まで読めば、次の断捨離からは迷う時間がほとんどなくなります。
色で断捨離がラクになる理由
顔に合わない色は着る頻度が必ず落ちる
クローゼットにあるのに「なんとなく着ない」「なぜか写真に残したくない」服は、ほぼすべてが顔に合っていません。サイズが合わなくても部屋着や羽織りとして使われやすいのに、色が合わないものだけは着用頻度が極端に落ちます。つまり、着ていない理由の半分以上は色にあると考えていいのです。
パーソナルカラーは“肌・髪・瞳”とのバランスで決まる
自分のシーズンに合った色は、肌のくすみを飛ばし、髪の質感をきれいに見せ、目の白目を澄んで見せます。反対に、合わない色は、首が黄ばんで見えたり、目の下の影が強く見えたりします。断捨離で色を頼りにするのは、顔が映えるかどうかという一番大事な条件を一番先にチェックできるからです。
白・ベージュ・黒でも温度が違う
「ベーシックだから取っておくか」で残した白や黒も、シーズンが違えばくすみの原因になります。ブルベが黄みの強いオフ白を着ると黄ぐすみしますし、イエベが真っ白を着ると顔だけが浮きます。断捨離では、同じ白・同じ黒でも“自分の白・自分の黒”以外はひとまず抜くと決めることで、クローゼット全体の色の澄み方が一気に変わります。
表:断捨離で最初に見るべき色ポイント
| 観点 | 見る理由 | 残す基準 |
|---|---|---|
| 顔に近い色か | くすみが一番出る場所だから | 似合う季節色なら残す |
| 白・黒・ベージュ | ベース色がズレると全部に影響するから | 自分の白黒だけ残す |
| 同じトーンの数 | 偏るとコーデの幅が狭くなるから | 同トーン3点まで |
| 補正できるか | ストールやインナーで救えるかを確認 | 救えないなら手放す |
パーソナルカラー別・残す色と手放す色の目安
イエベ春の場合
イエベ春は明るくあたたかい色が基本です。クリーム・コーラル・アプリコット・ミルクティー系のベージュ・ペールイエローなど、光を含む色は優先的に残します。反対に、ラベンダーのような冷たい紫や、くすみすぎたブルーグレー、黒に近いチャコールは、顔の透明感を奪うので手放す候補です。どうしても残したい場合は、生成りやキャメルを首元に挟んで補正できるかどうかで判断します。
ブルベ夏の場合
ブルベ夏はやわらかく青みを含んだソフトな色が得意です。ライラック、ローズベージュ、ブルーグレー、ソフトネイビー、くすみミントなどは残します。逆に、黄土色に近いベージュ、濃いオレンジ、黄みのキャメルが複数あるなら、1〜2枚に絞ってほかは手放しましょう。顔が黄ばんで見える色は、メイクでカバーしても限界があります。
イエベ秋の場合
イエベ秋は深みと落ち着きのあるあたたかい色が似合います。キャメル、テラコッタ、マスタード、カーキ、モカブラウン、オリーブなどは、季節を問わず使えるので残しておきます。反対に、アイシーブルーや冷たいグレー、ピンクでも青みが強いものは顔色が一段落ちるので、インナーで温められるかを見て、できなければ手放します。
ブルベ冬の場合
ブルベ冬ははっきりした強い色が得意です。黒・白・ネイビー・ボルドー・ロイヤルブルー・マゼンタ系は残していいでしょう。問題になるのは、ベージュやキャメルなどの黄みブラウンが混じっているときです。これらは顔を一気に黄ぐすませるので、上下で着る予定がなければ処分候補にします。どうしても残したいときは、真っ白のインナーやシルバー系アクセで顔を冬の色に寄せられるかをチェックします。
表:パーソナルカラー別・色フィルター早見表
| タイプ | 即残す色 | 補正したら残す色 | 手放す色 |
|---|---|---|---|
| イエベ春 | 生成り・クリーム・コーラル・明るいキャメル | ライトグレー・黄みの少ない白 | 黒・青みラベンダー・濃チャコール |
| ブルベ夏 | ライラック・ローズベージュ・ブルーグレー・ソフトネイビー | 淡いベージュ・くすみピンク | 黄土色・濃キャメル・オレンジ |
| イエベ秋 | キャメル・オリーブ・テラコッタ・マスタード | エクリュ・ベージュ・くすみグリーン | アイシーブルー・冷たいグレー |
| ブルベ冬 | 黒・白・ネイビー・ボルドー・ロイヤルブルー | チャコール・やや青みのグレー | 黄みベージュ・キャメル・レンガ |
アイテム別に色フィルターをかける手順
顔まわりに来るアイテムから先に仕分ける
マフラー・ストール・ハイネック・クルーネックニット・ブラウス・カーディガンなど、顔に最も近いアイテムから色を見ていきます。ここにシーズン外の色があると、実際のコーデで「なんとなく垢ぬけない」に直結します。ここでNG判定が出たものは、よほどのお気に入りでない限り手放す側に移します。
アウター・ボトムは補正を前提に残すか決める
アウターやパンツ・スカートは、顔から距離があるため多少シーズン外でも使えます。たとえばブルベ夏がキャメルのパンツを持っていても、トップスをラベンダーや白にすれば違和感は薄れます。ただし、同じ色味のボトムが3本以上あるようなら、色が偏っているので1〜2本に絞りましょう。
小物の色は“自分色で統一できるか”で判断する
バッグ・靴・ベルト・帽子などは、一石二鳥を狙って自分のシーズン色で揃えておくと、どんなトップスでも顔がまとまります。ここに真逆の色が混ざっていると、せっかく似合うトップスを着ても全体でちぐはぐになります。小物は断捨離のなかでもっとも効果が見えるので、勢いをつけて似合わない色を抜きましょう。
表:アイテム別・優先判定リスト
| 優先度 | アイテム | 判定方法 |
|---|---|---|
| 高 | マフラー・ストール・タートル・ブラウス | 顔が明るく見えるかだけで決める |
| 中 | カーディガン・ニット・ワンピース | 上半身に来るのでシーズン内優先 |
| 低 | ボトム・アウター | 補正できるなら残す |
| 予備 | バッグ・靴 | 自分色以外は1〜2点に抑える |
季節外・行事服の色をどうするか
季節が違う色でもシーズンに合っていれば残す
たとえばブルベ夏でも、冬のバーガンディがほんのり青みなら残せます。イエベ秋でも、夏のマスタードやカーキは秋に着回せます。季節で判断するのではなく、自分の色に合っているかどうかで判断すると、年間を通してコーデの温度が揃います。
行事服は写真に残る色だけを残す
入学式・卒業式・七五三・親族の集まりなど、写真に残るシーンは、自分のシーズンの色を着るだけで写りが大きく変わります。ここでシーズン外のベージュや黒を着てしまうと、後から見返したときに「なんとなく疲れて見える」写真が増えます。行事服は断捨離でも最優先で自分の色に揃えておくのがおすすめです。
セールや福袋で入った行事向けアイテムは補正の可否で見る
もし行事向けのセットアップがシーズン外だった場合は、白ブラウスやストールで補正できるかを試します。どうしても顔が黒ずむ場合は、他の人に譲るか買い替えを検討します。
運用していくための仕組みづくり
クローゼットに“自分の白・自分のベージュ・自分の黒”を常にかけておく
断捨離のときだけでなく、普段からクローゼットの目立つ場所に自分の基準色をかけておきます。新しく買ってきた服をその横にかけて、色がにごるならその時点で返品・交換を検討できます。
季節の変わり目に色だけで再チェックする日を作る
衣替えのときに、「今年の秋冬はこの色を着る」「今季はこの明るさに寄せる」と決めてしまうと、似合わない色を戻さずに済みます。パーソナルカラーの範囲内でも、年齢や髪色の変化で少し似合うトーンがずれるので、年に1〜2回は色フィルターをかけ直しましょう。
手放す前に写真を撮って残す
「これは高かった」「思い出がある」といった感情を和らげるには、写真を撮ってアルバムにしておくのが効果的です。写真にして客観的に見ると、やはり色が合っていないことが分かり、手放しやすくなります。
Q&A(よくある疑問)
Q1. 似合わないけれど好きな色はどうすればいいですか。
A. 顔から離して使います。ボトム・靴・バッグ・ヘアアクセなどに寄せれば、好きな色も楽しめます。トップスで着たい場合は、自分の色のストールを必ず挟みます。
Q2. 家の中で着るなら似合わない色でも残していいですか。
A. 問題ありません。ただし量が増えすぎるとまたクローゼットが圧迫されるので、「在宅用は5着まで」などと枠を決めましょう。
Q3. パーソナルカラーがあやふやで、春と夏の間にいる感じです。
A. その場合は、どちらのシーズンでも“明度が高いほう”を残すと失敗が少ないです。暗くくすんだ色は中間タイプにとっては重たく見えやすいため、先に抜いておきましょう。
Q4. 親やパートナーにもらった服で、色が合わないものが捨てにくいです。
A. 顔から離れる場所に回すか、記念として写真だけ保存して手放すかのどちらかにします。贈り物でも、あなたの顔が沈む色を無理に着る必要はありません。
Q5. 全部ベージュ系で無難すぎるクローゼットになってしまいました。
A. その場合は自分のシーズンの中で一番似合う差し色を1〜2色だけ足してください。イエベ春ならコーラル、ブルベ夏ならライラック、イエベ秋ならテラコッタ、ブルベ冬ならボルドーやロイヤルブルーです。無難色しかないと感じるのは、ベースの温度が揃った証拠なので、あとは差し色で立体感を足すだけで一気におしゃれに見えます。
用語辞典
パーソナルカラー:肌・髪・瞳の色と調和して見える色のグループ。春・夏・秋・冬の4つに分けて考える。
自分の白:自分の顔が最も明るく見える白。黄みがかった白・真っ白・少しグレーがかった白など、タイプによって違う。
色フィルター:服を残すか手放すかを判断するときに、パーソナルカラーに合うかどうかという軸を通すこと。サイズや値段より先に色で見る。
補正:似合わない色を、ストール・インナー・メイクなどで自分に寄せるテクニック。完全に合わなくても実用ラインまで持っていける。

