似合う色名は分かっているのに「なぜか今日は顔が沈む」「同じ色なのに春と秋とで印象が違いすぎる」「オンラインになると色が飛んで、せっかくの色合わせが伝わらない」ということが起きるとき、ずれているのは色みそのものではなく、トーン(明るさと強さの高さをそろえる考え方)です。
パーソナルカラーは「黄み寄りか青み寄りか」「明るいほうが似合うか深いほうが似合うか」といった大きな方向性を教えてくれますが、実際にクローゼットで服を選ぶときには、そこにどの高さの段を中心にするかというもう一段細かい操作が必要になります。
これをしないまま「春のピンク」「夏のラベンダー」「秋のキャメル」「冬のロイヤルブルー」だけを覚えてしまうと、顔から離したときは良くても、首元に近づけた瞬間に急に老けて見えたり、反対に子どもっぽく軽く見えたりします。
つまり、色相(どの色か)だけでなく、明度(どれくらい明るいか)と彩度(どれくらい澄んでいるか)を、その人の顔・髪・瞳・肌のコントラストに寄せることが大事だということです。
結論を先に言えば、顔と髪と瞳が持っている明るさ・濃さ・輪郭の強さを観察して、自分の「基準トーン」をライト・ミディアム・ディープのどれか一つに決める。そのうえで、日によって上に1段・下に1段だけ動かす、というシンプルなルールにしてしまえば、季節が変わっても、体型が少し変わっても、年齢で肌のハリが変わっても、急に似合わなくなることがなくなります。
この記事では、まず「トーンって何をそろえるための考え方なのか」を言葉で押さえ、次に「春夏秋冬ごとにライト・ミディアム・ディープをどう見分けるか」の表を出し、さらに「トップス・ボトム・アウター・小物でどう1段上げ下げするか」「仕事・休日・行事・オンラインでどう切り替えるか」を実例で書き出します。
最後に、必ず出る「診断がはっきりしていないときの扱い方」「濃い色が好きなのにライトと出た」「家族写真で1人だけ浮く」「パステルを着たいディープ」「ミディアムが地味に見える」といった疑問にQ&Aでこたえ、辞典で専門語をやさしく言い換えます。ここまで読めば、トーンの上下だけで印象を変えられるようになり、クローゼットの色数を増やさずにバリエーションだけ増やすことができます。
1. トーンの考え方と顔立ちとの関係を最初にそろえる
トーンという言葉は難しく聞こえますが、実際にやることは「その人の顔が一番自然に見える高さに色を合わせる」だけです。たとえば、ある人は白いシャツを着ると肌が透き通って見え、黒を着ると顔の中に影が入りすぎる。
この人はライト寄りです。別の人は、白を着ると顔だけ浮き上がって見えるのに、黒や濃いネイビーを着ると顔の立体感が増して、目も大きく見える。この人はディープ寄りです。
中には、白でも黒でも「まあ大丈夫」で、いちばんしっくりするのはベージュやグレージュ、ネイビーやブルーグレーといった中間色、という人がいます。これがミディアムです。つまり、トーンは白と黒を顔の下に当てたとき、どちらで“顔が勝つか/服が勝つか”を見るテストだと考えていいです。
トーンとは何を区別するためのものかをもう一段詳しく
パーソナルカラー診断で「あなたはサマーです」と言われると、「ではサマーの色なら全部OKなんですね」と解釈しがちです。けれど実際には、サマーの色見本の中にも、とても明るく白っぽいピンクもあれば、やや暗くてローズがかったものもあり、さらにスモーキーで灰色を含んだパープルもあります。
これらはすべて「夏の色」ですが、夏の中でのトーンが違うのです。顔がとても柔らかくて髪も瞳も淡い人が、サマーの中でも最も深い色を顔の近くに持ってくると、「夏なのに暗い」「夏なのに重い」と感じられてしまいます。
逆に、夏タイプでも髪や眉がくっきりしている人が、夏の一番明るいピンクだけを着ると、子どもっぽく頼りなく見えます。ここで必要なのが「同じ季節の中でのトーンをそろえる」考え方です。色相(どの色か)が合っているなら、次は高さ(どの段か)を合わせるだけで整います。
顔のどこを見てライト・ミディアム・ディープを決めるかを細かく
トーンを決めるときに、肌色だけを見るとミスします。肌の色は、季節・日焼け・照明・ファンデーションでかなり変わるからです。代わりに、変化しにくくて人ごとに差が大きいパーツを見ます。
ひとつは髪の明るさ。地毛が明るい茶〜ライトブラウンで、染めていなくてもふわっと光る人は、ライトのほうへ寄せたほうがきれいに見えます。もうひとつは瞳の輪郭の濃さ。黒目がはっきりしていて白目との対比が強い人、虹彩に模様がある人、写真で目だけがくっきり残る人は、ディープでも受け止められます。
眉の太さ・濃さも手がかりになります。眉が細くて色も薄い人は、ライト〜ミディアムのやわらかさがあると顔とのバランスがとれます。
反対に、眉が太くて色も濃い人は、ライトすぎる色だと眉だけ浮くので、必ずどこかに深い色を戻します。さらに、首との色差も見ておきます。顔と首の色がかなり違う人は、首の色のほうに合わせてトーンを1段落としておくと、服との境目がなじみます。
トーンを間違えると何が起きるかを具体的な失敗で説明する
ライトの人がディープを大きい面積で着ると、顔の中で陰影が足りなくなり、頬の丸みや目のキラキラが服に吸い込まれたように沈みます。マスクをしていた時期に「濃い色のマスクをすると一気に老けて見えた」という人は、ライト寄りだった可能性が高いです。
ディープの人がライトだけを着ると、顔と服の間にコントラストがつきすぎて、首元だけが明るく浮き上がります。「顔だけ重たい」「目だけ強い」という印象になります。ミディアムの人がライトとディープを日替わりで着ると、日によって年齢が違って見えたり、その日の髪色だけが目立ったりと、安定感がなくなります。
これを防ぐには、自分の基準トーンから2段以上は動かないというルールをつくること。どうしても動かしたいときは、顔に近い場所を基準に戻し、離れた場所だけを動かすようにします。
表:顔の要素とおすすめトーン
| 観点 | 当てはまる特徴の例 | おすすめトーン | 補足・運用のコツ |
|---|---|---|---|
| 髪と瞳の明るさ | 明るい茶・ライトブラウン・瞳も淡い・写真で瞳の輪郭がぼやける | ライトを基準に+1まで | 暗い色はボトム・バッグへ。えり元には必ず白〜アイボリーを戻す |
| 髪か瞳のどちらかが暗い | 髪は暗めだが瞳は柔らかい/瞳がくっきりだが肌は明るい/眉が中程度 | ミディアムが基準 | 上にも下にも動かせる万能層。仕事・行事・カジュアルで高さを変えて使う |
| 髪も瞳も濃く肌もくっきり | 黒〜こげ茶・眉も太い・白黒写真で濃淡が強く出る・アイラインなしでも目が強い | ディープを基準に−1まで | 明るい色は必ず小物またはインナーに。濃い色をどこか一カ所に残すと全体が締まる |
| 首との色差 | 顔より首が暗い/首だけ黄みが強い | 首に合わせてミディアムへ | 顔だけライトにしない。スカーフやネックレスで顔色を足しながらトーンをそろえる |
| メイクで盛るかどうか | ノーメイクが多い/血色を足さない日が多い | ライト〜ミディアムを優先 | ディープを着る日は必ずチークとリップで色を足す |
2. 春夏秋冬×ライト/ミディアム/ディープのトーンを具体的に分ける
四季の違いは「黄み寄りか青み寄りか」「澄んでいるかやわらいでいるか」という横の違いですが、実際の服選びではそこに「どの高さでその色を見るか」という縦の違いが重なります。たとえば同じスプリングでも、ライトならペールコーラルやペールアプリコット、ミディアムならカスタードやライトキャメル、ディープ寄りならキャメルや黄みブラウンを一度通してから春の色を足す、といった具合です。
ここを表にしておくと、買い足すときに「私はサマーだからラベンダー」と一択にせず、「私はサマーでミディアムだから、ラベンダーでも少しだけグレーが入ったものを選ぼう」と細かく選べます。
スプリングのトーン分けを詳しく
スプリングは本来、光を含んだ明るい色・黄みを感じる色・つやのある色が得意です。ただし、全員が同じ明るさで似合うわけではありません。
ライトスプリングは、髪も瞳も明るく、顔も小さめで、白っぽいトップスを着ると一気に若返るタイプです。この人は、コーラルやアプリコットを選ぶときも、白がしっかり混ざったものを選びます。黄色ならレモンよりもバター、緑ならミントやピスタチオ。アイボリーのジャケットやカーディガンを一枚持っておくと、どんなに下の色が濃くても顔をライトに戻せます。
ミディアムスプリングは、日本人に比較的多い、髪がやや落ち着いた茶で瞳も中間色、肌も健康的なベージュ〜オークルというタイプです。この人は、あまりにも明るすぎるパステルだと頼りなく、逆に秋のように深い色だと重たく見えます。カスタード、ライトキャメル、サーモン、ライトテラコッタといった、春らしい華やかさとやや厚みのある色をベースにすると、大人っぽさと若々しさが両立できます。ここを基準にして、オフィスではキャメル寄り、休日はピーチ寄りに振ると、シーンでの使い分けが簡単です。
ディープ寄りのスプリングは数としては多くありませんが、黒髪で肌が黄み寄り、瞳もこげ茶で、けれど冬ほどのビビッドカラーを着ると硬くなりすぎる、という人がここに入ります。こうした人は、春色を使う前に一度ベージュ・キャメル・ライトブラウンなどで面を作り、そこに小面積でコーラルやアプリコットを乗せると、春の明るさが大人仕様で表現できます。春の柄ブラウスを着ると子どもっぽくなる人は、だいたいこのディープ寄りスプリングです。
サマーのトーン分けを詳しく
サマーは、色そのものがやわらかく、白やグレーが混ざっていることが多いので、トーンの違いが分かりにくい季節でもあります。けれど実際には、ライトサマーとディープ寄りサマーでは似合うメイクもアクセサリーも違います。
ライトサマーは、ライラック、ペールピンク、パールグレー、アイシーラベンダーといった、白が多く混ざって涼しい色がよく似合います。ここにシルバーやパールのアクセサリーを足すと、一気に透明感が出ます。髪が細くてやわらかく、肌も薄くて赤みが出やすいなら、このライトを基準にしてください。
ミディアムサマーは、サマーの中でも一番人数が多い層で、ラベンダー、ローズ、ブルーグレー、モーブ、スモーキーピンクといった、やわらかいけれど少し落ち着いた色がしっくりきます。オフィスでもそのまま使いやすく、冬に向かっても違和感なく続けられるので、まずはここを軸にしておくと便利です。このタイプは、淡色が好きだからといって全部を淡くするとぼやけるので、必ずどこか一カ所に中間の濃さを入れてください。
ディープ寄りのサマーは、ネイビー、スモーキーパープル、チャコールローズ、ブルー寄りのボルドーなどが得意です。いわゆる「夏らしいパステル」だけを着ると「きれいだけどちょっと物足りない」という印象になる人がこのタイプです。髪が暗めで、眉もしっかりしていて、秋や冬の濃い色を部分的なら受け止められる人は、サマーの中でもこのディープ寄りを顔から少し離して使うと大人っぽく仕上がります。オンライン会議でも背景に負けません。
オータムのトーン分けを詳しく
オータムは、もともとミディアム〜ディープの中間〜深いゾーンが得意です。けれど、実際にはライト〜ミディアムのオータムもいて、そうした人は典型的な「秋色」を全部顔に近づけてしまうと、一気に重く老けて見えます。ライトオータムは、エクリュ、サンドベージュ、ライトオリーブ、ライトキャメルといった、黄みを感じるけれど暗くない色を顔まわりに置くときれいです。ここでカーキやテラコッタを大きく持ってくると、肌が沈むので、必ず明るいベージュを一枚挟みます。
ミディアムオータムは、キャメル、オリーブ、マスタード、ブロンズ、ウォルナットなど、黄みをしっかり含みながらも適度に深い色が一番バランス良く見えます。オータムらしい落ち着きと、女性らしいあたたかさを両方出せるので、仕事・ママ行事・秋冬の外出と、どのシーンにも対応できます。このタイプは、素材での深さ(スエード、レザー、コーデュロイ)を加えるとさらに得意ゾーンが広がります。
ディープオータムは、こげ茶、ディープグリーン、ダークオリーブ、焼いたテラコッタ、チョコレート、こげオレンジなど、しっかりとした深色が似合うタイプです。髪も瞳も濃く、メイクをしなくても顔がくっきりしている人が多いので、バッグ・靴・ベルトもこの深さでそろえると一気に高級感が出ます。ここに無理に明るいベージュや白を大きな面積で入れると、逆に安っぽく見えることがありますので、明るさは小物で足す程度にとどめます。
ウィンターのトーン分けを詳しく
ウィンターは、白と黒で最大コントラストを作れる人が多い季節です。ただし、全員が黒を大きく着ていいわけではありません。ライトウィンターは、冬の中でのライトなので、アイシーグレー、アイシーブルー、アイシーピンクのように、冷たさを残したまま白を足した色が基準です。黒を顔に近づけると一気に硬く見えるので、黒はボトムか小物に回します。
ミディアムウィンターは、チャコール、ネイビー、ベリー、ロイヤルブルー、ディープターコイズなど、冬らしい冷たさを保ちながらも日常で着られる深さがちょうどいいタイプです。オフィスでも浮かず、オンラインでも背景に負けません。冬の中でもっとも実用的な層です。
ディープウィンターは、黒、ディープパープル、マゼンタ、ボルドー、濃いターコイズ、真っ白など、強い色を顔に近づけても負けないタイプです。金属の光も受け止められ、赤リップや濃いアイラインともなじみます。このタイプが春夏のライトトーンを大きな面積で着ると、顔だけが浮くので、あくまでインナーやスカーフで差すにとどめ、どこかで黒・ネイビー・チャコールなどのディープを戻します。
表:四季×トーンの目安
| 季節 | ライトで安定する色例 | ミディアムで安定する色例 | ディープで安定する色例 |
|---|---|---|---|
| 春 | クリーム・アイボリー・ペールコーラル・ミント・ピーチ | カスタード・ライトキャメル・アプリコット・サーモン・ライトテラコッタ | キャメル・ライトブラウン・ハニーブラウン+春色の小物 |
| 夏 | ライラック・ペールピンク・パールグレー・アイシーラベンダー | ラベンダー・ローズ・ブルーグレー・モーブ・スモーキーピンク | ネイビー・スモーキーパープル・チャコールローズ・ややグレーを含んだボルドー |
| 秋 | エクリュ・サンドベージュ・ライトオリーブ・ライトキャメル | キャメル・オリーブ・マスタード・ブロンズ・ウォルナット | こげ茶・ディープグリーン・ダークオリーブ・焼テラコッタ・こげオレンジ |
| 冬 | アイシーグレー・アイシーブルー・アイシーピンク・クールホワイト | チャコール・ネイビー・ベリー・ロイヤルブルー・ディープターコイズ | 黒・ディープパープル・マゼンタ・ボルドー・真っ白 |
3. アイテム別にトーンをそろえる・外す手順を具体的に
トーンの話になると「全部を同じ高さにそろえなければいけないのか」と思われがちですが、実際はそんなに厳密でなくて大丈夫です。顔に一番近いところ(トップス・ワンピース上身頃・スカーフ・ネックレス)だけを基準トーンにしておけば、ボトムやアウターやバッグで1段下げたり上げたりしても、全体は崩れません。大事なのは、“顔に近いほど基準に近く、遠いほど自由に”という順番を守ることです。
顔に近いものは必ず基準トーンにする理由を詳しく
人は一番最初に顔を見るので、顔まわりがその人の持つコントラストから外れていると、服のほうに目が行ってしまい、似合っているかどうかより「今日はどうしたんだろう」という違和感が先に立ちます。
ライトの人なら、えり元・胸元は必ず白・アイボリー・ベージュ・明るいピンク・明るい水色など、自分の基準トーンに合わせます。ミディアムの人なら、グレージュ・ブルーグレー・やわらかいネイビー・ラベンダーなど、暗くもなく明るすぎもしない中間を置きます。
ディープの人なら、黒・チャコール・ディープグリーン・ディープパープル・こげ茶など、顔のパーツの強さに負けない深さを置きます。これだけで、メイクが薄い日も映りが安定します。
ボトムとアウターで+1段・−1段をつくるときの細かい考え方
ボトムは顔から遠いので、基準トーンから1段上下しても、ほとんどの人には「違和感」として認識されません。ミディアムサマーなら、トップスをラベンダーにして、ボトムをネイビーにすると、一段沈めて引き締めることができます。
ライトオータムなら、トップスをエクリュにして、ボトムをオリーブやカーキにすると、一段だけ深くして秋らしくなります。ディープウィンターなら、トップスを黒にして、ボトムをチャコールにして、ほんの少しだけやわらげると、重くなりすぎません。
アウターの場合は、室内で脱ぐことが前提なら、基準より一段濃くしてもかまいません。外では濃くて、中に入ると基準に戻る、という2層構造にすれば、見える時間が長いのは基準トーンですから安全です。
小物でトーン差をならす・跳ねさせるときの実用例
バッグ・靴・ベルト・時計・帽子・アクセサリーは、トーンを調整する最後の切り札です。ライトの人がディープなボトムをはいた日は、白・アイボリー・明るいベージュ・金具が控えめなバッグを持って、顔の明るさと足元の暗さをつなぎます。
逆にディープの人が春らしいライトを着たい日は、バッグや靴を黒・こげ茶・ネイビー・ボルドーなどにして、全体が甘くならないようにします。ミディアムの人は、小物だけをライトにすると若々しく、小物だけをディープにするときちんと見えます。つまり、同じ服でも小物のトーンを変えるだけで、シーンを変えられるということです。
表:アイテム別トーン操作
| アイテム | 基準トーンで固定したい理由 | 1段上げるときの具体例 | 1段下げるときの具体例 |
|---|---|---|---|
| トップス | 顔の色・髪色・瞳のコントラストと最も影響し合うため | ライトの人が春夏により軽さを出す/ディープの人が写真で明るく映りたいとき | ディープの人が秋冬により重さを出す/ミディアムの人がきちんと見せたいとき |
| ボトム | 顔から遠く失敗が目立ちにくい | ミディアムの人が季節感を出したいときに淡色パンツをはく | ライトの人が秋冬に重さを足したいときにこげ茶・オリーブ・ネイビーをはく |
| アウター | 室内外で見える時間が違うため、外でだけ濃くできる | フォーマルでネイビーや黒のジャケットを着る | 休日に薄ベージュやグレーの軽いコートを着てやわらかく見せる |
| バッグ・靴 | 全体のトーン差をつなぐ・跳ねさせる最終調整として使えるため | 黒・こげ茶・ネイビー・ボルドーで全体を締める | 白・グレージュ・アイボリー・ベージュで全体を軽くする |
4. シーン別・季節別にトーンを動かす実例
シーンによって求められる「見え方の高さ」は違います。職場ではあまりにも明るすぎるトーンや濃すぎるトーンは目立ちすぎてしまいますし、休日や写真の日は少しだけ濃くしておかないと光で飛んでしまいます。
季節によっても変わります。夏の強い日差しの中ではライトは飛びやすく、冬の暗い屋内ではディープが沈みやすい。ですから、自分の基準トーンを真ん中に置き、季節とシーンで半歩〜一歩だけ上下に動かすという考え方で運用すると、失敗が減ります。
通勤・職場の日に安定するトーンの作り方
通勤では、どの季節でもミディアム寄りに寄せるのが安全です。スプリングなら、カスタードのブラウスにライトキャメルのパンツで、明るさを保ちつつも浮かないようにします。サマーなら、ラベンダーのニットにブルーグレーのスカートで、冷たさを残しながらも中間の高さをキープします。
オータムなら、キャメルのトップスにオリーブのボトムを合わせると、黄みの落ち着きが出て信頼感が増します。ウィンターなら、チャコールのトップスにネイビーのボトムで、冬らしい冷たさを保ちながらも強すぎない印象になります。ミーティングが多い日は、顔まわりだけを1段明るくすると、画面越しでも表情が読み取りやすくなります。
休日・写真を撮る日・屋外に出る日のトーン操作
休日や屋外に出る日は光が強く当たるので、ライトやミディアムの人は半歩だけ濃くしておくと、写真で色が失われません。スプリングなら、いつものアイボリーをサーモンに、サマーなら、ペールピンクをラベンダーに、オータムなら、ベージュをマスタードに、ウィンターなら、アイシーグレーをネイビーにします。
逆にディープの人は、屋外だとさらに暗く見えるので、トップスだけは一段明るくして、ボトムや小物で締めます。これで「暗い人」に見えず、ディープの美しさだけを残せます。
行事・式典・オンラインの日に立体感を出す
行事や式典は写真が残るので、顔の明るさを一段上げ、ボトムまたはジャケットで一段下げると、写真の中で体が平たく見えず、きちんとした印象が残ります。スプリングなら、アイボリーのブラウスにライトキャメルのジャケット、ボトムはキャメルで少し沈める。
サマーなら、ペールピンクのブラウスにブルーグレーのボトム、上にラベンダーのジャケット。オータムなら、エクリュのトップスにキャメルのジャケット、ボトムや靴をこげ茶にして締める。ウィンターなら、白またはアイシーブルーのトップスにチャコールのジャケット、ボトムをネイビーか黒にすると、画面でも崩れません。
オンラインの場合は、カメラが全体を均一にしてしまうので、ライトの人は必ず明るいインナーを、ディープの人は必ず顔まわりに濃い色を残します。ミディアムの人は、背景と同じくらいの高さに合わせておけば安全です。
表:シーン別トーン調整
| シーン | ライトがやること | ミディアムがやること | ディープがやること |
|---|---|---|---|
| 通勤 | 顔まわりを明るく、ボトムで半歩沈めて「甘さ」を消す | 全部を中間に寄せて誰と並んでもぶつからない高さにする | 上は中間・下で締めて強さを保ちつつ威圧感を下げる |
| 休日・写真 | 全体を半歩濃くして光飛びを防ぎ、白だけは残しておく | 上を明るめ・下を中間にして立体感を作る | 上を半歩明るく・下で濃くして「暗すぎる人」にならないようにする |
| 行事・オンライン | 顔に一番明るい色を置き、ジャケットやボトムで深さを作る | 顔に一番きれいな中間色を置き、アクセで光を足す | 顔に一番得意な深色を置き、白や金属で光を足して画面で沈まないようにする |
5. Q&Aと用語辞典
Q&A
Q1. パーソナルカラーがまだあいまいでもトーンだけで整えられますか。
整えられます。白と黒を顔の下に当てて、どちらで目鼻立ちがはっきりするかを見てください。白で映えるならライト〜ミディアム、黒で映えるならミディアム〜ディープが基準です。そこに普段褒められる色を一つ足せば、その色の帯の中でトーンを上下させるだけで大きくは外れません。診断がまだでも「私は白でよく見えるから明るい段を中心にしよう」というだけで、買い物の迷いは減ります。
Q2. ライトと診断されたのに濃い色が好きです。どうしても着たいときは?
濃い色を顔から離してください。ボトム・バッグ・靴・ベルト・コートの外側などにとどめ、首元には必ず白・アイボリー・明るいベージュを戻します。耳元に白パールや明るいアクセサリーを付けるのも効果的です。もう一歩踏み込みたいときは、濃い色を着る日にだけメイクを一段濃くする(眉をしっかり描く・まつ毛を上げる・リップを血色寄りにする)と、ディープ寄りでも受け止められます。
Q3. ディープと診断されたのにパステルが好きです。
パステルをトップスにすると顔が浮くので、インナーやスカーフにして、上にディープなジャケットを重ねてください。あるいは、パステルを選ぶときにグレーを一滴入れたような「くすんだ明るさ」を選ぶと、ディープの深さとつながります。バッグや靴を黒・こげ茶・ボルドーにしておくと、淡いトップスでも全体が甘くなりません。
Q4. ミディアムだとおしゃれにならない気がします。
ミディアムは無難に見えますが、上下どちらにも動かしやすいので一番使えます。トップスをミディアムで固定し、ボトムを季節に合わせてライトとディープに振るだけで、一週間コーデができます。ミディアムを「中心」と考えると、ライトな小物・ディープな小物のどちらも合わせやすくなり、結果的に組み合わせ数が一番増えます。
Q5. 家族写真のときに全員のトーンがバラバラです。どうそろえればいいですか。
一番暗い人に合わせて、他の人のどこか一カ所を一段だけ濃くしてください。逆に、一番明るい人に合わせる場合は、全員の顔まわりを明るくして、ボトムでそれぞれの深さを出します。トーンは場所ごとに変えられるので、全員を同じ色にそろえる必要はありません。写真で後ろが白壁なら中間を濃く、後ろが暗い背景なら起点を明るくすると、全員が同じ空間にいるように見えます。
Q6. 髪色を変えたら急に似合うトーンが変わりました。
髪色はトーンに大きく影響します。明るく染めたときは、顔に近いところの色も一段明るくして、バッグや靴で元の深さを残します。暗く染めたときは、トップスを一段だけ深くして、インナーやアクセで光を足します。染める前に「今後はこの髪色でいく」と決めると、クローゼットのトーンもそろえやすくなります。
Q7. 仕事ではミディアム、プライベートではビビッドが好きです。両立できますか。
できます。仕事用はミディアムでまとめ、プライベートでは同じ季節の中で1段上げてください。たとえばサマーなら、仕事はラベンダー・ブルーグレー、休日はローズ・やや明るいパープル。ウィンターなら、仕事はネイビー・チャコール、休日はロイヤルブルー・マゼンタ。基準が同じなので、同じジャケットや同じバッグでつなげます。
用語辞典(やさしい言い換え)
トーン:色の明るさと強さを段で表したもの。同じ季節の中でも「明るい」「ふつう」「深い」を見分けるために使う。季節が分かっていてもトーンがずれていると似合って見えないので、ここを合わせると安定する。
ライト:白が多く混ざった明るい段。髪や瞳が明るい人・肌が白い人が得意。顔の近くに置くと若々しく見え、オンラインでも明るく映る。
ミディアム:明るすぎず暗すぎない中間の段。通勤・行事・オンラインなどどこでも使いやすく、上下どちらにも動かせる。
ディープ:黒や深い色が入った段。髪や瞳が濃い人・顔のパーツがはっきりしている人が得意。小物にも使いやすく、きちんと感や高級感を出したいときに便利。
基準トーン:自分がいちばんきれいに見えるトーン。ここを決めておくと、上げる・下げるの判断が一瞬でできる。季節が変わっても大きくは変わらない。
1段上げる/1段下げる:基準より明るくする・暗くすること。顔から近いところはあまり動かさず、顔から遠いところや小物で動かすと失敗しにくい。
起点色:顔のすぐ近くに置く、一番似合う色。ここを外すとどんなにトーンを合わせても違和感が残るので、最初に決めておくと服選びが早くなる。
終点色:一番暗い色、または一番明るい色。靴・バッグ・ベルト・アクセサリーなどで作ることが多い。ここが決まるとコーディネート全体が締まる。
背景を含めたトーン:オンラインや写真で、後ろに写る壁や家具も一段として扱う考え方。背景が白なら中間を濃く、背景が暗いなら顔を明るくして調整する。

