笑ったときに「歯が少し黄ばんで見える」「スマホで撮ると口紅はきれいなのに歯がくすんで写る」「ブルー系の赤を塗るといいと聞いたけれど、自分には冷たくて浮いてしまう」——こうした悩みは、歯そのものの白さやホワイトニングの有無よりも、その日の顔色と唇の色の向きがほんの少しだけずれていることが原因になっている場合が圧倒的に多いです。
特に日本人の多くは、歯がもともと紙のような真っ白ではなく、アイボリー・クリーム・やや黄みを含んだ自然なトーンをしています。この“自然な黄み”は、メイクがなじんでいるときには気にならないのに、黄みの強いリップ・くすみすぎたローズ・端まで光らせたグロスなどを塗った瞬間に前へ出てきて「歯が黄色くなった」と感じさせます。
逆に言えば、リップ側でこの黄みを拾わないようにほんの少しだけ調整すれば、ホワイトニングをしていなくても、写真やオンライン上で歯だけがきれいに浮き上がるように見せることができます。
結論から先に言うと、歯を白く見せるリップの選び方は「誰でも青み赤を塗ればOK」ではありません。そうではなく、①自分の肌・目・髪がもともと持っている色の方向に合わせること、②その中で歯の黄みと向かい合う“青・冷たさ・明るさ”を一段階だけ足すこと、③リップの光を歯に当てすぎないように、口角側だけ質感を落とすこと、この3つを同時にやることで初めて「自然な顔なのに歯が白い」という仕上がりになります。
この記事では、まず“なぜ黄ばんで見えるのか”という原理から入り、次にスプリング・サマー・オータム・ウィンターの4シーズンそれぞれに対して色相・明度・清らかさ・質感・ラインのとり方を細かく割り当てます。
そのうえで、通勤・写真撮影・オンライン会議・行事・季節の乾燥といった具体シーンでの塗り分け方、黄みが強い・歯並びの影が出る・口角が下がると黄ばむ・唇がもともと暗いといった悩み別の微調整、最後に買い物と手持ちカラーの活かし方、Q&A、用語辞典までを一気にまとめます。
読む順番どおりにやれば、その日の光の当たり方が違っても、同じ白さを繰り返せるようにしてあります。
歯が白く見える・黄ばんで見えるのはなぜか
歯が暗く見える3つの原因を分解する
歯の色そのものはそれほど暗くないのに写真でくすんで見えるとき、多くの場合で同時に3つのことが起きています。ひとつ目は、唇にのせている色が歯の黄みと競合していることです。
たとえばオレンジが強すぎる口紅・黄土色に近いブラウンリップ・黄みの強いベージュを広く塗っていると、歯のアイボリーとリップの黄みが重なり、口の中全体が黄色く見えます。
二つ目は、口まわりに影ができていて歯が暗所にあるように見えることです。これは口角が下がっている人、マスクのこすれで口角がわずかにくすんでいる人に多く見られます。
三つ目は、リップのツヤや光が歯に反射して黄みを強調してしまっていることです。とくにツヤやオイル分の多いグロスを口角までしっかり塗ると、光が端にたまって、そこに歯の黄みが映り込みます。つまり「歯が黄ばんでいる」というより「黄みが広がっている」「黄みが呼び合っている」状態なのです。
日本人はもともと歯の基準色がやや温度のある色なので、口紅の側が黄み寄りだとすぐに同じ温度同士で共鳴します。逆に、リップを顔のほうに寄せて、そこからほんの少しだけ歯に逆らう青みを足してやると、この共鳴が止まり、目には“白くなった”ように見えるわけです。
パーソナルカラーと歯の見え方の関係をもう少し詳しく
パーソナルカラーを使うと歯がきれいに見えるのは、肌・目・髪と唇を同じ色調に揃えることで、歯だけが浮き上がらずに済むからです。たとえばブルベ夏(サマー)は肌のベースがやや青み寄りで、透明感ややわらかさを持っています。
このタイプの人が黄みの強いサーモンやアプリコットを唇いっぱいに塗ると、唇だけがあたたかく、歯と頬が冷たく、というアンバランスが起きます。このアンバランスが「歯が黄ばんだように見える」正体です。逆に、イエベ秋(オータム)が青みの強いベリーを広く塗ると、顔全体のあたたかさと唇の冷たさがぶつかり、歯のアイボリーが強く出ます。
つまり、自分のシーズンを外れて冷たくしたり、あたたかくしたりすると、歯の黄みが急に目立ちやすくなるということです。
だからこそ、歯を白く見せるときはシーズンを丸ごと変えるのではなく、**「自分のシーズンの中で、冷たさをひとさじ」「自分のシーズンの中で、明るさを半トーン上」**という“内側の移動”をすることが重要になります。これなら顔全体はなじんだまま、歯だけが一段階明るく・白く感じられます。
白く見せるときの基本レシピを分解して説明する
歯を白く見せたい日の基本レシピは、①シーズンに沿った色選び、②ラインを歯の見える幅の中にとどめること、③質感を中央と端で分けること、この3つです。
まず色は、自分のシーズンの典型色から、黄みをほんの少しだけ抑えたもの・青みをほんの少しだけ足したもの・明るさをほんの少しだけ上げたものを選びます。
次にラインは、笑ったときに見える歯の横幅の中で完結させるようにし、むやみに外へオーバーラインをとらないようにします。歯より外に広がった色は、ほぼすべてが黄み・影・光を呼び寄せます。
最後に質感です。中央には光を置いて歯の白さの面をつくり、口角や端はマット〜セミマットで締めると、光が跳ね返らず、黄みが散らず、自然な白さだけが残ります。
表:歯が白く見える/黄ばんで見える条件早見表
| 観点 | 白く見えるとき | 黄ばんで見えるとき | 理由 | 補足の手直し |
|---|---|---|---|---|
| 色相 | 肌と同方向でやや青み・やや深み | 肌と逆方向で黄みが強い・くすみが強い | 歯のアイボリーが強調されるため | シーズン内で1段冷たくする |
| 明度 | 中〜やや高明度 | 暗すぎる・濁りすぎる | 暗いと歯だけが暗所に見える | 中央だけ明るい色を重ねる |
| 質感 | 中央はツヤ・端は控えめ | 全面強ツヤ・全面マット | 反射や沈みで黄みが強く出る | 端だけパウダーで押さえる |
| ライン | 歯の幅内に収める | 大きくオーバーラインにする | 歯と唇のコントラストがずれる | 歯が見えるところまでで止める |
| 口角 | 明るく・マット寄せ | 暗い・ツヤがたまる | 影が黄みに見える | コンシーラーで整えてから塗る |
パーソナルカラー別・歯が白く見えるリップ色の選び方
イエベ春(スプリング):黄みは残しつつ、白さが出る透明コーラルへ
スプリングは、顔全体のトーンが軽く、肌が黄みをふんわりまとっている人が多いタイプです。そのため、黄みを完全に抜いてしまうと顔色までそがれてしまいます。
ここで狙うのは、「黄みを感じるのに、歯の黄みだけは拾わない」軽やかなコーラル〜ピーチの帯です。コーラルピンク、アプリコットピンク、ピーチベージュ、サーモンピンクでも黄みに白を混ぜすぎていないタイプなどが扱いやすいです。
さらにもう一段階こだわるなら、透明感のあるグロスコーラルを中央に、マット寄せのピーチを口角にと、質感をわけておくと、口角まわりの反射が止まり、歯だけが明るく見えます。
スプリングで失敗しやすいのは、白をたくさん混ぜたミルキーコーラルを唇の端まで塗ることです。こうすると、唇の白さと歯の白さがぶつかり、結果としてどちらもくすんで見えます。
白みリップは中央だけ、端はやや透けるコーラルにすると、歯の色との間にきれいな差がつきます。また、上唇の山を小さく高くとると、笑ったときにリップの明るい部分と歯の明るい部分が重なるので、より白さが強調されます。
スプリングの中でも、明るくて子どもっぽく見えやすい人(ライトスプリング寄せ)は、ピーチにうっすらとローズを混ぜた色を選ぶと大人っぽさが出て、歯だけが白く見えます。
逆に華やかで彩度が高めの人(ブライトスプリング寄せ)は、クリアなコーラルに青みピンクを一滴だけ足すと、写真映えが一気に上がります。
ブルベ夏(サマー):青みローズで歯の影を消し、くすみすぎないようにする
サマーは、顔の中に青みとやわらかさを両立させているタイプなので、本来は歯のアイボリーが強く主張しません。にもかかわらず黄ばんで見えるときは、くすみを含んだローズ・モーブ・ラベンダーを広範囲に塗っているか、質感をツヤだけで仕上げていて光が歯に映りやすくなっているかのどちらかです。
そこで、ここでは明るい青みローズ、ラズベリーピンク、ライラックピンク、青みを含んだローズベージュなど、透明感と明るさを同時に持つ色を基本にします。
サマーが注意したいのは「似合うから」といってグレイッシュな色をそのまま使わないことです。グレーを含む色は、顔にはとてもなじみますが、レンズ越しでは歯を暗く見せます。
いったん明るめのローズをベースに塗り、口角から3mm手前で色を止めるだけで、黄みの広がりはかなり抑えられます。さらに白さを強めるなら、中央にだけ青みが強いピンクをぽんと重ねると、歯の手前に“冷たい帯”ができ、アイボリーが見えなくなります。
サマーの中でも色白でふんわりした人(ライトサマー)は、青みが強すぎると唇だけが浮くので、ローズにミルクを少し混ぜたような色を中央に、口角はピンクベージュで締めるとバランスが取れます。落ち着いたサマー(ソフトサマー)なら、くすみローズでも、中央にだけ明るさとツヤを追加し、端をセミマットにすることで、歯が暗く見えるのを防げます。
イエベ秋(オータム):黄みを抑えた深めピンク・赤茶で白さを拾う
オータムは、肌・髪・瞳に深みやあたたかさがあり、こっくりとした色がとてもよく似合うタイプです。その反面、口元までその“こっくり”を持ってくると、歯が一緒にこっくりして見えてしまいます。
ここでのコツは、黄み方向は保ちつつ、赤み・ピンクみで中和することです。サーモンローズ、くすみコーラル、ブリックローズ、ローズテラコッタのように、ほんの少し赤を感じる色を選ぶと、歯の黄みがそのまま口紅に吸収されることがなくなります。
とくに秋色の代表であるテラコッタ・オレンジブラウンは、歯のすぐ近くまで塗ると黄みが100%顔を出します。使いたい場合は、上唇の山から中央までをテラコッタ、口角〜下唇端はローズブラウンで締めるという二色づかいにすると、歯と唇のあいだに冷たさが一枚はさまり、白さが保たれます。
質感は、つやつやのグロスだと下唇に光がたまり、歯の黄みを拾いやすくなるので、なめらかなクリーム〜薄膜マットを中心にして、中央にだけほんのりツヤ、が扱いやすいです。
オータムの中でも“ディープ気味”の人は、ベリーやボルドーに寄せたくなることがありますが、そのままの濃度で塗ると歯が一気にアイボリーに見えます。
そういうときは、濃色を上下中央にだけ置き、口角は必ず同系の明るい色で戻してください。逆に“ソフト寄り”で顔にやわらかさがある人は、赤みを足したコーラルブラウンを全体に薄くのせ、口角にだけマットベージュを重ねると、歯の黄みが消えます。
ブルベ冬(ウィンター):青みの強い赤・ベリーでコントラストを作る
ウィンターは、顔の中に明暗のコントラストがはっきりあるので、もともと歯が白く見えやすいタイプです。この強みを最大化するには、赤を黄みから切り離すことと、リップラインを外に出しすぎないことの2つが重要です。
青みの強いレッド・ベリー・ワイン・バーガンディなど、冷たい方向にしっかり寄せた色を選ぶと、歯のアイボリーが背景に引っ込み、白い部分だけが前に出ます。逆に、黄みを含んだ朱赤・オレンジレッドを口角まで塗ってしまうと、せっかくのコントラストが“赤×黄”になり、歯がいちばん黄ばみます。
ウィンターでありがちな失敗は、「せっかく高発色が似合うから」と言って唇の輪郭をくっきり外にオーバーしすぎることです。こうすると、口元だけが前方に張り出して見え、歯の色も目につきやすくなります。
対策としては、先に口角の位置をコンシーラーで決め、そこから内側に向かって塗ること。内に入れても色の存在感が消えないのがウィンターの強みなので、内側でとどめるほうが歯は白く見えます。
表:パーソナルカラー別・歯が白く見える色の方向(詳細版)
| タイプ | 基本になる色 | 避けたい色 | 質感の目安 | 一言で言うと | 追加で持つと便利な色 |
|---|---|---|---|---|---|
| スプリング | 透明コーラル・ピーチピンク | 黄みが強すぎるオレンジ・白すぎるミルキー | 中央ツヤ・端控えめ | 黄みを残してにごりを抜く | コーラルベージュ+青みピンク重ね |
| サマー | 明るい青みローズ・ラズベリー | くすみすぎたモーブ・グレー寄せ | セミツヤ〜クリーミー | 青みで影を消す | 青みピンクの中央用グロス |
| オータム | ローズブラウン・赤みコーラルブラウン | 黄土系オレンジ・濃すぎるブラウン | 薄膜マット〜なめらか | 黄みを拾わず温度を保つ | 口角用のマットベージュ |
| ウィンター | 青みレッド・ベリー・ワイン | 黄みのある朱赤・オレンジレッド | 高発色セミマット | コントラストで白く見せる | コンシーラー+唇用ハイライト |
シーン別・季節別に“歯が白く見える”を仕込む
通勤・オフィスの日:自然で信頼感のある白さ
仕事の日は、あまりにも冷たい赤や濃いベリーを塗ると場から浮いてしまうため、自分のシーズンの中で一段階だけ冷たいか、明るいかくらいの変化にとどめます。
ラインは元の唇より0.5mm内側でとどめ、口角にいくほどツヤを弱くしておきます。これだけで、マスクを外した瞬間にも歯の黄みが拾われません。
スプリングならコーラルベージュに青みピンクをほんの少しだけ中央に重ねる、サマーならローズベージュで全体を整えて中央に明るいローズをのせる、オータムなら黄みを抑えたコーラルブラウンに口角マット、ウィンターなら落ち着いた青みローズでコントラストを軽く出す、という組み立てが安定します。
写真・動画撮影の日:レンズで黄ばむ前提で一段冷たく・明るく
スマホやカメラ越しでは、実物よりも歯が黄色く・影っぽく写ります。理由は、レンズが口内のわずかな影や舌の赤を拾うからです。撮影の日は、実物よりも0.5〜1トーン冷たく、0.5トーン明るい色に寄せ、中央にツヤを出し、口角はマットで締めると、光の当たった歯が一段階白く見えます。
スプリングなら明るいクリアコーラル+口角マット、サマーなら青みピンク+口角に同系薄色、オータムならローズテラコッタ+端はマット、ウィンターなら青みレッド+口角は筆でぼかす、という組み方にすると、写真の中での歯の黄ばみが最小になります。
行事・フォーマルの日:照明で黄みが拾われる前に枠を決める
行事では写真が必ず残るうえに、会場の照明が黄みを含んでいることも多く、歯の黄みが拾われやすいです。フォーマルのときは、ライナーで輪郭をとる前に、唇の外周をコンシーラーで一度整えて、歯が見える範囲を先に決めると、白さにブレが出ません。
色は、スプリングなら上品なコーラルピンク、サマーなら明るい青みローズ、オータムなら赤みベージュ、ウィンターならやや深いベリーが安定します。中央にだけ細くツヤを通して、口角は完全にツヤを止めると、写真で口角だけ黄色く光るのを防げます。
季節の乾燥・くすみ対策:端をなめらかにしてから色をのせる
冬は唇が乾いて色がのりにくくなり、口角の影が強く出ます。この状態でツヤリップを端まで塗ると、光がよれて歯の黄みを拾ってしまいます。先に口角だけバームを薄くなじませ、ティッシュで油分を取ってから色をのせると、光が散らず、歯の手前がなめらかになります。
夏は汗と皮脂でツヤが広がりがちなので、口角だけルースパウダーを軽くはたき、その上にリップを重ねると、端に光がたまらず、黄ばみが移りません。
表:シーン別の設計
| シーン | 色の方向 | ライン | 質感 | ねらい | 追加の一手 |
|---|---|---|---|---|---|
| 通勤 | シーズン内で一段冷たい/明るい | 0.5mm内側 | 中央ツヤ・端控えめ | 自然に白く | 口角をコンシーラーで明るく |
| 写真 | シーズン内で冷たい+明るい | 歯の見える範囲で完結 | ツヤ強+端マット | レンズで白く | 撮影前にティッシュオフ |
| 行事 | 落ち着いた清色 | コンシーラーで枠決め | クリーミー | 照明でも沈まない | 口角に同系薄色を重ねる |
| 季節対策 | なじみ色 | 端をサラッと整える | 保湿+部分マット | 影を作らない | 乾燥日は端を先に保湿 |
| オンライン | 明るめで顔色が上がる色 | 歯の幅内 | 中央だけ光 | カメラ上で白さを示す | カメラ位置を目線より上に |
悩み別の微調整テクニック
歯の黄みが強くてどの色でも黄ばむ
歯の黄みがしっかりある人は、「青いリップを塗らなきゃ」と思いがちですが、一気に冷たい色にすると今度は顔から浮きます。ここでは、自分のシーズンの中で一段階冷たい色を選ぶ→口角をマットで締める→歯のすぐ手前に明るい色を細くのせるという三段階で組みます。
口角をマットにすると反射が減り、黄みが広がらなくなります。さらに、上唇の山から歯の見える部分にかけて明るい色を細く重ねると、歯の手前に光の帯ができて白さが強調されます。
歯並びの影が気になる・口の中が暗く見える
歯並びに段差があると、口紅の色がそこに反射して暗く見えがちです。こうした場合は、ツヤを中央に集中させず、やや広い範囲にふんわりと光を置き、口角だけマットにすると、影の境目がぼけて見えます。
色は透明感のあるローズやコーラルなど、光を通す色を選ぶといいです。どうしても影が残るときは、口角の外側に肌色のコンシーラーを細く入れて、リップと肌の境目の明るさをそろえます。
口角が下がると歯が黄ばむ
口角が下がると、リップの端にたまったツヤが歯の黄みに反射して、実物より黄ばみが強く見えます。ここでは、先に口角をコンシーラーで明るくし、端はマットで仕上げ、中央だけツヤを乗せるという逆三角形の光の配置にします。
こうすると、口角が少し下がっても光がそこに落ちず、黄みが移りません。必要なら、口角のすぐ下にごく薄くシェーディングを入れておくと、下がりそのものも目立ちにくくなります。
もともと唇が暗い・くすみがある
唇のくすみが黄みを増幅している場合は、色をのせる前に唇全体をコンシーラーかリップ下地でトーンアップしておきます。そのうえで、自分のシーズンの“清らかな色”を重ねると、歯のアイボリーが気にならなくなります。くすみを消してから色を重ねることで、青みや透明感がきれいに見えるようになります。
表:悩み別の処方箋(詳細版)
| 悩み | 色の調整 | 形の調整 | 質感の調整 | 追加でできること |
|---|---|---|---|---|
| 黄みが強い | シーズン内で一段冷たく・明るく | 歯が見える範囲で完結 | 端マットで反射を止める | 歯の手前に明るい色を細く重ねる |
| 歯並びの影 | 透明感のある色で広めに | ラインを内側に | ツヤを中央に分散 | 口角外側をコンシーラーで整える |
| 口角が下がる | 明るい色を口角手前に | コンシーラーで口角を作る | 口角だけマット | 下にごく薄い影を入れて持ち上げる |
| 唇くすみ | 下地でトーンアップ | 山を高くし歯と重ねる | クリーミーで薄膜 | 日常的に保湿して縦じわを減らす |
買い物と実践のポイント
店頭・オンラインでの色の見極め方をもっと実務的に
歯が白く見えるかどうかを店頭で判断するには、リップを手の甲ではなく**口元に近い部分(あごの下〜口角のわき)**にのせて確認します。鏡の前で少しだけ歯を見せながら色を見ると、歯のアイボリーとリップの色の相性がその場で分かります。
店頭のライトが黄みを含んでいるときは、スマホのライトを顔の正面に当てなおしてチェックすると、実際の撮影環境に近づきます。オンラインで買うときは、商品説明に「青み」「ローズ」「ベリー」「クール」「クリア」といった語があるものを優先すると外しにくく、オータムの人だけは「ローズブラウン」「くすみコーラル」「赤みベージュ」のような語から色を選ぶとちょうどよくなります。
手持ちのリップを使い回すときの工夫を追加する
すでに持っているリップが黄み寄りで、塗ると歯が黄ばむと感じる場合は、完全に買い替えなくても調整できます。
①口角にだけコンシーラーをのせてマットにする、②上から青み寄りのグロスやリップを中央だけに重ねる、③内側を明るい色で塗り直し、外周は元の色のままにする、④口角の外側に肌色のパウダーをはたいて光を止める——この4つを組み合わせると、黄みのリップでも白く見える方向に寄せられます。
特に②と③は、手持ちのオレンジ・テラコッタを無駄にせずに済むのでおすすめです。
一週間の白見えリップ計画(応用)
月曜は通勤向きのなじみ色で0.5mm内側ライン、火曜はオンライン映えの明るめローズで中央ツヤ、水曜は在宅でセミマットにして歯の黄みを拾わないように、木曜は会食用に少し深めの色で口角マット、金曜は写真やSNS用に強めの青みで中央に光を通し、土日は季節色で遊ぶというように、冷たさと明るさの度合いを日替わりで変えていくと、自分の歯色と最も相性のいいポイントが見えてきます。
大事なのは、どの日も「口角まで強いツヤを広げない」「歯の見える範囲でラインを止める」「シーズンから大きく外さない」の3つを変えないことです。
Q&A
Q1. 歯のホワイトニングをしていないと効果は出ませんか?
A. ホワイトニングをしていなくても、色と質感をそろえるだけでかなり違って見えます。特に口角をマットで締めるだけでも、黄みの広がりが止まり、写真での黄ばみが軽くなります。
Q2. 青みが似合わないと言われたのですが、歯を白く見せるにはどうしたらいいですか?
A. 一気に青みに振るのではなく、今持っているイエベ寄りの色の中で「赤みがある」「ピンク寄りで明るい」ものを選んでください。細かいところで青みを足すだけでも白さは出ますし、口角をマットにするだけでも黄みはかなり抑えられます。
Q3. グロスが好きですが、歯が黄ばみます
A. グロスは中央だけに留め、口角に向かってはつやを弱めてください。光が歯に反射する面を減らせるので、黄ばみが出にくくなります。どうしても全体にグロスを使いたい日は、あらかじめ口角だけパウダーでなじませておくと安心です。
Q4. 口紅が歯につきやすくて気になります
A. 歯に近い内側はティッシュで一度おさえてから重ねると付きにくくなります。色を重ねる順序を「内側マット→中央ツヤ」にすると、歯についたときにも目立ちません。口角をマットにしておくと、付着してもすぐに指でぼかせます。
Q5. どのシーズンにも当てはまらない気がします
A. 明度と清らかさを優先して選んでください。肌が明るく透明感があるならスプリング・サマー側、落ち着いているならオータム・ウィンター側に寄せると、歯とのコントラストが取りやすくなります。迷ったときは、いちばん明るいローズまたはコーラルを選び、口角だけマットで締めてください。
Q6. 年齢が上がると歯の色が目立ちやすくなりました
A. 年齢とともに口まわりの影やくすみが増えるため、若い頃と同じ色でも黄ばみやすくなります。明度を一段階上げ、ツヤを口角に広げないようにすれば、同じ色を今の顔でも使えます。
Q7. リップライナーは必須ですか?
A. 必須ではありませんが、歯が白く見える位置を毎回同じにしたいなら、口角だけでもライナーを使うと安定します。特にウィンターやオータムで濃色を使う日は、ライナーで口角の枠を先に描いておくと、歯に色がにじみにくくなります。
用語辞典
清色(せいしょく):にごりのない澄んだ色。歯を白く見せたいときは清色寄りが有効で、くすみすぎた色は歯を暗く見せやすい。
くすみ色:グレーやブラウンを混ぜたやわらかな色。似合う人には良いが、写真やオンラインでは歯を暗く見せることがある。
コントラスト:明るさや色の差。ウィンターが歯を白く見せやすいのはこの差がもともと大きいから。コントラストを意図して作ることで、ほかのシーズンでも白さを演出できる。
黄み寄り・青み寄り:色があたたかく見えるか、冷たく見えるかの違い。歯のアイボリーは黄み寄りなので、少しだけ青みを足すと中和される。
薄膜マット:完全に粉っぽくない、薄くなめらかなマット。端を締めるときに便利で、歯への光の映り込みを抑える働きがある。
口角マット:口角だけ光らないようにする仕上げ。ここをマットにするだけで歯の黄ばみが広がらないため、すべてのシーズンで使えるテクニック。
内側ライン:唇の本来の輪郭よりわずかに内側で止める描き方。歯が見える範囲と唇の色の範囲が一致し、白さが際立つ。
まとめ:
歯を白く見せるリップは、「青ければいい」「赤ければいい」という単純な話ではなく、あなたの肌と同じ方向にある色を使い、その中でほんの少しだけ歯の黄みを打ち消す成分を足すことが大事です。
さらに、ラインは歯が見える範囲で完結させ、ツヤは中央だけに、口角はマットで締める。これをパーソナルカラー別に置き換えれば、通勤でも行事でも写真でも、同じ方法で“歯が白く見える口元”を作れます。
日によって光の強さやカメラの位置が変わっても、シーズンを外さず、口角を光らせず、内側でラインをとるという3つを守っていれば、いつでも「この人、歯がきれい」と思わせる笑顔に仕上がります。今日のリップを塗り替えるところから、小さく角度を足していきましょう。

