就活の写真撮影やエントリーシート用の証明写真、オンライン面接や説明会といった“人からじっと見られる場面”では、服がほぼ同じでも顔の見え方だけが微妙に違って見えます。
「肌は元気なのにくすんで見える」「黒髪に戻したら急に幼く見えた」「眉だけが明るくて髪との段差が気になる」「面接のときに“派手ではないけど何となく垢抜けていない”と言われた」──
こうした違和感の多くは、髪と眉を“就活だから暗くする”という一点だけで決めてしまい、自分のパーソナルカラーがもともと持っている色の温度や明るさとずれてしまったことが原因です。
就活で推奨される6〜8トーンの落ち着いた色は安全ではありますが、パーソナルカラーと合っていないと肌が黄ばんで見えたり、逆に青白く見えたり、目の下だけ影が濃くなったりして、せっかく整えた身だしなみが100%伝わりません。
そこで大切になるのが、**「就活で許される暗さの中で、自分のシーズンに合う温度と明度を選ぶ」**という考え方です。さらに眉を髪よりも0.5〜1トーンだけ明るくし、肌と同じ温度にそろえてあげると、黒・紺・白・グレーといった定番スーツの色の中でも顔のパーツがやわらかくつながり、知的・健康的・清潔という就活で見せたい3要素を一度に満たすことができます。
この記事ではまず、就活で一般的に“マナーとして安心”と思われる髪色トーンを整理し、次にパーソナルカラーに合わせてどの範囲なら暗くしても顔が沈まないのかを詳しく見ていきます。
そのうえで、スプリング・サマー・オータム・ウィンターの4タイプ別に、似合う黒髪の戻し方、暗髪にしたときの黄ばみや青ぐすみの防ぎ方、眉マスカラやパウダー・ペンシルの具体的な色選び、まとめ髪をしたときに色の段差が出ない工夫までを順番に解説します。
最後に、面接の直前だけ色を落ち着かせたい人や、証明写真だけ色が違って見える人、地毛が黒くてどのシーズンにも当てはまらないと感じている人のためにQ&Aを設けています。ここまでを一度自分のタイプに当てはめておけば、就活が長期戦になっても季節ごとに迷わず同じ基準で色を整えられるはずです。
就活で許容される髪色トーンの考え方とパーソナルカラーの前提
まず押さえておきたいのは、「就活での髪色はこれが正解」という一色があるわけではなく、場面と業界で許される幅の中に自分の最適値を見つけるという発想です。
説明会・合説・オープンカンパニーなど参加者が多く学生感の強い場面では、実は7〜8トーン程度の落ち着いたブラウンでも清潔に見えますし、IT・クリエイティブ・ベンチャーなどでは地毛よりわずかに明るいくらいの“ほぼ地毛風カラー”が歓迎されることもあります。
一方で、金融・保険・インフラ・一部メーカーの一次面接など、書類の印象が重視される場面では5〜6トーンに寄せると安心感が出ます。ですから最初に決めるのは「何トーンにするか」ではなく、「自分が受ける業界の上限トーンを知ること」と「その上限の中でパーソナルカラーに合う温度を選ぶこと」の二つです。
ここでパーソナルカラーが効いてくるのは、同じ6トーンでも“黄み6トーン”と“青み6トーン”では顔に落ちる影の色が違うという点です。黄みに寄った6トーンは肌を健康的に見せやすい反面、ブルーベースの肌には黄ぐすみとして出ることがあります。逆に青みに寄った6トーンは透明感を出しやすいものの、イエローベースの肌の温度を奪い、唇の色を薄く見せてしまいます。
就活の写真は白背景・蛍光灯で撮ることが多く、肌のわずかな黄ぐすみ・青ぐすみがとてもはっきり写るので、髪の色味と肌の温度を最初から合わせておけば、同じ暗さでも“この人はもともとこの色なんだ”と自然に受け取られるようになります。
さらに就活シーンでは、太陽光・オフィスの蛍光灯・オンライン面接のリングライトなど複数の光源で見られることが多いので、どの光でも破綻しない色を選ぶ必要があります。
黄みに寄りすぎたブラウンは日中の太陽光ではきれいでも、蛍光灯の下ではオレンジっぽく浮くことがありますし、青みに寄りすぎたアッシュはオンライン会議のライトで顔色を冷たく見せてしまいます。
そこで髪はパーソナルカラーの“温度”に寄せる、眉は髪より0.5〜1トーンだけ明るくして濃淡差を小さくする、という二段階で考えると、どの光でも破綻しません。
表:就活での髪色トーンと眉色の基本目安
| タイプ | 髪の明るさ目安 | 髪の色味方向 | 眉の明るさ | 眉の色味方向 | 補足のポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| イエベ春 | 6〜7トーンのソフトブラウン | 黄みと赤みをほんのり感じる軽いブラウン | 髪より0.5〜1トーン明るく | 黄み〜コーラル寄せで肌と同じ温度 | 前髪の内側に光を通すと頬が明るく写る |
| ブルベ夏 | 5〜6トーンのダークラベンダー系ブラウン | 赤みを抑えた寒色〜中間色 | 髪と同等か0.5トーン明るく | ピンクブラウン・モーブ系でくすみ防止 | 透け前髪と合わせると顔が立体的に |
| イエベ秋 | 5トーン前後のダークウォームブラウン | 黄みのあるこげ茶・チョコレート | 髪より1トーン明るく | キャメル〜カフェブラウンで重さを抜く | まとめ髪にしたときも眉が重くならない |
| ブルベ冬 | 4〜5トーンのブルーブラック〜ダークグレージュ | 寒色寄せ・赤みなし | 髪より1トーン明るく | グレー〜アッシュブラウンで凛と見せる | つやを出しても就活で違和感が出にくい |
イエベ春(スプリング)の就活髪色と眉色調整
スプリングタイプは、肌そのものに光が乗りやすく、瞳も少し明るく、頬や唇にあたたかい血色がにじむのが大きな特徴です。ところが就活だからといって一気に黒まで戻してしまうと、この“光”の要素が消えてしまい、顔の中心が平たく、下まぶたの影だけが強く出るという状態になりがちです。
そこで完全な黒ではなく、就活で問題になりにくい範囲の中で6〜7トーンのソフトブラウン〜ベージュ寄りブラウンを選び、黄みをきちんと残します。オレンジ寄りに振ると学生サロン風・ギャル風に転んでしまうため、あくまでベージュを感じる程度にとどめるのがポイントです。この色にしておくと、白い背景で撮影した証明写真でも肌の黄みと髪の黄みが連動し、輪郭の周りに不自然な影が出ません。
眉はこの髪色よりも0.5〜1トーン明るく、ライトブラウン〜コーラルブラウンで揃えます。髪と同じ暗さで眉を描くと目のフレームが強くなりすぎ、春タイプに固さが乗ってしまうためです。
眉パウダーを使うときは、いちばん明るい色と中間色を2:1で混ぜ、眉頭から中間までをふんわり塗り、足りない部分だけペンシルで描き足すと、ふわっとしたスプリングらしさが保てます。眉マスカラを最後にうすくとかすことで毛流れの立体感が生まれ、画面越しに見たときも“整えているけれど濃くない”という就活にちょうどいい質感になります。
さらに一歩進めるなら、顔周りにだけごく細い内側ハイライトを入れておくと、面接室の白色灯でも頬骨の高さに光が乗ります。
ハイライトといっても目立つ筋を入れるのではなく、表面からは見えない位置に明るさを仕込む程度で十分です。これにより、スプリング特有の若々しさ・愛嬌が保たれたまま落ち着いた髪色に見えるため、初期面接〜最終面接まで同じ髪色で通しやすくなります。
ブルベ夏(サマー)の就活髪色と眉色調整
サマータイプは、肌が青み寄りでやわらかく、目鼻立ちのコントラストも穏やかな人が多いので、黒に一気に戻すと髪だけが“面”になってしまい、顔が小さく見えすぎて頼りない印象になることがあります。
そこでおすすめなのが、5〜6トーンのアッシュブラウン・ラベンダーブラウン・ローズブラウンなど、赤みを抑えた寒色寄りの暗髪です。
完全なアッシュにしてしまうと冷たくなりすぎるので、ほんの少しベージュを混ぜて中和しておくと、太陽光でも蛍光灯でも地毛風に見えるバランスになります。スーツの濃紺やチャコールグレーと合わせたときも、髪だけが黒く沈まず、全体がやわらかくまとまります。
眉は髪と同じか0.5トーンだけ明るく、ピンクブラウン・モーブブラウン・ローズグレージュといった“青みを感じるけれど派手ではない”色を選びます。ここで黄みのあるブラウンをのせてしまうと、せっかく髪を寒色に寄せたのに眉だけが温かく、顔が二層に見えてしまいます。
まずパウダーで眉全体をマットに整え、足りないところをペンシルで描き、最後に青みに寄った眉マスカラをごく薄く通しておくと、オンライン面接でカメラが自動補正をかけても眉だけが飛びません。サマーは顔の上半分に光を通した方が若々しく見えるので、前髪を重く下ろすよりも、少し透けるようにして額の肌を見せると、寒色の暗髪でも冷たすぎない表情が作れます。
さらに、就活でありがちな「写真だけやけに暗く写る」「反対にスマホで撮ると明るく写って実物と違う」というズレを防ぐには、髪の表面にオイルをつけすぎず、マット寄りのワックスやバームで軽く面を整えておくと良いです。光の反射をコントロールできるので、寒色の髪でものっぺりせず、スーツの襟との境目もきれいに写ります。
イエベ秋(オータム)の就活髪色と眉色調整
オータムタイプは、もともと黄みを含んだしっかりめの肌色と、深いこげ茶・オリーブ・テラコッタなどの落ち着いた色がよく似合うグループです。このタイプが就活だからと真っ黒に戻すと、肌のあたたかみが強調されすぎ、顔だけが重く・濃く見え、全体として“落ち着きすぎている”“学生らしさがない”という印象を与えてしまうこともあります。
そこで、5トーン前後のダークウォームブラウン・チョコレートブラウン・カフェブラウンといった、黄みがしっかり残る暗髪に寄せるのが安全です。赤みが強いブラウンはおしゃれに見えますが、就活ではサロン帰り感が出てしまいがちなので、オレンジよりも黄土色に近い方向を選んでおきます。つやは控えめに仕上げ、毛流れがわかる程度のナチュラルな質感にしておくと、面接でも「きちんと整えた黒に近い色」と受け取られます。
眉は髪よりも1トーン明るく、キャメル・カフェブラウン・テラコッタをうすく溶いた色で整えます。髪と同じ暗さで眉まで塗りつぶすと、顔の中心がどんより沈み、唇の血色まで黄土色に見えてしまうためです。眉頭は少しだけ明るく、眉山から眉尻にかけて髪の色に寄せると、輪郭が程よく引き締まって見えます。オータムはゴールドやベージュ系のアクセサリーをつけることが多いので、眉の温度をここに合わせておくと、証明写真で耳飾りや時計が写っても“色がバラバラ”という印象になりません。
また、首元やフェイスラインに影が出やすいオータムは、髪色を暗くした日にフェイスラインだけほんの少し明るくなるようインナーカラーを仕込んでおくと、ウェブ面接でも顔色が沈みません。耳の後ろあたりに半トーンだけ明るい色を入れておき、まとめ髪をしたときに内側からふわっと温かみがのぞくようにすると、真面目さとやさしさを同時に伝えられます。
ブルベ冬(ウィンター)の就活髪色と眉色調整
ウィンタータイプは、もともと地毛が黒〜ごく暗いブラウンであることが多く、瞳もはっきりしていて、顔のパーツのコントラストが高い人が多いです。このタイプが就活前に7〜8トーンの黄みブラウンにしてしまうと、髪だけが急にやわらかくなり、持ち前の凛とした印象と合わなくなります。
そこでおすすめなのは、4〜5トーンのブルーブラック・ダークグレージュ・ダークネイビーを含むブラウンといった、冷たい方向に寄せた暗髪です。赤みを完全に消すと冷たすぎるので、ほんのわずかにローズを感じる程度にとどめておくと、証明写真でも血色が保てます。
ウィンターはつやをしっかり出しても就活では派手に見えにくいため、毛先をまとめてガラスのようなつやを作ると、スーツとの相性が良く、丁寧に身だしなみを整えている印象を与えられます。
眉は髪より1トーン明るいグレー・アッシュブラウン・ダークトープにしておくと、目元だけが黒く重くなるのを防げます。黒に近い眉を太く描くと威圧的に見えてしまい、「話しかけづらい」「モードすぎる」と受け取られることもあるので、アウトラインは細めに、色は冷たく、明るさは髪より一段上、という組み合わせを意識します。
眉マスカラを使うなら黄みを含まないグレージュ系を選び、前髪をおろしたときにも眉山が透けるように描いておくと、オンライン面接でカメラがやや上からでも表情が読み取りやすくなります。
仕上げに目の下のクマを青み寄りのコンシーラーで整えると、寒色の髪・眉とつながり、より一体感のある顔になります。
表:シーズン別の髪色・眉色・似合わせポイントまとめ
| シーズン | 髪色の具体例 | 眉色の具体例 | ポイント | 光源別の注意 |
|---|---|---|---|---|
| スプリング | 6〜7トーンのソフトブラウン、アプリコットブラウン | ライトブラウン、コーラルブラウン | 髪も眉も黄みを通し、長さは軽めに。前髪に光を入れて若々しさを出す | 蛍光灯だと黄みが強く出るので眉はやや明るく |
| サマー | 5〜6トーンのアッシュブラウン、ラベンダーブラウン | モーブブラウン、ピンクブラウン | 赤みを抑え、透ける前髪と合わせて清潔感を演出。眉はマット寄せ | オンラインではやや濃いめに描き、飛びを防ぐ |
| オータム | 5トーン前後のダークウォームブラウン、チョコレートブラウン | キャメル、カフェブラウン | 髪を落ち着かせつつ眉で重さを抜く。ゴールド小物と色を揃える | 太陽光下でのオレンジ化を事前にチェック |
| ウィンター | 4〜5トーンのブルーブラック、ダークグレージュ | グレー、アッシュブラウン | 髪は冷たく、眉で1トーンだけやわらげる。つやはしっかり出す | 白背景の証明写真では眉をほんの少し濃く |
Q&A
Q1. 面接前日だけ色を落ち着かせたいときはどうすればいいですか。
前日に一気に暗くするときは、髪全体をベタ塗りで暗くするよりも、根元から中間までを暗めにして毛先を半トーンだけ明るく残すと、肌と髪の差が急に大きくならず自然に見えます。眉はその日だけパウダーで髪色に寄せ、マスカラは使わないか透明タイプにしておくと、光の当たり方で眉だけが浮くのを防げます。翌日以降はまた元の眉色に戻せるので、長期の就活でも対応しやすい方法です。
Q2. 証明写真でだけ髪が明るく写ってしまいます。
白背景やストロボを使う撮影では、黄みのあるブラウンほど明るく写る傾向があります。撮影の前日にオイルをつけすぎず、当日は表面を軽くマットに整え、前髪を少しだけ額から離して光が入りすぎないようにすると、実際のトーンに近づきます。眉は撮影時だけいつもより少し濃く描き、眉マスカラを省くと、プリントしても薄く見えません。
Q3. 眉マスカラがどうしても明るくなりすぎます。
髪を暗くしたときに手持ちの眉マスカラが明るい場合は、まずパウダーで眉全体を髪色に近づけ、マスカラは毛流れを整える目的だけでごく少量とかすように使ってください。色をのせるのではなく質感を統一する意識で使えば、就活でも自然な仕上がりになります。どうしてもトーンが合わないときは、グレージュやダークブラウンのマスカラを1本用意しておくと安心です。
Q4. 地毛が真っ黒で、どのシーズンでも重く見えます。
地毛がとても黒い人は、表面の一層だけを柔らかくして光を取り込むと、就活でも違和感が出ません。耳上の内側にだけ細く明るさを入れておき、まとめ髪にしたときに内側から光がのぞくようにすると、黒髪でも立体的に見えます。眉は黒ではなく、グレーブラウンやダークアッシュにして、髪より少しだけ軽くしておくと目元が詰まって見えず、表情も読み取りやすくなります。
Q5. オンライン面接と履歴書写真で色が違って見えるのが気になります。
オンライン面接ではカメラの性能や部屋の照明で色が飛びやすいので、眉をほんの少しだけ濃く描き、髪は顔周りの毛を耳にかけて影を減らしてください。履歴書用の写真はそれよりも一段淡い色でまとめておくと、全体として“暗くて安全”という就活の基準に収めやすくなります。同じ髪色でも、光源に合わせて眉の濃さを1段階動かすだけで、見え方の差はかなり小さくなります。
Q6. 一次面接と最終面接で通う会社が違う場合、髪色はどちらに合わせるべきですか。
どちらか迷うときは、より暗い方・より保守的な方に寄せておき、眉でやわらかさと自分らしさを足してください。髪を明るくするより眉を半トーン明るくする方が、就活では“身だしなみを整えている”と受け取られやすいです。
用語辞典
トーン:色の明るさの段階。就活でよく言われる「6トーン」「7トーン」は、市販のカラー剤にも表示されている目安で、数字が小さいほど暗く、大きいほど明るい。
温度(色の温度):色が黄み寄りか青み寄りかを示す考え方。肌の温度と髪・眉の温度を合わせておくと、同じ暗さでも自然に見え、光源が変わっても違和感が出にくい。
アッシュ:青みや灰色みを感じさせる寒色寄りの色。ブルベ全般と相性がいいが、入れすぎると顔色が冷たく見えるので、就活では控えめが安全。
ウォームブラウン:黄みや赤みを感じるあたたかい茶色。イエベ春・イエベ秋に似合いやすく、黒髪に戻すよりも柔らかく健康的に見える。
セーフゾーン:業界や企業が就活中に許容している髪色・メイクの明るさの範囲。ここを外れないようにしながらパーソナルカラーに寄せると、安心かつ印象に残る見た目になる。

