導入(共感→結論→再現性)
「テラコッタは得意なはずなのに、広げると土っぽい」「夏は暑苦しく、冬はくどく見える」「服・小物・メイクの“どれを何割”が正解か分からない」——そのつまずきは、イエベ肌の温度(黄み)に対する《明度・彩度・赤みの比率》と《面積(分量)・艶・季節の空気感》の噛み合わせが少しだけずれているから。
結論は簡潔です。春は明るめ×薄め×小〜中面積、秋は深め×こっくり×中〜大面積。さらに上=軽く(首まわり明るめ)/中=整える(胴は中濃)/下=締める(脚と小物は濃)という三層の配分を守れば、誰でも血色が増し、肌は冴え、体はほっそり見えます。
本稿ではイエベ春・秋それぞれに最適トーン・面積係数・季節別プリセット・アイテム別の分量・即修正の手順を数値で提示。今日から再現できます。
1. 原理:イエベ×テラコッタが映える設計図(トーン×面積×配置)
1-1. トーン(明度・彩度・赤みの比率)
- イエベ春:明度7〜9/彩度中/赤みは控えめ(オレンジ寄り)。軽さと透明感を最優先。
- イエベ秋:明度4〜6/彩度中〜やや高/赤みしっかり(ブラウン寄り)。深みと上質感を最優先。
表:トーン別・安全域の指標(体感)
| タイプ | 明度の基準 | 彩度の基準 | 赤み比の目安 | 艶 | 失敗サイン |
|---|---|---|---|---|---|
| 春 | 7〜9(明〜中明) | 中 | 低〜中 | 微光 | 濃すぎ→重い/日中に黒ずむ |
| 秋 | 4〜6(中〜中濃) | 中〜やや高 | 中〜高 | 低〜控え | 明るすぎ→安っぽい/浅い |
1-2. 面積ルール(顔<胴≦下+小物)
- 顔(インナー/メイク):面積小〜中。明るめテラコッタで血色と光を足す。
- 胴(トップス/ワンピ):面積中。軽い素材で面の重さを管理。
- 下+小物(ボトム/靴/バッグ/ベルト):面積小〜中。濃度を上げて締めに使う。
表:面積×役割×色の濃さ
| 位置 | 面積 | 濃さ | 役割 | 素材感 |
|---|---|---|---|---|
| 顔 | 小〜中 | 薄〜中薄 | 血色と抜け | 微光・薄手 |
| 胴 | 中 | 中 | 面の安定 | 落ち感・とろみ |
| 下+小物 | 小〜中 | 中濃〜濃 | 重心を下へ | マット寄り |
1-3. 配置の三層(上軽・中整・下締)
- 上(顔まわり):薄〜中薄のテラコッタを首の開き1.5〜2.0cmで。耳・鎖骨に点の光(金小粒)。
- 中(胴):中濃を直線シルエットで。比翼・細ラペルなど“線”で面を整える。
- 下(脚/小物):濃テラコッタ/焦がしレンガ。ベルト幅2.0〜2.8cmで腰位置を上げ、靴は甲浅で軽さ。
セルフ診断(60秒):「上=最明/中=中濃/下=最濃」に替え、白目の澄み・頬の血色・脚長が同時に良く見えたら成功です。
2. 春タイプ/秋タイプの安全パレットと面積係数
2-1. イエベ春(スプリング)
安全パレット
ピーチテラコッタ/アプリコットテラコッタ/サーモンブリック/蜂蜜キャメル。
面積係数(春の目安)
- 顔:0.8(小〜中)。
- 胴:1.0(中)。
- 下+小物:0.7(小)。
素材・質感と当日補正
薄手・落ち感・微光(テンセル混/とろみツイル/細番手ニット)。強い日差しの日は明度+0.5、屋内中心の日は艶−0.5で均す。
表:春タイプ・配色テンプレ
| 段 | 色例 | 推奨形 | ねらい | 注意 |
|---|---|---|---|---|
| 上 | アプリコット薄 | 広U/浅V | 透明感 | 首詰まりNG |
| 中 | サーモンブリック | 直線/比翼 | 面の安定 | 厚手は避ける |
| 下 | 焦がし薄キャメル | I/セミフレア | 引き締め | 面は小〜中 |
2-2. イエベ秋(オータム)
安全パレット
煉瓦テラコッタ/焼き土テラコッタ/カッパーブラウン/赤みキャメル。
面積係数(秋の目安)
- 顔:0.6(小)。
- 胴:1.2(中〜大)。
- 下+小物:1.0(中)。
素材・質感と当日補正
中肉〜やや厚手・マット〜半マット(サージ/ツイル/スエード調)。曇天や蛍光灯では赤み+1段、照明が強い会場では艶−0.5で上質に。
表:秋タイプ・配色テンプレ
| 段 | 色例 | 推奨形 | ねらい | 注意 |
|---|---|---|---|---|
| 上 | 赤みキャメル薄 | 襟浅/微光 | 温度を合わせる | 明るすぎ注意 |
| 中 | 煉瓦/焼き土 | 直線/短丈〜腰骨 | 主役の面 | 艶控えめで品よく |
| 下 | 焦がしレンガ | I/ブーツ | 重心を落とす | 黒は避けチャコールへ |
3. 季節別プリセット:春夏秋冬で“濃淡×面積”を変える
3-1. 春:空気は軽く、赤みは薄く
- 通勤:ピーチ薄ニット+エクリュのテーパード+細キャメル。靴は甲浅ヌードで軽さを維持。上着は薄グレージュで温度を乱さない。
- 休日:アプリコットT+白デニム+小さめテラコッタバッグ。耳は小粒の金で点の光。帽子は麦×細テラコッタで写真映え。
- 行事/写真日:サーモンブリックのブラウス+ベージュIスカート。艶は控えめ、口紅はピーチ1往復で統一。
表:春・当日調整
| 天候/照明 | 色の補正 | 面積の補正 | 素材の補正 |
|---|---|---|---|
| 晴れ | 明度+0.5 | 既定 | 薄手・風通し |
| 曇り | 赤み+0.5 | 既定 | 微光を足す |
| 室内蛍光 | 彩度−0.5 | 小さめ | 艶−0.5 |
3-2. 夏:面積はさらに小さく、質感は薄く
- 通勤:蜂蜜キャメルの極薄ジャケット+白カットソー+グレージュパンツ。テラコッタは小物に限定。足元はベージュ薄で軽量化。
- 休日/旅行:アプリコットのノースリ+アイスベージュのスカート。ベルト細で切り替え線を上に。日差しが強い日は明度+0.5。
- 涼感重視:ピーチのワンピ(面積中)+白サンダル。金具は小粒で反射を点にとどめる。
表:夏・面積と艶の安全域
| 部位 | 面積 | 艶 | 失敗回避 |
|---|---|---|---|
| 顔 | 小 | 微光 | 首の開き1.5〜2.0cm |
| 胴 | 小〜中 | 低 | とろみ/薄地 |
| 下+小物 | 小 | 低〜微光 | 甲浅/小金具 |
3-3. 秋冬:赤みを深く、面積を中〜大へ
- 通勤(秋):煉瓦シャツ+チャコールのスラックス+焦がしレンガのベルト。上に短丈アウターで脚長。
- 休日(秋):焼き土カーデ+デニム中濃+赤みキャメルのブーツ。金具は艶控えで上質に。
- 冬の式典:焦がしレンガの小物(靴/ベルト/バッグ)を点で配し、上はエクリュで抜け。コートは**スエード調(面積中)**で深みを足す。
表:秋冬・濃淡×面積×艶
| 季節 | 濃淡 | 面積 | 艶 | 小物 |
|---|---|---|---|---|
| 秋 | 中〜中濃 | 中〜大 | 低〜控え | 焦がしレンガ/赤みキャメル |
| 冬 | 中濃〜濃 | 小〜中(服は中) | 低 | 起毛は薄く・金具小 |
4. アイテム別:トップス/羽織・ボトム/ワンピ・小物/メイクの分量設計
4-1. トップス/羽織(首元を軽く、胴を整える)
- 春:**とろみシャツ(ピーチ/アプリコット)**で面積中。広U/浅Vで首を明るく。肩線=自肩±1cmで軽く見せる。
- 夏:極薄カーデ/ノースリで面積小。肩がけで“線”を足し、面の暴走を止める。
- 秋冬:中肉ニット/短丈アウターで面積中〜大。ゲージは細〜中、艶は控えめで密度感を強調。
表:トップス/羽織の禁じ手と代替
| NG | 理由 | 代替の正解 |
|---|---|---|
| 厚手×広面積(春夏) | 熱と重さで土っぽい | 薄手+肩がけ |
| 太ラペル/長丈(秋) | 面が増え沈む | 細ラペル/短丈 |
| 強艶(冬) | くどく見える | 半マット/起毛薄め |
4-2. ボトム/ワンピ(重心を下へ、面は整然と)
- ボトム:チャコール/ネイビーで受けるとテラコッタがにごらない。形はI/セミフレア。ワイド過多は面が広がる。
- ワンピ:
- 春夏:ピーチ〜アプリコットは面積中まで。白/エクリュの帯で抜け。
- 秋冬:煉瓦〜焼き土は面積中〜大でも可。黒合わせは避け、チャコール/モカで温度を揃える。
表:下半身の面積と直線比率
| 形 | 面積の印象 | 直線比率 | 推奨シーン |
|---|---|---|---|
| I | 細く見える | 高 | 通勤/式典 |
| セミフレア | 程よい動き | 中 | 休日/会食 |
| マーメイド | 下重心が安定 | 中高 | 秋冬の写真日 |
4-3. 小物/メイク(点で締め、点で血色を足す)
- 小物:
- 靴:焦がしレンガ/赤みキャメル。甲浅で縦線を作る。
- バッグ:中サイズ、金具は小粒。秋冬はスエード調が映える。
- ベルト:幅2.0〜2.8cmで腰位置を上へ。穴数は5が微調整に便利。
- メイク:
- 頬:アプリコット/ピーチを外側弧に小面積。
- 口:テラコッタ系は薄膜1往復。春夏はつや薄、秋冬は半つや〜セミマット。
- 目:カッパーブラウンを線で、ラメは点。下まぶた広面積はNG。
表:小物/メイクの分量目安
| 要素 | 面積 | 濃度/艶 | ねらい |
|---|---|---|---|
| 靴 | 小 | 濃/艶低 | 下締め・脚長 |
| バッグ | 小〜中 | 中/艶控え | 面の分割 |
| ベルト | 小 | 濃/艶低 | 腰位置アップ |
| 頬 | 小 | 薄 | 血色を自然に |
| 口 | 小 | 薄膜1往復 | 服と温度連動 |
5. 失敗→即修正/Q&A/用語辞典
5-1. NG→OK変換(原因→処方)
- 土っぽい/暗い:明度+1、面積−30%、首元に白/エクリュ。小物は金小粒で点の光に。
- 暑苦しい(夏):素材を薄く、テラコッタは小物のみに。足元は甲浅で軽く。
- 安っぽい(秋冬):赤み+1段、金具は小粒・艶控えで密度感を上げる。
- 黒と喧嘩:チャコール/モカへ置換し温度差をやわらげる。
表:NG→OK変換表(拡張)
| NG症状 | 原因 | 即修正 | 指標 |
|---|---|---|---|
| 土っぽい | 濃度/面積過多 | 明度+1/面−30%/首に白 | 上=最明へ戻す |
| 暑苦しい | 厚地/艶過多 | 薄地/艶−0.5/小物限定 | 風通し重視 |
| 安っぽい | 赤み不足/金具大 | 赤み+1段/小金具 | 艶は控え |
| 黒と喧嘩 | 対比強すぎ | チャコール/モカへ | 黒は“線”だけ |
5-2. Q&A(よくある疑問)
Q1. ベージュと何が違う? テラコッタは赤みが主役。黄み肌に血色と深みを同時に与える。
Q2. 会社で浮かない分量は? トップス中面積×ボトム無彩色×小物小面積が安全。
Q3. 口紅が濃く見える。 一往復で止め、輪郭をぼかす。頬はピーチ薄で釣り合いを取る。
Q4. 黒のボトムしかない。 チャコールの靴下/タイツを挟み、ベルトを焦がしレンガにして温度を合わせる。
Q5. 春タイプでも濃い色を使いたい。 面積を小さく、首元は明度+0.5、金具は小粒で“点”に抑える。
Q6. 秋タイプで明るい色は? 赤みキャメル薄を首まわり小面積に。胴と下は中濃で統一。
5-3. 用語辞典(やさしい言い換え)
テラコッタ:赤みを含む焼き土色。黄み肌に血色を足す。
面積係数:顔/胴/下+小物ごとの“量の目安”。
上軽・中整・下締:上を軽く、中で整え、下で締める配分の合言葉。
微光:ぎらつかない、ごく控えめの光沢。
赤み+1段:同系の中で赤比率を一段階増やす調整。
比翼:前ボタンが見えにくい前立てのつくり。面がすっきり見える。
まとめ イエベ×テラコッタは、春=明×薄×小〜中面積/秋=深×こっくり×中〜大面積に振り分け、上軽・中整・下締の三層を守るだけで安定します。顔は明るく、胴は中濃、下と小物で焦がしレンガを点在。
迷った日は、春はピーチ寄りを小面積/秋は煉瓦寄りを中面積へ。今日の一枚から、血色と洗練の上限を引き上げましょう。

