朝のクローゼットの前で「無難に黒かネイビーにしておこう」と思いながら、鏡に映るとどこか顔色が沈んでいる、やさしい色を着たいのに急に休日っぽく見えてしまう、そんな“あと一歩”の違和感は、イエベの人が本来持っているあたたかさと、オフィスで求められる落ち着きがうまく重なっていないときに起きます。
イエベの肌には、もともと黄みとほんのりした赤みが同居しています。この二つを同時に持ち上げる色を通勤に取り入れられれば、ベーシックカラーしか着ていない日よりも、表情が柔らかく、話しかけやすく、しかも清潔に見せることができます。
その役目を一枚で担ってくれるのがアプリコットです。オレンジのように元気が前に出すぎず、コーラルのように甘さが強くなりすぎず、杏の果肉のようにふわっとした明るさで、職場の白い壁・グレーのデスク・ベージュの床とも自然につながる、まさに「職場で浮かない果実色」です。
ただし色だけを真似すると、すぐに「今日は休みなの?」と見られたり、「いつもより幼くない?」と感じられたりします。これは、色の面積と合わせる無彩色、そして季節感に合った素材の重さが整っていないからです。
顔のそばにアプリコットを置き、ボトムやジャケットで白・ベージュ・グレーへ戻す、春ならやや明るく秋ならやや深く、社内の照明が冷たいなら色を濃く、温かいなら白を足す——このわずかなさじ加減さえわかってしまえば、通勤・外回り・オンライン・写真に残る日まで同じ色を使い回すことができます。
ここからは、アプリコットがイエベに効く理由→イエベ春/秋それぞれの設計→通勤シーン別の使い方→顔立ち・体型・年齢による微調整→買い物とオンラインでの見え方→Q&Aと用語辞典→まとめ、という順番で、今日の服でも試せるように細かく書き広げていきます。
アプリコットがイエベの肌をきれいに見せる理由
肌の黄みと赤みを同時に拾って“血色”として見せられるから
アプリコットは、黄み・赤み・白の量がほどよく混ざった中間のあたたかい色です。イエベの肌は、この三つのうちどれか一つを抜きすぎると急に元気がなく見えます。たとえば白に寄せすぎると首だけ白く飛んでしまい、オレンジやテラコッタに寄せすぎると日焼けのような濁りに見えることがあります。
アプリコットなら、肌にある黄みを「地の色」として取り込み、赤みを「健康な頬」として拾ってくれるため、蛍光灯やモニターの青白い光を浴びても顔色が落ちないのが大きな強みです。
とくに朝のオンライン会議や、夕方の窓際で撮る社員写真は光が不安定で肌が白く飛びやすいので、首もとや顔周りにアプリコットを少しでも入れておくと、目もとの影が目立たずに済みます。
オフィスの定番色とぶつからない“中明度・中彩度”に収まりやすいから
通勤服が難しく感じる一番の理由は、職場の家具やほかの人の服との“背景の色”が決まっているからです。黒のパンツ、ネイビーのジャケット、ライトグレーのカーディガン、ベージュのパンプス、白い壁。ここにビビッドなオレンジや強いピンクを持ってくると、どうしても目立ちすぎてしまいます。
アプリコットは同じ暖色でも中明度・中くらいのやわらかい彩度にしやすいので、黒を合わせればきちんと、グレーを合わせればやさしく、ベージュを合わせればナチュラルに、白を合わせればさわやかに、といったように、オフィスにあるどの色にもぶつからずに溶け込めます。
色の山が一つで済むので、社内の照明が電球色で黄みがかっていても、昼白色でやや青くても、アプリコットだけが浮くことがほとんどありません。
オレンジよりも“仕事の日の品”を残せるから
オレンジはとても活発で前向きな色ですが、業種や職場によっては「今日はイベント?」「プレゼンの日?」と受け取られることがあります。アプリコットはそこに白と桃色を少し足した色なので、表情としてはやわらかく、笑顔にもつながりやすく、相手の緊張をほどく力があります。
営業で初めての取引先に会う日、子どもや保護者を迎える日、社内の人と距離を縮めたい日など、きちんとしながら話しかけやすく見られたいときにとても向いています。やさしさが先に立ってくれるので、ネイルやアクセサリーを控えめにしても地味にならず、“職場のよくできる人”という印象と両立できます。
表:アプリコットが通勤で扱いやすい条件
| 観点 | OKのアプリコット | 避けたいアプリコット | 理由 |
|---|---|---|---|
| 明るさ | 中明度〜やや明るめ。肌より半段上。 | 白に近いピーチ、暗すぎるサーモンベージュ | 幼く見える・くすむ・お出かけ感が出るため |
| 彩度 | 穏やか〜ふんわり。蛍光感のないもの。 | ビビッドオレンジ、蛍光寄り、朱赤寄り | オフィスで視線を取りすぎるため |
| 質感 | マット、微光沢、とろみ、ハイゲージニット | 強い光沢サテン、スポーツメッシュ | 通勤のかっちり感が薄れるため |
| 合わせ色 | 白、エクリュ、ベージュ、ライトグレー、キャメル、グレージュ | 青みピンク、青紫、真っ黒一色、青白いグレー | 黄みが鈍る・急に寒色寄りに見えるため |
| 小物 | ベージュ、キャメル、ライトグレー、金具は小さめ | 原色バッグ、大きな黒バッグ | 仕事感と色のやさしさが離れてしまうため |
イエベ春とイエベ秋でのアプリコットの設計の違い
イエベ春(スプリング)が使いやすいアプリコットの幅と形
イエベ春は、肌に光を含んだような明るさを持っていて、透明感も出しやすいタイプです。このタイプが通勤でアプリコットを取り入れるなら、白が一滴入ったような明るめのアプリコットを選ぶのがいちばん失敗がありません。素材は重くないほうが顔のやわらかさと合うので、薄手のジョーゼット、とろみのあるポリエステル、やや光を拾うマットサテン、細かい編み目のハイゲージニットなどが向いています。
襟ぐりは首もとに余白ができるラウンドやボート、浅めのVにすると、アプリコットが顔を囲みすぎず、ほどよく光を通してくれます。ボトムはオフ白・エクリュ・淡いベージュ・ライトグレーといった、同じくらいの明るさのものに寄せると、全身が一枚の明るい板のように見えて、春のきれいな空気感がそのまま職場に持ち込めます。
さらにもう一歩踏み込むなら、アプリコットの中でもややピンクを含んだ「ピーチアプリコット」をカーディガンで取り入れ、インナーを白、ボトムをベージュにして三段の明るさを作ると、目上の人の前でもやさしく見え、オンライン会議でも顔色が良く映ります。アクセサリーは小さなゴールドやパールを一つ、バッグと靴はベージュ〜キャメルの範囲でまとめると、春らしい軽さと仕事らしさがバランスします。
イエベ秋(オータム)が使いやすいアプリコットの幅と形
イエベ秋は、肌に落ち着いた黄みやオリーブが入り、深みのある色でこそ洗練されるタイプです。このタイプがアプリコットを通勤で使うなら、ややベージュ寄りで、オレンジを少しだけ感じる落ち着いたアプリコットがベストです。
素材も、春のように軽く揺れるものより、面がまっすぐに落ちるツイル、ジョーゼット、ウールライクポリエステルなど“面のきれいさ”が出るものを選ぶと、職場の照明でも色が崩れません。
ボトムはキャメル・グレージュ・ライトブラウン・カーキベージュなど、同じ黄みのグループに置くと、全体が一段落ち着いた秋の砂糖菓子のような配色になり、アプリコットが甘くなりすぎません。そこへ黄みゴールドの小ぶりなピアスやブロンズ寄りの金具、ベルトや時計の革を足すと、大人っぽさが一気に増します。
秋の人はとくに、電球色の部屋でアプリコットを着ると、色がさらに黄みに寄って見えます。通勤で電球色の会議室を使うことが多いなら、アプリコットは一段だけ白を混ぜたものにし、上からライトグレーや明るいベージュのジャケットを羽織って黄みを一度やわらげると、いわゆる「黄ぐすみ」に見えるのを防げます。
中間タイプ・どちらの季節にもまたがる人の色の決め方と季節の寄せ方
春にも秋にもまたがるタイプ、あるいは自己診断では春だけれど深い色も似合う人は、季節ではなく職場の光源と今の季節の温度感でアプリコットを選ぶと迷いません。オフィスの光が白〜青っぽくて、季節も春夏に向かう時期なら、春寄りの明るいアプリコットで顔をパッとさせ、ジャケットやボトムを白・ライトグレー・ベージュにしてふわっとさせます。
反対に、秋冬で夕方に仕事をすることが多く、オフィスの光も電球寄りであたたかければ、秋寄りの落ち着いたアプリコットにして、キャメルやグレージュを合わせて落ち着きを増やします。どちらのケースでも、一カ所に必ず「冷たくない無彩色」(白・エクリュ・ライトグレーなど)を入れておくと、アプリコットが甘くなりすぎず、通勤の軸がぶれません。
表:イエベ春・イエベ秋でのアプリコット比較
| 項目 | 春に似合うアプリコット | 秋に似合うアプリコット |
|---|---|---|
| 明るさ | 明るめ〜中明度、白を感じるやわらかさ | 中明度〜やや深め、ベージュを感じる落ち着き |
| 素材 | とろみ、軽いジョーゼット、ハイゲージニット、マットサテン | ツイル、ジョーゼット厚手、ウールライク、ストレッチ入りきれいめ |
| 合わせボトム | 白、エクリュ、淡ベージュ、ライトグレー | キャメル、グレージュ、ライトブラウン、カーキベージュ |
| 小物金具 | 明るいゴールド、パール小粒 | 黄みゴールド、ブロンズ、革のブラウン |
| 全体の印象 | 明るくやさしい、話しかけやすい | 落ち着いた上品さ、あたたかい信頼感 |
通勤シーン別でのアプリコットの使い分け
朝礼・会議・社内プレゼンの日にふさわしい構成と見え方
社内の多くの人の前に立つ日や、上司・役職者と話す日には、アプリコットを顔周りにだけまとめる構成にすると「今日はきれい」「でもきちんとしている」が同時に成立します。具体的には、アプリコットのとろみブラウスに、ライトグレーやベージュのテーラード、下にグレーのテーパードパンツ。
これなら上半身で血色が出るので印象はやわらぎますが、ジャケットとパンツの面積が広いため、全身としては落ち着いて見えます。プレゼンで投影を使う日なら、アプリコットは画面に照らされても黄みに転びにくいので、写真に映っても顔がくすみません。襟もとは詰めすぎず、鎖骨がすこし見えるくらいに開けておくと、視線が首の縦線に誘導され、アプリコットの甘さが抑えられます。
客先訪問・外回り・初対面と会う日のまとめ方と注意点
社外の人と会う日は、好印象と信頼感を同時に出す必要があります。このときは、アプリコットをトップス全体に使い、アウターとボトムで直線的な色と形を足すと、ふんわりしすぎません。
たとえば、アプリコットのブラウス+キャメルまたはグレージュのジャケット+チャコールの細身パンツ。ここにヌードベージュのパンプスと、金具が小さめのバッグを合わせると、「柔らかいけれど仕事用」としてまとまります。
アプリコットのワンピース一枚で外回りに出ると、お出かけ風に寄りやすいので、必ず上から白・ベージュ・ライトグレーのどれかを羽織るか、黒を羽織るなら間に白をはさみます。ネックレスはパールかゴールドを一つ、耳元は揺れないタイプにしておくと、色のやさしさとビジネスのかっちり感がちょうどよく混ざります。
社内でのデスクワーク・オンライン会議中心の日の軽めコーデと色のくり返し
パソコンに向かう日や在宅勤務の日は、上半身だけが画面に映るので、アプリコットの“顔色を上げる力”が最大限に生きます。ここでは、アプリコットのニット・カットソー・きれいめスウェットのような、表面がなめらかなものを選び、首もとは丸かボート、あるいは浅いVにします。
ボトムは見えないことも多いので、実際にはベージュやグレーにしてしまって構いません。ポイントは、イヤリング・チーク・リップをアプリコットと同じ温度にそろえることです。画面越しだと服の色がライトに飛びやすいのですが、顔に同じ色がもう一度乗っていると「この色が今日のテーマです」というのが伝わります。
オフィスの照明が昼白色でやや青く見える職場なら、チークをアプリコットにしておくと、夕方まで血色が落ちにくくなります。
季節の変わり目・雨の日・肌が疲れている日の色と素材の調整
季節が変わるころや雨の日は、服の色が全体的に沈んで見えやすく、肌の黄みも濃く見えがちです。そういう日にアプリコットを使うときは、白を多めに含んだやわらかいアプリコットを選び、首もとに白いスカーフや白のネックレスを一段足しておきます。
ボトムはライトグレーや白、靴は白系やベージュにして、全体を上へ上へと持ち上げると、雨で光が少ない日でも明るさが保てます。水はねが気になるなら、アプリコットはブラウスではなくニットやカットソーにして、上から撥水のライトベージュコートを羽織ると、きれいに見えるうえに実用的です。
肌が疲れている日は、濃いアプリコットよりもやわらかいアプリコットのほうが、目の下の影やほうれい線を拾いません。
お客さまを迎える・社内イベント・写真に残る日の華やか版と小物の足し方
会社でのイベントや撮影のある日は、アプリコットの面積をいつもより大きくしても大丈夫です。たとえば、アプリコットのワンピースに白のジャケット、靴はヌードベージュ、バッグはライトグレーにすれば、写真で背景が白く飛んでもアプリコットの温度が残ります。
ここにパールや細いゴールドのネックレスを一つだけ乗せると、色が騒がしくならず、上品さが増します。イベントで座る時間が長い場合は、アプリコットがしわになりにくい素材(ジョーゼットやストレッチ混)を選んでおくと、午後の写真でもきれいです。
写真は照明で色が明るく見えやすいので、普段より一段だけ濃いアプリコットを選んでおくと、画面上でちょうどよくなります。
表:通勤シーン別アプリコットの面積と合わせ色
| シーン | アプリコットの面積 | 合わせる色 | ねらい |
|---|---|---|---|
| 会議・朝礼 | 顔まわりだけ(ブラウス・ニット) | 白・ライトグレー・ベージュ | 清潔・親しみやすさ・信頼 |
| 客先・外回り | トップス全体+落ち着いたボトム | キャメル・グレージュ・チャコール | 信頼感・血色感・きちんと感 |
| 在宅・オンライン | トップス中心・小物とメイクでくり返し | ベージュ・グレー・白 | 画面での明るさ・表情アップ |
| 雨・季節の変わり目 | トップス+首もとに白+ライトなアウター | ライトグレー・白・エクリュ | くすみ防止・清潔感 |
| 写真に残る日 | ワンピまたは上下どちらか大きめ | 白・ベージュ・パール | 華やかさ・職場らしさ・写真映え |
悩み別の微調整(顔タイプ・体型・年齢感・職場ルール)
顔が丸い・幼く見えやすい人のアプリコットの置き方
やさしい色はそのまま顔の近くに大きく置くと、顔まわりの丸みを強調してしまいます。丸顔・童顔寄りの人は、アプリコットを縦に細く見せるように配置します。たとえば、アプリコットのブラウスにVネックのカーディガンを羽織る、アプリコットのインナーの上から白やグレージュのジャケットを開けて着る、といったように、必ず縦の線を一本重ねておきます。
アクセサリーも、球形・花形・大ぶりのものより、縦に長いしずく型、細いチェーン、長方形のモチーフなどを選ぶと、視線が下に流れて大人っぽく見えます。髪も耳にかけたり低めにまとめたりして、首の横の余白を出すと、アプリコットの甘さがうまく抜けます。
肩や上半身がしっかりしている人のアプリコットの回し方
肩幅がしっかりしている人や、胸が高い位置にある人がアプリコットを一枚で着ると、上半身がふくらんで見えがちです。この場合は、アプリコットをインナーにして上からライトベージュやグレージュのジャケットを羽織る、もしくはスカートやパンツ側にアプリコットを回すとバランスが良くなります。
インナーにするときは、襟ぐりをやや開けて首の縦線を作り、ジャケットの前を閉めずに落としておくと、アプリコットが細い帯のように見えます。ボトムで使うときは、腰まわりにギャザーや大きなポケットがないタイト寄り・ストレート寄りのものを選び、トップスは白やライトグレーで軽くします。これで、色は楽しみながらもシルエットはすっきり保てます。
年齢とともに黄ぐすみ・くすみが気になる人のアプリコット
年齢を重ねると、イエベであっても黄みが重なって見え、ベージュやキャメルだけでは顔が平らに見えることがあります。こういうときほど、白で薄めたアプリコットを顔の近くに置きます。アプリコットは黄みだけでなく赤みも少し持っているので、肌のくすみを「血色の方向」に引き上げてくれます。
首もとに白のネックレスやパールを一段入れ、チークもアプリコット寄りにしておくと、顔と服が同じ温度になって若々しく見えます。どうしても黄みが気になる日は、ジャケットをライトグレーや白にして、アプリコットをインナーだけにとどめると、黄みの量をコントロールできます。
職場ルールが厳しい・色が多すぎると注意される職場での工夫
「ベーシックカラー中心で」と言われる職場でも、アプリコットはスカーフ・カーディガン・インナーの襟ぐりだけといった小さな面積なら取り入れられることが多いです。
たとえば、白シャツ+グレーパンツ+黒パンプスという定番の上に、アプリコットの薄手カーディガンを羽織る、あるいは白ブラウスの襟ぐりにアプリコットのスカーフを小さく結ぶ。これでも顔色は十分に変わります。バッグや靴をアプリコットにするのはややカジュアルに寄るので、まずは首もととインナーの色から始めると無理がありません。
表:悩み別の調整ポイント
| 悩み | 起きやすいこと | 整え方 | 合わせるといい色 |
|---|---|---|---|
| 幼く見える | 顔まわりの甘さが強くなる | 襟をVに・ジャケットで縦線・縦長アクセ | グレー・白・ライトベージュ |
| 肩が大きい | 上半身が膨張する・色が広がる | アプリコットをインナーに・ボトムに色を移す | グレージュ・チャコール・白 |
| 黄ぐすみ | 服と肌が一体化・のっぺりする | 白で薄めたアプリコット・首もとに白 | 白・エクリュ・ライトグレー |
| 職場が厳しい | 色が多いと注意される | スカーフ・インナー・カーデで少量に | 白・グレー・ベージュ |
買い物・オンラインでの見え方・Q&A・用語辞典
店頭と実際の職場で色が違って見えないようにするには
アプリコットは、照明にとても敏感な色です。ショップの電球色の下では頬の色のように美しく見えても、オフィスの昼白色の下では黄みが強く、思ったよりもオレンジ寄りに見えることがあります。購入前には、白いハンカチや白ブラウスを服のとなりにあてて、黄みが強く出すぎないか、赤みがテラコッタ寄りになっていないかを確かめます。
もしオフィスの光が白くて冷たいなら、店頭で見たときより一段濃いアプリコットを、オフィスの光があたたかいなら、一段白を含んだアプリコットを選ぶと、実際に出社したときの色が想像に近づきます。
オンラインで買うときは、商品説明に「ピンク味があります」「オレンジが強めです」「黄みが少なめです」といった記載がないかを見て、ピンク寄りなら春向け、オレンジ寄りなら秋向けと使い分けると、手持ちのボトムとぶつかりません。
よくある質問(Q&A)
Q1. アプリコットは通勤には甘すぎませんか。
答えは、合わせる色と素材を通勤寄りにすれば十分使えます。白・ライトグレー・ベージュ・キャメルと一緒に着れば、果物のような可愛さではなく「血色を良くする大人の色」として見えます。素材も、光沢の強いサテンやスポーツ寄りのジャージーではなく、とろみブラウスやマットなニットを選べば、すぐにオフィス顔になります。
Q2. 黒と合わせるのはNGですか。
黒と合わせること自体は問題ありませんが、アプリコットと黒が直接ぶつかるとコントラストが強く、通勤よりも週末のきれいめに寄りがちです。黒ジャケットを羽織るなら、インナーを白にして黒とアプリコットのあいだに一段明るさを入れます。アプリコットのワンピースに黒の靴を合わせるなら、バッグだけでもベージュやキャメルにして、上下のどちらかを軽くします。
Q3. 靴とバッグは何色が一番失敗しませんか。
ヌードベージュ・エクリュ・ライトグレー・キャメルの四つが最も失敗しません。どれもアプリコットの黄みと自然につながり、社内のインテリアや外回りで入るビルの中の色とも喧嘩しないからです。どうしても黒い靴を履く日は、つま先がとがっているものや甲が浅いものを選び、バッグは明るい色にしてバランスを取ります。
Q4. メイクはどこを合わせるといいですか。
チークをアプリコットに寄せると、服と顔の色が同じ方向を向くので、くすみにくくなります。リップはコーラル寄りでもアプリコット寄りでもいいのですが、通勤で落ち着かせるなら、ベージュをすこし混ぜたコーラルにすると、話しているときに口元が派手に見えません。アイシャドウはベージュ〜ブラウン系にしておくと、アプリコットとの温度がそろいます。
Q5. 40代以降でもアプリコットは使えますか。
むしろ40代以降にこそ向いています。ベージュやグレーだけだと肌が疲れて見える日に、アプリコットを一枚足すと血色が戻って見えるからです。年齢を重ねた肌には、若いときと同じ明るさのアプリコットだと甘くなるので、ほんの少しだけ深さを足したアプリコットにし、素材をつるっとしたものにすると、年齢に合った品の良さが出ます。
用語辞典
アプリコット:杏の果実のような、黄みと赤みを含んだあたたかい色。オレンジよりやわらかく、コーラルより黄みが強い。職場では中明度で使うとバランスが良い。
エクリュ:白にごく少量のベージュを混ぜたような色。アプリコットの隣に置くと、色同士がなじみ、やわらかい通勤コーデになる。
ジョーゼット:表面に細かな凹凸があり、通勤でも使える上品なとろみ素材。アプリコットをこの素材で選ぶと、甘さを保ったまま大人っぽく見える。
無彩色:白・黒・グレーのように色みをほとんど持たない色。アプリコットを大人っぽく見せたいときに必ずとなりに置く。
中明度:明るすぎず暗すぎない中間の明るさ。オフィスでもっとも使い回しやすい明るさで、アプリコットもこの高さに合わせると失敗が少ない。
まとめ
イエベが通勤でアプリコットを使うときに押さえておくべき最大のポイントは、色そのものを迷うよりも「置く位置」「合わせる無彩色」「季節と照明での見え方」を先に決めることです。
顔のそばにはほどよくあたたかいアプリコットを置き、ボトムやジャケットで白・ベージュ・グレーのいずれかに戻す。春ならやや明るく、秋ならやや落ち着かせ、雨の日や肌が疲れている日は白を一段足す。
職場の光が冷たければアプリコットを一段濃く、あたたかければ一段白を混ぜる。これだけで、社内の日・外回りの日・オンラインの日・写真に残る日のすべてで「今日は顔色がいい」「柔らかい」「でも仕事の人らしい」という評価を揃えられます。
アプリコットは一見オフの色に見えても、明度と素材と面積を通勤寄りに調整すれば、黒やネイビーだけでは出せない健康的で安心感のあるきれいさを作れる色です。今日の通勤服に一枚混ぜて、社内の鏡・外の光・オンライン画面でそれぞれどう映るかを見比べてみてください。違いがすぐに分かります。

